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「どれどれ……依頼内容は【血の奪還】? 穏やかな内容じゃないが……VR関連か? だとしても、探偵側で依頼を出すのは……」
ボダさんは俺が探偵である事を知っているわけだが、教えるにしても何でも屋の依頼で来るはず。探偵側じゃない。
VR関連だとしたら、偶然か?
「成功報酬と必要経費を合わせて……一、十、百、千、万……一千万!? だとしても」
一人頭の調査料金は一時間で一万前後が相場だ。普通は二人や三人、多人数で行動するため、十、二十万は必要だろう。
俺の場合、単独行動。依頼者もそれを知っていたとして、破格の依頼料になる。
その分、胡散臭い依頼であり、危険な依頼だと予想……探偵の勘が言っている。
師匠曰く、優れた探偵には危険な事件が舞い込んでくる。それを解決するたび、数は増えていくと。
俺もそれらしき事件を師匠と解決した事がある。そして、師匠が姿を消した状態になった場合は……
「……報酬に目が眩んで、やってみる……話を聞くぐらいはするか」
危険な行動に出るのにも理由が必要だ。依頼者もそれが分かっている。一千万は命の値段だろう。
「名前と場所の指定だけで、内容は直接話すわけか」
依頼者の名前はメイデン。VR内でのアバター名なのか。
指定された場所も【ロストワールド】【朽ち果てた城】の二つが書かれている。
【ロストワールド】が仮想世界であり、その中に【朽ち果てた城】という場所があるのだろう。
だが、俺も何でも屋をして無数のVR、仮想世界に参加しているが、【ロストワールド】という世界は聞いた事がない。
とはいえ、依頼者であるメイデンから招待コードが来ている。
これをVR装置に入力して、探屋真実と認識されたら、その世界に入れる。
仮想世界に入るためには条件がある。
VR装置だけでなく、適した体にするための手術が必要になる。首元にVR装置用プラグを差し込む穴を付けるわけだ。それもあり、体が不自由な者もVRでは自由に動く事が可能となったわけだが……
それだけではなく、脳や血、体全体を調べられた後、生体番号が与えられる。
それは様々な世界で別の姿になったとしても、詳しく調べれば正体が判明可能となるわけだ。
管理しているのは仮想研らしいが、詳しく調べる事は出来ない。
師匠も仮想研関連を調べていた。VR過激派、反対派の事件もあり、その直後から音信不通となった。
俺がVRで何でも屋をやっているのは師匠の……霊姫叶の情報が入るのを求めているのもある。
今はそれらしき情報は一つも入手出来ていない。
「安易に入らず、調べてみるか」
仮想世界、VR装置が必ずしも安全とは限らない。安全装置が組み込まれているが、絶対というのはない。
危険と感じるものは、石橋を叩いて進んだ方がいい。
まずはネットに【ロストワールド】を入力。加えて、VR世界も付け足す。
「Hitしたが……どういう事だ?」
【ロストワールド】という仮想世界は確かにあった。
しかも、VRが生み出された初期時の世界であり、すぐに閉鎖されている。その理由は不明。
それが今になって一時的に……一週間のみ開放されていたようだ。
依頼らその一週間に起きた出来事に関連するのか。




