表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/217

〜想い〜

「と、まあ……そういうわけだ、分かったか?」


「うっうっ……ビビりん……そんなツラいことが……」 

「ビビ……お前ってやつは……ウェラさんを想い、五十年も……カッコ良すぎするぜ……」

「ビビさん……「愛」ってすごいんですね……」

 トーマ達は涙で言葉が詰まりながらもビビにそう伝える

 

「……」


「……まあ、というわけでビビもお前らに付いて行くぞ!」

「「「えっ!?」」」


「どういうわけでそうなるの?」

 トーマは困惑して言う

 

「ベリオンは生きておる、屋敷が崩壊し帝国軍が駆けつけた時には奴の亡き骸は無かった……瀕死だったとは思うが全魔力で蘇生を行ったのだろう、吸血鬼はそう簡単には死なないからな」


「ウチらに魔帝国と戦えってことなソ?」


「いや……血だ!トーマの血を少しずつもらう!」


「「「――!」」」


「嫌なんだけど」

「――何!?先程くれたではないか!」

「いやあれはあげたっていうか……ビビに勝手に流れた?……ていうか」

「いやもらう!」

「嫌だ!」

「いいではないか!少しずつくらい死にはしない!献上しろ!」

「嫌だよ!」

「何故だ!話しを聞いただろう!復しゅ……」

「だからだよ!じゃあオレがやる!」


「「「――トーマくん」トーマっち」――!」

 

「ビビ……ウェラさんはビビに幸せになって欲しいんだよ……復讐なんて望んでない!」


「お前は……なぜそこまで……?」


「……だってビビはウェラさんとの「愛を忘れたくない」から……「トワイライト」を名乗ってるんだろ!」


「――っ!」

トーマの発言で静まり返る

 

 ビビの目から涙がこぼれる

 ウェラが亡くなった時にも出なかった涙が、自分の気持ちに気付かされたことで涙腺が刺激される

 止まらなかった、一人ぼっちで内に秘めていた想いが五十年分の感情とともに溢れ出す


「……うっ」「……」「……くっ」

エリィやコーラルの胸にも響く

 

トーマは続ける

  

「エリィのような優しく思いやりのある人族、コーラルのように明るく元気で差別に負けない心を持つ獣人族……そして種族の壁を超えた愛を知るビビのような魔族がいれば……そういう人がいっぱい居れば……戦争なんて起こらないんじゃないかな……」


「――っ」

ビビは言葉を失う

 

「ラビスの世界で異物なオレが……おこがましくも制裁を下すよ!それしかない……」

 

「トーマ……魔王にでもなるつもりか……?」


「トーマくん……それでセブンですか……?」

「えっ!トーマっちがセブン?」

「オレは騎士だ!騎士になる!夢があるから!」

「トーマっち……」

「だけど許せないものもある……オレは自分勝手だから……それをセブンがやる!」

 

「トーマ……世界を敵に回すのか?」

 

「アース人だからね!傲慢(ごうまん)で強欲なんだ……身勝手だし、でもそんな人間一人で十分だからビビはウェラさんの願いを……」

「面白い!ビビが見届けてやろう!」

「いや……足手まといだし」

「トーマ!お前は消し炭になりたいようだな!」

 

 ビビは手に魔力を集中させる!

 しかし今のビビには先程のような魔力はない


「そんな魔力で言われても……体もひ弱だし……」

「よし!死罪確定だな……くっ離せ!……コーラル」

 トーマに飛びかかろうとするビビをコーラルが抱きかかえて止める


「トーマっち!連れて行ってあげようっちゃ!ビビりんはお金いっぱい持ってるソ」

 

「くっ!お前ら愚弄しよって!」

「ふふふ、楽しそうですね、トーマくんわたしからもお願いします、ビビさんにも協力してもらいましょう、ガーリア帝国やグリモア魔帝国に詳しそうですし」


「そうだね!そうしよう」

「「……」」


 エリィの一言であっさり決断するトーマをビビとコーラルは冷めた目で見ていた

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ