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〜愛と魔法使いと吸血鬼〜⑤ 魔女狩り

「無礼者が!気安くビビに触れるな!」

ビビが兵士達の拘束を振り(ほど)こうとする!


「この魔族が!」

 兵士は抵抗するビビを槍の()で殴った

鈍い音とともに(ひたい)から血を流し兵士を(にら)みつけるビビ!

 

 さらに兵士はビビを蹴り飛ばし、手を縛られ拘束されているビビは体重も軽いので人形のように吹き飛んでしまう


 街の人々も近付くと怖いのか遠くから小石を投げつけ罵倒(ばとう)している

「「「殺せ!」殺して!」殺すんだ!」

 

 街の雰囲気は殺気立っていく!

 

 兵士達も連行する予定だが今にも刺し殺すように顔色が変わっていく!

 街中の恐怖という名の邪気が兵士達の殺意を(あお)る!


「お待ち下さい!」

 しかしエリィの声が邪気を振り払う!


 聖女のようにオーラを(まと)い、周囲を包むように気を落ち着かせる

 

「「「エレノア様」」」

 

 この街の成り上がりとして当時アッシュハート家はいいイメージはなかった

 「神託」という神がかり的な事が、本当にこの少女に降りるのかと

 しかし、エリィに「神託」が実際に降りてからは変わった


 ミストの街の者達にとって「エレノア・アッシュハート」だけは聖女のように誰も逆らおうとはしない

 なぜならグリディア王国自体が「神託」を特に重要視し信仰しているからだ


 トーマがビビに駆け寄り抱き上げる


――ビビ……手も縛られて……ひどいな……――


エリィが急いで治癒して傷を癒すと、ビビはトーマの腕の中から出て自ら立ち上がる

「大丈夫か?」

トーマが心配して声をかける

「ああ、すまんな……」

「やってくれたな凡俗(ぼんぞく)ども!」


 ビビの目つきが変わる!


 ビビが体中に魔力を漲らせとてつもない魔力がビビの体を(おお)う、いやまったく覆っていない

 

 迫力の割には大したことのない魔力を纏っているだけだ


――……ぜんぜん魔力無いんだ……――


「「ビビ……」ビビりん……」

 トーマとコーラルがビビの肩に手を置き優しく(なだ)める

 

「ビビ……無理するなよ……」

「ビビりん……ウチもそういう時期があったっちゃ」

「お前ら愚弄(ぐろう)してるな!っていうかビビりんって言うな!」

「うん、うん……ちゃんと飯食ったら強くなるって!ここはエリィに任せよう」

「トーマ……お前なぁ〜!」

 ビビは恥ずかしいのか顔を赤らめて怒っている

「ビビりんはウチらが守るよ!」

 

「ビビさんは吸血鬼ではありません!ですからこの吸血鬼事件と何も関係ないのです、そもそもこのように華奢でチカラも弱いのに人を襲えるでしょうか?」

 エリィが人だかりの中、演説する

 

「――!弱い?ビビが?ビビは大魔法使いだ!」

 

「まあまあ〜ビビ、話がこじれちゃうからここはエリィに合わせよう」

「ちぃ!」

 ビビはトーマに宥められつつ、コーラルに拘束を解いてもらい(ほこり)も払ってもらう


「しかし……この件はアッシュハート家からの通報ですよ」

 一人の兵士がそう答える

 

「――!」

エリィは血の気が引き顔色が悪くなるが、すぐさま振り向きビビに謝罪する

 

「ビビさん……本当に申し訳ありません……恩を仇で返すような事を……」

 エリィがビビに頭を下げることで群衆はどよめく


「よい、ビビにも思うところがある……彼らの触れて欲しくない部分に触れたのだろう」

 

「この尊大(そんだい)な大魔法使いヴィヴィアン・トワイライトはこの件に関するアッシュハート家の所業を許す!」

 

騒めく群衆にも聞こえる大きさでビビはそう言い放つ


「大魔法使い……」

「尊大な……」

 トーマとコーラルは小声で(つぶや)

「なんだお前ら!ビビの極大(きょくだい)魔法を食らいたいようだな!」


 街の空気も落ち着きビビに直接謝罪する者もいればまだ疑っている者もいる

 エリィは自分達がこの事件を解決すると断言し、街はいつもの風景に戻った


「ビビ、一緒に行動して吸血鬼を探してくれないか?疑いを晴らすためにも」

「よかろう!ビビのチカラ見せてやる」

「ビビりん、無理せんでいいっちゃよ……一緒にいるだけで」

「ビビさん、怪我してもわたしが責任持って治します!」

「お前らぁ〜!この大魔法使いにむかってぇ〜愚弄するか〜」 

 

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