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1 覇者、ギルドへ (1)

この話は最強の者が行き着いた先にどうなるか、という想像から生まれました。最強の割に地味なストーリーなので痛快さはあんまりないです、悲しいね。



小さな小さなこの世界、その片隅からこの世の全てを統べ、あらゆる理を超え、神すらねじ伏せる力を得たのち、忽然と姿を消した者、かつての人々はその者を覇者と呼んだ。


時は過ぎ去り、何もかもが変わった世界「チキュー」。その中の一つの国、タニアン王国は、魔王と魔族が率いる大森林と人間が築いた国々に分かれ、魔族と人間が争う混沌の時代を迎えていた。


タニアン王国から少し南西にある町、ルクでは王国、商人あるいは一般人のあらゆる依頼からお悩みまで、どんとこい!をモットーに運営されているギルドがあった。

剣豪、騎士、魔術師、魔道士、魔法使い、酔っ払いに債務者。かなり多くの人で賑わうが、それなりに広く、明るいウッディーな内装と、割と掃除の行き届いた空間は居心地が良く、穏やかな時間が流れる。

やがて、

「カランカラン」

とギルドの玄関扉に付いた鈴が鳴り、扉が内側に開く、誰かが入ってくる。


誰が来たのか気になって、あるいはただ鈴の音に反応してか、幾人かが振り返る、そして静かになる。その波紋が徐々に広がり、やがて誰も口から音を発さなくなる。


扉から受付へ歩く"ソレ"は2メートルはありそうな多分男。単に体格に恵まれていればこの町じゃ、なんてことはないありふれた背丈だが、場内の目を引いたのはその丈の1/5ほど、胸上から頭部が大きな岩肌に背後を覆われた、淡い水色のひし形結晶でできた物体である。薄く、文字通りの絵に書いたような顔が、水晶の中に浮かんでいて、かろうじて顔と分かるが明らかに人間ではない。


多分男、というのは頭部以外の身なりは、薄汚れた皮に鉄のプレートで申し訳程度に防護された男性用の鎧を来た人間であるからだった。


ギシッギシッと、受付へ歩みを進める大男は静寂の果てに、受付のすっとんきょうな女性に、おそらく結晶の顔から発せられる声を出す。


「すまない、ここで請負人(コントラクター)の登録ができると聞いたのだが、私も登録できるだろうか?」


この町のギルドでは、依頼する人は(リクエスター)、請け負う人は(コントラクター)と呼ばれているが、初めて訪れたはずの大男が、すんなりこの言葉を使ったことは今はどうでもよかった。


第一声は確かに中年の平均よりは低めの人間の声。声がどこから聞こえるのか、すっとんきょうなままの女性が辺りを見回して、確認してから大男に答える。


「はい、えっと、人間……ではないですよねぇ、あっ違います!差別とかじゃなくて!、獣人、エルフ、でもないですよねぇ……えーと、」


と、おぼつかない答えをすると、大男は


「すまない、驚かせるつもりはなかったんだ。まだこのち、地に来て間もなくて。私は鉱物族(オーリア)なんだ、どうやらここでは珍しい種族なのだな……。」


ムムムッという顔で少し戸惑っていた。


鉱物族(オーリア)。鉱物に特殊な魔力が流れることで生まれる種族であるが、小さな島国に暮らしている以外は、よほどの探検家でもなければ詳細を知らない。


「……すみません、資料を見てきますのでお待ちいただいてもいいですか?」


そう言ってやっとすっとんきょうから帰ってきた受付の女性は、大男の許可をもらうと受付の奥へと小走りした。


やがて、女性は薄汚れた皮の表紙に日焼けしてあせた紙でできたタウンページくらい大きい本を持って出てきた。

表紙には種族見聞録3と書かれている。

少しの間、パラパラとページをめくってから手を止めて女性が話を進める。


鉱物族(オーリア)、ありました!なるほど、友好対立判断不明、知能指数不明、種族として統括判断不能、個体によって判断し幹部の承認及び特殊条件での請負人(コントラクター)承認可能。……と言うことみたいです……。」


と、徐々にトーンが下がりながらばつの悪そうに書いてあることをそのまま音読し、瞬きを3回するまでの沈黙の後、


「……申し訳ありません。上の者を呼んでまいりますのでお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」


急にかしこまり、完璧に本来の受付としての自分に戻った女性が上司を呼ぶことにした。


よろしくお願いします、と女性につられてかしこまった大男が答え、女性はカウンターを出て左にある階段を登り、2階の部屋へと入っていった。


大男の見た目は人間の体に、頭がアメジストとかの原石が、岩と方解石でできた囲いの内側に、いっぱいできてるイメージで、アメジストがある部分にひし形の大きな水晶が埋まっている感じです。


あと、ギルドの設計を書こうとしたんですが、長くなるのでここに書きます。 

外見は大きなログハウスの見た目で、建物の正面右に出入口があります。

ドアは開き戸で、入ると目の前に受付のカウンターがあり右に階段があります。

左には低い段差の上に長机が8つほどあり各机に椅子が4つくらいあります。

左奥は厨房と料理カウンター、あとは物置きに繋がる扉が1つあります。

階段を上がって左にテラスのような、一階を見下ろせる二階があり、部屋の扉が奥に一つと壁沿いに2つあります。

窓は左壁にある依頼ボードと並んで2つと奥に1つあります。

照明は自然光とランタンです。

建築のことは何一つ分からないので想像でしかないのですが、ざっくりこんなイメージです。

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