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境界線  作者: Gan
24/33

ー10ー

「三人目。ニック=サンドリオン。U国の短期留学生ね。学年は二年。仮想世界を勉強に来たらしいよ。彼こそ接点は何もないね。大狼が接近する事もなかったんじゃないかな?」


 U国も仮想世界に手を出し始めたという情報はある。日本だけでなく、エルドラドにも派遣して、技術を手に入れようとしているらしい。


 ニックもその一環で留学生として来たのか。


 短髪の黒人。ガタイも大狼の方が大きいぐらいだ。ただ、服を着ていても、体は鍛えられている感はある。


 写真も彼一人が映るよりも、多人数が映っている方が多い。それも学生だけではなく、スーツを着た外国だけでなく、日本人の大人達と共に。


「腑に落ちないって顔をしてるね。彼の周囲の人間に関しては調べてないよ。今のところは必要ないと思うし」


 カシムは先に彼の情報を教えた……という事は、依頼人とは違う。


 ここまで来れば、説明するのを考えるのなら、依頼人は最後に回すはず。


 写真を見た時、彼が依頼人だと思っていた。


 カシムも日本人ではない事もあるが、ニックが小鳥遊の通うH高校に留学している事へ違和感があったからだ。


 N市にはエルドラド外国人学校がある。


 門戸は広く、エルドラド人以外の外国人も受け入れている。


 VR技術においては日本よりもエルドラドが上であり、この分野を勉強するのであれば、こちらに行くべきだろう。


 別の目的があるのなら、話は別になるが……


 カシムもそこは無闇に踏み込まないようにしているのかもしれない。


 スーツの大人達が風間や大狼、小鳥遊に接近していたのであれば、関係性を調べていたと思う。


 風間、大狼、ニックの三人に学校以外の共通点はなし。


 小鳥遊と仮想世界で接点がある可能性があるぐらいだ。今のところ確実ではない。


 女生徒は残っているが、何故この四人なのか。


 小鳥遊源が幾つものVRゲームをしていたのは間違いないとして、接触している人間は複数人いる。


 学校の生徒だけに絞る必要はないはずだ。


「最後の一人。巳神(みかみ真理亜(まりあ。一年生だね」


 彼女の制服のネクタイの色は青。三年が赤。二年が緑。一年が青というわけだ。


 黒髪のセミロング。眼鏡をかけていている。ハーフかクォーターなのか、瞳の色が茶色だ。


 彼女も一人で映る写真が多い。その中に映る彼女の表情は感情に乏しいというのか、人形のような感じがある。それに……


「彼女がお前の依頼人なのか? 巳神の全ての写真で、彼女はこちらに気付いているぞ」


「そうなの!? 全然気付かなかったんだけど……私が撮ったわけじゃないから」


 カシムもそこは分からなかったようだ。彼女が撮影者ではなく、協力者がいるという事。その人物が誰なのかは知らないが。

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