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「どのような世界かまでは書かれてないか」
【ロストワールド】の世界観、内容の情報はなし。
参加者がいたのであれば、体験談を書いて、ネットに載せる奴はいなかったのか。
一時的に開放されただけの情報だけなのも気になるところだ。
「次はメイデンで調べて……ボダさんからだ。……ダメ元で聞いてみるのはありか? 依頼内容を話すわけじゃない。一時的な開放は書かれていたぐらいだ」
何でも屋の方にボダさんから依頼取り下げが届いた。相手にはパートナーがすでにいたらしい。
タイミング的には丁度良かった。
彼(彼女)は様々なVRを経験しているだけでなく、交流関係が浅くて広い。その中に【ロストワールド】体験者がいるかどうか。もしくは、ボダさんが本人が体験者であれば助かる。
【ロストワールド】関連の依頼が来たと思われるかもしれないが、深く追求はしてこないだろう。
『了解しました。つかぬ事は聞くのですが、【ロストワールド】という仮想世界に関して何か知っている事はありますか? あれば、教えて頂きたく。次回の依頼の報酬はなしで構いません。もしくは、相応の支払いはしますので』
「おっ!! すぐに返信が来るのは助かる」
ボダさんは知っている情報を送ってきた。本人ではなく、知り合いでもない。
誰かが話しているのを耳にした程度らしい。それもあって、報酬はなしで構わないようだ。
「VR初期の作品。荒廃した現代世界。参加したのは五人。プレイヤー達以外は誰もいなかった」
仮想世界も色々とある。ゲームにジャンルがあるようにファンタジーや青春、格闘、ホラーも存在する。買い物も仮想世界で試着し、買う事も可能。
【ロストワールド】はファンタジーではなく、現代世界が舞台らしい。終末世界を旅するのがメインという設定なのか。
「参加した後、そのプレイヤーを見かけなくなった?」
直後という事はないだろう。世界観を誰かに伝えたプレイヤーがいるはず。
メイデンと名乗る人物は参加者という可能性。他の参加者が何かあり、それを俺に調べて貰うつもりなのか。
いや、参加者というよりも【ロストワールド】の管理人、制作者側か。でなければ、俺をその世界に招待する事は出来ない。なんせ、今は閉鎖された状況だからだ。
参加者五人全員……誰か一人が【ロストワールド】で何かをしたのか。
「制作者の名前は載ってないか。メイデンの名前があれば良かったんだが……それでも」
初期時の作品であり、プレイヤーの消失。
これが事実なら、師匠関連の情報が手に入る可能性がある。
何処にもなかった手掛かりがあるのなら、依頼を受けるしかない。
俺は依頼者であるメイデンに引き受ける事を返信した。
【ロストワールド】の招待コードを手に入れたとしても、その時間にいなければ意味がない。
メイデンがその世界へ常にいる事は流石にないはずなんだが……
「時間の指定はなし。ただし、姿の変更は禁止か」
依頼が来て時間はそこまで経過していない。相手の返事が早いのも理解出来る。
だが、自身を見られている、視線が突き刺さるような感覚に陥ってしまった。姿の変更の拒否は、探屋真実の姿をすでに把握しているかのように。




