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「【血の奪還】という依頼。貴女は吸血姫であり
、人の血を吸ってないと言ってるが、本来は奪う側になる。それだけではなく、人と会うのも久し振りだとも」
吸血姫はその名の如く血を吸う生物。魔物、怪人、異形等様々な呼び方があると思う。
それが逆に奪われた事によって、プライドが傷付けられた……という風ではなさそうだ。
「そうですね。人と直接会うのは叶以降、探屋だけです」
「直接……貴女の世界に侵入者……人がいた事は知ってるわけですね」
【ロストワールド】は彼女の世界であるなら、侵入者の存在に遅かれ早かれ気付くはず。『直接』という言葉を使った理由はそれだろう。
「七人……気付くのが遅く、何も出来なかったのが悔やまれますが」
この世界がどれくらいの広さがあるかは分からない。
ムーンライトタワー、【朽ち果てた城】と距離があれば、侵入に気付くのが遅くなるのか。それとも別に理由があるのか。
それだけじゃなく、【ロストワールド】に侵入した人数。
ボダさんの情報は五人。メイデンが気付いた人数は七人。二人の差がある。
その二人は五人とは別行動を取っていたのか。それとも時間帯が違っていたのか。
「彼等がどのような姿をしていたかは把握しています」
メイデンが操る蝙蝠達が集まり、七人の姿を模倣していく。
老若男女。男四人女三人。全員が同じ年齢、性別じゃない。
俺と同じであれば、本来の姿。現実と変わらない事になる。
二人はN市にある高校の制服を着ている。同じ高校ではなく、別。
似た制服はあるだろうが、捜す必要があるのなら、一番に調べる場所にはなるだろう。
他にはスーツを着た女性。肥え太った男性。双子のような男女。眼帯を付けた老人。
眼帯付きの老人は特徴ではあるが、他は目立つような姿をしておらず、居場所を特定するのは難しい。
「血は比喩で、彼等がこの世界にある何かを奪ったのか?」
メイデンは侵入者と会っていないのだから、血を奪われる事はない。
だが、世界そのものが彼女であるのなら、小さな物でも体の一部と見做されるのかもしれない。
現に四階の宝箱らしい物の中身は空になっている。【朽ち果てた城】内部ではあるが、奪われた形跡はある。
今回の侵入者がした事とは別としてだ。
「物を盗むだけなら問題はありませんでした。いや……探屋の世界に影響が出るかもしれませんね」
彼女は意味深な言葉を口にした。
『探屋の世界に影響が出るかもしれない』というのはどういう事なのか。
仮想世界にある道具はその世界でしか使えない。現実に持ち込むのは不可能。
盗んだところで、この世界が封鎖されてしまえば意味が無くなってしまう……はずだ。




