〜武装具適正者試合と天才達〜
「武装具」適正者試合は城の敷地内にある騎士詰所で行われる
地下には古くからある兵士や騎士達の訓練所があり、今日はここで二試合行われる
集まった騎士や兵士は「アゥフ」のトーマと「天才剣士」と言われているイルミナ・オーシャンの戦いを一目見ようと大勢来ていた
「トーマくん、たくさん人がいますね」
「うん、エリィは今日治癒班のお手伝い?」
「はい、トーマくんが怪我してもわたしが癒しますから大丈夫ですよ」
「ありがとう、なるべく怪我しないように気をつけるね」
――エリィの治癒……ちょっと怪我してもいいかも……トーマくん膝の上に頭を乗せてください、エリィそんなたいした怪我してないよ、ううんわたしが乗せてあげたいんです、えっそれってどういう、ふふっ内緒です……エリィ……トーマくん……――
「おお〜自由騎士のトーマくん!今日は可愛い子ちゃんは一人だけ?いつも取っ替え引っ替え連れてるけど」
「ちょっビオルクさん!何言ってるんですか!こんな大勢の前で……」
トーマは慌ててビオルクの口を塞ぐ
「「「やっぱアゥフは違うな……」自由騎士だから……」やる事も自由……」
兵士達が小声で話してるなかトーマは必死でエリィに弁解するが、背中に殺気を感じ後ろを振り向くと
鋭い眼光で睨んでくる者がいた
「トーマさん……やはりあなたは僕が直接戦うべきでしたね!何人も女性たちをたぶらかし、姉にまで手を出そうとは!この試合後は僕と戦ってもらいます!」
「――イルミナくん!誤解なんだよ!オレなんて本当にモテなくて、女の子と付き合ったりした事もないし……手をつないで歩いたりも……ないし……告白すら……まともに……」
トーマは自分で言っててだんだん切なくなり落ち込んでいる
「とっとにかくです!僕はあなたを認めません!……試合に集中します!」
なんか少し落ち込んでいるトーマを見て気まずくなったイルミナはそう言って離れて行った
「ビオルクさ〜ん!イルミナくんに嫌われちゃったじゃないですか!」
「まあまあ〜どちらにしても目の敵にはされるよ!なんせシュンカさんが君を認めてるからね〜」
「……ああ……どうしよう……戦いたくないな〜……傷つけたくないな〜」
「ふ〜ん、トーマくんは自信あるんだ〜?天才剣士に勝つ自信が〜」
「天才剣士?」
「そうだよ〜今までイルミナが戦って傷を負ったところ見たことないね!」
「シュンカさんと同じ「神妙のブラッドスペル」ですか?」
「いや……別の能力だよ!」