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「ふぅ……行くか」
俺はVR装置を起動する。
VR装置も様々あり、簡易型と椅子型が主だろう。主流は簡易型だ。
簡易型は小さく、PCとの連動が必要になる。コードが長く、ベッドで横になり、首元のコンセントにプラグを突き刺す形となる。
椅子型の場合、背もたれにプラグがあり、直接装着する。固定化可能で、不意な動きで仮想世界からの離脱を回避出来る。
俺のVR装置は椅子型。簡易型は不意にプラグが抜けた場合、脳や体に負担があるとされていたからだ。今は安全性が高くなっているようだが……
「うっ……」
首元にプラグが刺さる事に痛みはないが、そこから流される電気に体が反応してしまう。
異物が侵入する事に対しての拒否反応なのか。この感覚に慣れる事はない。
それも人其々であり、別世界へ行く高揚感に繋がる者もいるようだが。逆にこの感覚が無理で、断念する者がいるらしい。
一瞬の意識の途切れ。
目が覚めると、仮想世界に入るための準備に入る。その世界のアバター作成やログアウト方法の説明。痛覚の有無等。世界によってルールは違ってくる。
「……失敗か。あの感覚はあったはずだが」
アバター作成に移行せず、【ロストワールド】の説明される事もない。
それどころか、目が覚めたのは俺の探偵事務所のまま。仮想世界へ移動する前と同じ。
「停電で安全装置が作動したのか?」
探偵事務所内は暗くなっていて、予備電力が作動した事によって、辛うじて中が見える感じになっている。
「いや……違う!! 【ロストワールド】に入ってるのか? だとしても、あまりにも似すぎてだろ」
周囲を確認したところ、探偵事務所の内装は同じ。だが、全てが古ぼけている。何十年も経過している風になっていた。
PCもそうだが、椅子型のVR装置ですら壊れている。瞬く間にそんな事が起きるわけがない。
「姿はそのままだな。変更は禁止じゃなく、出来ないのか」
割れた鏡を見つけて、自身の姿を確認してみる。それは探屋真実、現実と同じ姿のまま。
アバター変更が禁止なのは俺だけではないのか。【ロストワールド】自体がそのような設定だったのか。
事務所内を確認してみる。
鏡や椅子型VR機器、ベッドやデスクの位置は探偵事務所と設置箇所は変わらないのは間違いなさそうだが……
「デスクの中身までは真似てないようだな。外観しか見えてないのか」
デスクの引き出しや壊れた金庫の中は空。
俺の頭を中を模倣していたら、同じ物が置いているはずだ。
「それもおかしな話になるな。ソロプレイなら問題ないかもしれないが」
一人用のゲームなら問題ないが、仮想世界はそうじゃない。マルチ、協力ゲーム。勿論、ソロで行動する事と可能だが、世界そのものに影響を与えるものじゃない。
【ロストワールド】に参加したプレイヤーも五人と分かっているのなら、その五人は共に行動したのだろう。
其々が別の世界に見えていたという事はなく、共通の世界だったはずだ。
それとも開始場所だけが、自身の部屋が反映されるのか。
されたとしても、その情報は自身の頭の中を覗き込まれていると考えてしまう。




