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社畜転生 〜魔物と為りて世界を覇す〜  作者: ただの酒呑み
第2章 イシュタル連邦胎動編
28/28

28.雷哭滅界

 "七大魔将"ラズナーと"八闘剣"グラウザー。

 好戦的な二人の闘いは、早くも峠を迎えようとしていた。


「次の一撃でお前は死ぬぞ……ラズナー……!」


「ああ、感じる、感じるぞおお……全てを賭けて殺しに来い、グラウザーァァッ!!」


 戦場の中央で向き合う最強同士。


 グラウザーが急に面持ちを変え、目を瞑った。

 戦場は静まり、誰もが彼の挙動に注目する。


 ――バリバリバリバリッッッ!!!!


 眼を見開く。


「――"雷哭滅界ライコクメッカイ"!」


 瞬間、全ての音が消失。

 次いで、天地を揺るがす閃光が炸裂した。


 辺り数百メートルが迅雷となり、ゆっくりとラズナーの方へ迫り来る。


 傷だらけのガゼルが誇るように呟く。

「……これがグラウザー様だってよ!」


 けたたましい轟音。

 雷系最高峰の魔法を前に……ラズナーは口角を上げ、狂気の笑みを浮かべた。


「逝きそうだ……逝きそうだぞ、グラウザーァァァァァッッッッッ!!!!!!!」


 全身を震わせ、魔力の全てを込める。

 途端。戦場中の血が彼の元に集まっていく……。


「ぐッ!……ぐうおおおおおッッッ!!!」

 血を吹き出し、白眼を剥きながらの咆哮。

 

「"血溺晩餐オックスフォード・アパートメント"!」


 一塊となった血は、マグマのごとく沸騰。

 巨大な"口"を形成した後、悍ましい叫び声とともに、迅雷へと喰らい付いた。


 ――ドォォォーーーーーンッッッ!!!


 凄まじい衝撃波に、人魔関係なく吹き飛ぶ。

 血霧と稲妻が戦場を覆い尽くしていく。


 ――バリバリバリバリッッッ!!!ドガァァーーーーーーンッッッ!!!!


 ……砂煙が立ち上る中。

 戦場のど真ん中で二人が向き合う。


「ガハッ……!」

 グラウザーが大量の血を吐き出し、よろめいた。

 今にも倒れそうな体を、己の意思一つで支え、立ち止まる。


 目の前にはラズナー。全身黒焦げとなっている。


「……見事だぁぁ……グラウザー・ヴォルトヘイムゥゥ……」

 彼は愉悦の笑みを浮かべて、人差し指を突き出し……。


 ――ドサッ!

 力無く倒れ込んだ。


 戦場の音が消え、誰もが状況を悟る。


 "朱喰"ラズナー・ライオネル・ダーマー。

 七大魔将の一角、ここに戦死。


「うおおおおおおおおッッッッ!!!!」


 人間兵たちは雄叫びを上げ、剣を掲げる。

 笑い、泣き、抱き合いながら、心から英雄の勝利を称えた。


「へっ!……流石だってよ……!」


「ラ……ラズナー……様……」


 爽やかに笑うガゼルと呆然とするバズラミュート。


「……ガハハッ!……見たか……カリ……ス……」


 ――バタッ!


 八闘剣、"雷獄"グラウザー・ヴォルトヘイム。

 人類に希望を与える勝利であった。


「グラウザー様ッ!」

 四方から駆け寄る雷鳴軍の兵士たち。


「……これが八闘剣の力……!」

「我らは魔物になど負けない……!」


 激闘の興奮冷めやらぬ戦場。

 そんな場所に突如ーー不気味な影が現れる。


「血では雷には勝てん……考えればわかるだろう」

 白衣を纏う痩身の男は、冷たく言い放つ。


「あ……あれは……」

「なぜここに……」


 八闘剣――"冥鎖"メルカデス・ノルヴァイン


 人間側の"異端"とされる男。

 その真意は誰にもわからない。


「こいつは良い死体だ。貰っていくよ」

 彼はラズナーの側まで歩いて行き、人差し指を突き出す。


「……"終周コレクション"」


 次の瞬間。

 ラズナーの巨体はパチンコ玉ほどの球体に縮まり、メルカデスの掌に収まっていった。


「完了だ」


「……!貴様!ラズナー様に何をしたああッッ!!」


 我を失ったバズラミュートが飛び掛かる。


「……そんな感情は"意味"が無いよ」


 ――ズバッッ。


「ぐはっ……!」


 一太刀でバズラミュートを真っ二つ。

 七大魔将の副官が瞬殺され、戦場にどよめきが起こる。


 そんな混乱の中で静かに響く声。


「行け。お前たち」


 群をなして現れるメルカデス軍。

 ラズナーを失った魔物たちに、最早戦う気力は残されておらず……。


 ほどなくして人間側の圧勝で幕を閉じた。


「これはこれは……死体の"採り放題"じゃないか」


 メルカデスは眼を輝かし、血溜まりの中を歩いていく。


 ガゼルはグラウザーを担ぎながら、思う。

 ――この男は、危険だってよ……。


 その頃。

 連邦国家の首都イシュタルでは、これまた火花を散らす二人がいた。


 "異端"魔族ゼルドに相対すのは……桃色の髪を靡かせる"観察隊長"、アリシア・エル・フィルディア。


「絶対に私の方がイシュタルのことを知ってる!元公女だし、今も毎日、見て回ってるわ……!」


「ふん……。大局も知らぬお前に何がわかるんだ。"都市"とはただ雰囲気で感じるものではない」


 苛烈な言い合いの間に立つのは、"ザ・平凡"ーー中級魔物のラグ。


「めちゃくちゃ嫌だな、この立ち位置……」


「じゃあどっちがイシュタルを知ってるか!明日イシュタル中を巡って、決着をつけましょうよ!」


「馬鹿げているが……いいだろう。支配者の格を見せつけてやる」


 ……ラグは思った。

「それって、普通に、デートでは?」


 そんな彼らを陰から見つめる一人の女性ーー"天然秘書"エリス。


「ゼルド様があの観察隊長とデート……!?有り得ない……!」


 複雑に絡み合う人間模様。

 ここに新たな大戦が始まろうとしていた。

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