〜愛と魔法使いと吸血鬼〜⑦
店主の体が裂けて人間の皮を被った魔獣が姿を現した
コウモリのような顔に広げると三メートルはあろうかというほどの翼を持ち、足が歪な形をしている魔獣ビルバッドンがビビの腕をへし折った!
「――ぐっ!」
ビルバッドンがビビの首にかぶりつく瞬間!
コーラルのトンファーがビルバッドンの脇腹を殴りつける!
一瞬ぐらつくビルバッドンは瞬時にコーラルの横っ面に裏拳を放ち吹き飛ばす!
「ワナダッタノカ?マアイイ、キョウデコノマチモオワリニスルカ」
エリィが吹き飛んだコーラルのもとに駆け寄り素早く治癒を開始する
殺気を感知したトーマが「神妙のブラッドスペル」を発動し、凄まじいスピードで辿り着き対峙する
ビルバッドンはビビを後ろから羽交締めにしトーマと対峙する
「ウゴクトコノオンナノクビヲオルゾ」
「……ちょっと聞いて欲しいんだけど、その子の血はあまり美味しくないよ……」
「何ぃトーマ!この大魔法使いを……」
「オレはね……「神妙のブラッドスペル」って特別な血で「アース人」なんだ!」
「「――!」」
「ちょーレアだぜ!」
「ア……アースジンッテナンダ……ドンナ……アジナンダ」
――おお〜気になってる、気になってる――
「その子を離してくれたらオレの血をあげてもいいぞ」
「――!」
「ちょっと出してみようか?」
トーマは手のひらを剣で切り拳を握った
地面にボタボタと血が落ちる
「オォォォアァァァ〜」
興奮したビルバッドンがビビをトーマに向かって投げつけた!
物凄い勢いでビビは投げ飛ばされトーマはしっかり受け止める!
両手が塞がり隙が出来たトーマにビルバッドンは飛びかかる!
トーマはビビを抱いたまま上体を反らしビルバッドンの腹に蹴りを入れる!
トーマのパワーにビルバッドンは悶絶して吹き飛ぶが、すぐに体勢を立て直して咆哮する
「ググッググッガァァ〜!」
逆上したビルバッドンは禍々しく強大な魔力を放出している
Aランク相当の魔力が魔獣ビルバッドンを包み込む
――やっぱりAランクくらいは強いよね……何だ!?――
しかし、それよりもとんでもない魔力にトーマの額から汗が流れる
「魔将校」クラスの魔力が突然現れた!
空気がヒリつく!
ほとばしる赤紫色の稲光がトーマの胸の中で輝く!
「美味ぞ!五十年振り……しかもこのような希少な血があろうとは……トーマ……大義であった!」
「……ビビ?」
折られたはずのビビの腕が治っている
ビビはトーマの腕の中から出てふわりと空中に浮遊しビルバッドンに向かって手を向ける!
凄まじい魔力がその手に集約されていく!
「ビビ!」
「ビビりん……すごいっちゃ!」
「ビビさん……あなたはまさか……」
「ナニ!……コノマリョク……マサカ!オマエハ……マゾクヲ……」
「我が名は大魔法使い「ヴィヴィアン・トワイライト」!最高位魔族のヴァンパイアロードなるぞ!」
「「「ヴァンパイアロード!」」」
「街を壊してはいかんな!」
ビビは魔力をさらに集約する!
「伊加都知!」
ビビの手から龍の雷光が走りビルバッドンに喰らいつき雷鳴とともに魔獣ごと消滅した!
「――ゲバッ!」
「ふん、ビビの腕を折った罰だ!」
吸血鬼と思われた魔獣は倒した、一応これで事件は解決した事になる
魔獣は消滅したが魔石が残っている、それを証拠に当番の兵士に告げて街の平和とビビの無罪放免で決着がついた
決着はついたのだが、この事実への扉を開いていく
読んでくださりありがとうございます。
今作を読んで
「面白そう!」
「応援してるよ!」
と少しでも思ってくれたら↓の★★★★★を押して応援してくれるととても嬉しいです!
ブックマークもお願いします!
あなたの応援が、作者の更新の原動力になります!
よろしくお願いします!




