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ー8ー

「機械的と予想していたが……」


 VR、仮想世界がどう開発されるのかは知らないが、二階にはその装置らしき物は一切置かれていない。


 依頼者であるメイデンが【朽ち果てた城】と呼んだように、洋式の……ファンタジーに出てきそうな城の内装になっている。


 一階、入口時は普通のビルであり、上を見た時はそんな風ではないように見えたが……


 登ってきた非常階段では三階は無理そうだ。別の非常階段、ないしエスカレーターで移動するしかなかった。


「誰かいたのか。いや……それも当然だな」


【血の奪還】というのが依頼内容。奪還という言葉がある以上、誰かがこの場に来たのだろう。


 勿論、現場が別という可能性もある。


 だが、誰かがいた形跡が残っている。この場とは場違いな代物。現代的な缶詰や袋、パック飲料等だ。


 それも一人分ではなく、多数。


 参加者が五人一緒に行動して、この場所まで辿り着いたと考えるべきだ。


「この仮想世界……【ロストワールド】が何を目的として作られたのか。参加者達は……」


【血の奪還】という依頼。


【ロストワールド】は荒廃した世界が舞台であり、N市を模倣していたとしても、ゲーム系の仮想世界になる。


 ゲームも最終目標があり、それが【血の奪取】という内容だとしてもおかしくはない。


 その場合、管理者側も認知しているはず。【血の奪還】という依頼を出さない。


 そもそも、【ロストワールド】はすでに封鎖されている。奪還するにしても、参加者達であるプレイヤー達がログイン不可能。


 管理者であれば、強制的に戻す事も可能ではないのか。


 五人のプレイヤー……参加者ではなく、侵入者ならどうだ?


【血の奪還】は【ロストワールド】の情報を奪い返す。封鎖している【ロストワールド】にも侵入する可能性は十分あり、そこを狙うつもりなのか。


「だが……それを俺一人で見つけ出すのは、管理者側も難しい事は分かるはず。それに……」


 侵入者だった場合、話を聞くのは【ロストワールド】ではなく、現実の方が情報奪われず、作戦を知られずに済むはずだ。


「……考え過ぎるのは悪い癖だな」


 依頼者であるメイデンから話を聞かない限り、俺の憶測に過ぎない。


「複数人いた……というのは確かというだけだ」


 俺は食料のゴミが落ちていた場所を離れ、三階に続く非常階段へ。


 三階へ繋がるエスカレーターを見つけたが、破壊されている。その上、どういうわけか、明かりが一切見えない。


 一階、二階と紅い月光(つきひかりが広がっていのにも関わらずに。


 三階で遮断されているのはおかしい。


「三階自体が駄目なのか」


 非常階段は四階まで続いている。三階の扉は鍵が掛けられており、中に入れなくなっている。


 二階のエスカレーターから三階が見えなかったのも、情報が非公開になっているせいなのか。

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