〜走る馬車の中〜
三人がエルフの里へ行く話を進めているとシルフィアがエリィ達に話したいことがあるとウシャスを介して言ってきた
「少しお聞きしたいのですが、皆さんの中でトーマ様の婚約者の方はいらっしゃいますか?」
「「「婚約者!?」」」
突然の質問に四人は当然びっくりする
「婚約者はいないですけど……あの……それは……どういう……」
「そうなのですね!実はトーマ様に大切なお話があると言った事なのですが、わたしの娘オリーブと「結婚の契り」をして頂けないかと思いまして」
シルフィアは安堵した様子で笑顔になる
「「「えぇぇぇ!?」」」
シルフィアはグリディア王国とエルフ族の歴史について語った、二十年に一度人族を迎え入れる事で滅びゆくエルフ族の未来を変える事ができること
そしてトーマは「アゥフ」であり「自由騎士」でもある、さらに「古代語」も話せることがシルフィアにとってはこれ以上ない条件だった
「ですが一番はやはりお人柄です、トーマ様は種族の壁を越えて接することが出来る方です、オリーブもきっと好きになると思います」
「「「……」」」
シルフィアのトーマに対する印象があながち間違っていないこと、エルフが滅びゆく種族であることもあり、皆それぞれ何も言えずにいた
シルフィアとウシャスは第八騎士団の警護の下グリディア城内で待機することになり
コーラル達はラーダーが引く馬車に乗りエルフの里へ秘薬を求めてすぐに旅立った
ビビはシルフィアから書状を預かっており、それを見せれば秘薬を受け取れるようになっている
走る馬車の中、三人はお互いに気になってた事を話し出した
「トーマっち……結婚しちゃうソ?……」
「……どうだろうな……王女は美女らしいからな……」
「僕は反対です!姉さんというものがありながら結婚なんて……」
「姉さんというものがありながらキスしたけどな」
「――ビッビビさん!あれは事故ですよ〜」
「と、言いながらもイルミ〜もまんざらでもなかったりして〜っちゃ」
「なんてこと言うんですか!コーラルさん!僕には世界一尊敬する姉さんがいるんです!トーマさんは……まあ……尊敬はしてないこともないですが……助けてもくれましたし……強いし……優しいし……顔は普通ですけど……」
「もういいぞ、お前の気持ちはわかった」
「ぷぷっイルミ〜もめっちゃ好きなんちゃ!」
「――どうしてそうなるんですか!」
馬車の道中ではビビとコーラルが終始イルミナをいじっていた