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〜愛と魔法使いと吸血鬼〜⑩

トワイライト家は帝国でも有数の貴族の家柄で、屋敷も敷地も他とは比べ物にならないほど大きい


 ただこの家系は代々子宝に恵まれにくく他の貴族のように後継ぎは多くない


 ウェラもまた一人息子として厳しく教育されていた


 ただトワイライト家では教育といっても教養よりもたくましくといった方針で兵役などに参加させていたのだ


 兵役から帰って来たウェラは一人の少女を両親に紹介した

 戦争で両親を失って身寄りのない少女を保護して、自分の従者にしたいと告げたのだ


 その器量に納得した父親は、喜んで受け入れ無事ヴィヴィアンはウェラの家に住むことになった


 一緒に住むようになって数ヶ月経った頃にはヴィヴィアンは両親にも信頼されるようになっていた

 定期的に血を吸いながら少しずつ魔力の回復を待つヴィヴィアン


「ウェラ!いっこうに魔力が戻らん!お前の血はどうなっておるのだ!」

「ごめんヴィヴィアン……僕の血が凡庸(ぼんよう)すぎて……」


「――!ビビはそこまで言っておらん……ただずっとこんな生活だと王としての尊厳(そんげん)がだな……」


「もう良くない?……「吸血鬼の王」に戻るの……僕はヴィヴィアンと一緒にいたい」

 

「……それは無理だ!ビビは魔族、ウェラは人族なのだぞ!ずっと一緒にいることなんて……」

 

「愛してるんだ……ヴィヴィアンのこと」


「――!」


「なっ何を言ってるんだ……吸血鬼だぞ!ウェラ……トワイライト家をお前の代で終わらせるつもりか!」


「……ヴィヴィアンは……僕のことをどう想っているの?」


「……」


「……どうも想っていない……ウェラは……ウェラはビビにとって「血盟(けつめい)の同志」だ……」

 

「……血盟の同志」


 ウェラは愛してはいけない人を愛してしまった、決して結ばれてはいけない人

 魔族と人族は寿命からして違う、仮に一緒になったとしても待っているのは(つら)い現実

 「大貴族」と「吸血鬼の王」という立場、誰からも祝福されることはない

 むしろどこかで露見すれば、命の危険すらある


 ヴィヴィアンはこの事実を理解しウェラに対して線引きをした

  

ヴィヴィアンがトワイライト家に来てもうすぐ一年が過ぎようとしていた


「ウェラ、そろそろお前も身を固めないか?」

「父上、僕も十七になります!すでに心に決めている人がいます」


「……そうか……ビビか?」

ウェラの父親は気付いていた


「はい!彼女以外考えられません!」


「……」


「私は貴族だからといってその立場の者と結ばれないといけないとは思わない……むしろお前のその気持ちがトワイライト家をさらに発展させるのではと感動している」


「父上……」


「愛を知り、強くなったな!」


「ビビを呼んできてくれないか?」

「はい!」


 実はこの時ウェラの父親は重い病を(わずら)っていた、不幸にも母親は先月事故で亡くしている

 母親は貴族の奥方(おくがた)のみの会食に出かけた際に馬車が暴走し、崖から落ちたのだ

 トワイライト家は早急にウェラを当主に置き、大貴族として務めていかなければならない


 ヴィヴィアンが呼び出されたのはウェラの父親の寝室、ベッドに寝ていてかなり顔色が悪く痩せ細っている

「お呼びですか?旦那様」

「ビビか……お前に頼みたい事がある……」


「……」


「ウェラを……支えてやってくれないか?」


「……それは」


「実は……トワイライト家はウェラの代で終わっていいと考えている……ウェラにはそうは言っていないが……おそらく血筋(ちすじ)的に限界なのだと思う」


「……」


「ウェラが立派になってくれたのは君のおかげだ、「愛」はいい……「愛」は人を成長させてくれる……頼む……アイツが人生を(まっと)うするまででいい!」

 

「――!旦那様……まさか」


「ビビ、君が何者なのかは関係ない……もし少しでもアイツのことを想ってくれているのなら……」


「ビビは魔族です……」

「……ああ」


「吸血鬼です……」

「……ああ」


「……人族は理解出来ない……」


「……私はただ息子に幸せになって欲しいだけなんだ」


 翌日、病が急変しウェラの父は亡くなった


数週間が過ぎ、ウェラの気持ちも落ち着きヴィヴィアンと二人だけになってしまった

 もちろん使用人などは多数いるがトワイライト家では基本的に使用人の仕事は通いで行われているのだ

 

「少しはチカラが戻ってきたぞ!」

「ヴィヴィアン!まだまだだよ!そんなんじゃ勝てない!」

「……まあな……魔法使いとかの血を頂けばすぐにでも……」

「血盟だからね!」


「……」

「お前はすぐにその言葉を使いたがる……根に持ってるな!」

「ふっふっふ、僕の血薄くて良かった〜」


「まったく……何って奴だ!」


「ヴィヴィアン愛してる!」

「……はいはい」


「お願い!結婚して下さい!」

「無理」


 ウェラはめげない、毎日のようにアピールし続けた

 

「ヴィヴィアン好きだ!」

「無視、無視」


「ヴィヴィアン一緒になってくれ!」

「しつこい!」


「ヴィヴィアン、血を全部あげるから結婚して!」

「死ぬぞ」


 なんだかんだと楽しく生活していた二人だったが、その日は突然やってきた


 深夜のトワイライト家の屋敷に禍々しい魔力が侵入してきたのだ


 魔力の数は一つだが強大な魔力だ


ヴィヴィアンは屋敷の敷地に出る!

 

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