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境界線  作者: Gan
6/18

ー5ー

「……これはあるのか」


 探偵事務所の床下に隠し扉がある。元が倉庫という事もあり、誰かが使っていたんだろう。


 そこにあるのはリボルバー式の銃が一丁。


 師匠から譲り受けた物だ。普通の探偵なら必要のない代物だが、危ない依頼を扱っていたという事だ。


 それは現実での話なわけだが、頭に強く印象に残っているからこそなのか。【ロストワールド】に武器が必要なのか。


 プレイヤー以外誰もいなかったという話であり、武器についても何も触れてなかった。


 ボダさんが聞き耳を立てていただけであり、情報も途切れ途切れなのだから仕方ないわけだが……


「念の為だ。持っていこう。弾はシリンダーに六発。他は無さそうか」


 依頼者に会いに行くわけだが、何が起きるかも分からない。仮想世界だからこそ、そのように仕向けた可能性が高い。


 死ぬ事はないとしても、体に反動が起きる事もゼロではない。何の説明なしにこの世界に入ったわけだ。疑うべきところだろう。


 依頼者に武器を向ける事も……


「行き先は【朽ち果てた城】だが、現代をモチーフにしてるのなら、すぐに分かる場所にあるかだ……な」


 事務所のドアを開けた瞬間、その風景に脳内が僅かに停止してしまった。


 夜空……というのが一番良いのか。


 月明かりと壊れた電灯等が点滅している事で、周囲の景色を教えてくれている。


 一番最初に目に入ったのは海。


 これも現実での探偵事務所を出た時と同じ。


 次に廃墟となった建物群。


 舞台が荒廃した世界なら、建物が廃墟になっているのは分かる。


 だが、どれも俺が知っている建物ばかり。隣に並ぶ倉庫。コンビニとコインランドリー、店店の並び順。信号機の位置。


 潰れていたとしても、馴染みの喫茶店の看板を間違うはずがない。


「現代だけじゃなく、N市が舞台になってるのか?」


 となれば、参加者達全員がN市に在住なのか。


 俺が選ばれたのもN市にいる探偵だからか。


 開始場所がN市なだけかもしれないが、事と次第によっては調べる必要が出てくる可能性はある。


「だとして、【朽ち果てた城】は何処になる? N市に城なんかないぞ」


 N市には歴史に残る城がなく、新しく建設されたわけでもない。


 有名なのはエルドラド国が経営する外国人学校。エルドラド人は当然として、様々な国の教師や学生が通っているようだ。


 仮想世界に関しての授業、実習も積極的に組み込んでいる学校でもある。


 次点でエルドラド国が援助する巨大ショッピングモール。


 敷地の広さはあるが、城とは言えないだろう。


「もしかして……あの場所か」


 俺はアレがあるであろう場所に視線を向ける。


 まだ建設中であり、完成してない場所。


 荒廃された世界が未来であるなら、選ばれてもおかしくはない。


 城ではなく、ビル。


 ムーンライトタワー。最大の高さを持つビルであり、月に一番近い場所と題されている。


 完成予想図も発表されており、下層部分を見ると城のようにも見える。


「建物が崩壊しているせいか、かなり離れた場所からでも、あそこだけはよく見える。……行ってみる価値はありそうだ」


 ムーンライトタワーだけが現実と変化していない。建設中の高さまでは十分あり、そこまで崩れていない。


 それだけではなく、僅かながらに紅い光が発光している。まるで居場所を俺に教えているかのように。

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