〜二人目〜
えぇぇ!いいの?こんな可愛い子とお買い物!
地球のこと知りたいのか〜おしゃれだからファッションのこととかかな?わたしもそんなに詳しくないんだけど大丈夫かな……途中で必要とされなくなったりすると無視されて、あれっ?なんか今日いつもと違うくない?ってなって周りの子からも噂話とかされて、いやそれ聞こえてますけど!って地獄耳のわたしが自分自身に突っ込んで自信を無くした挙げ句、このラビスでも引きこもってしまってべべさんが「今日もお出かけされないのですか?」って気を使われて……
「どっちよ!早く決めなさい!遅いのよ、バカじゃない!」
「えっ!バッ……いっいえ……お願いします……里井エリです」
「ふ〜ん、エリね!行くわよ」
「はっはい!」
すごい!なんかはっきりしてるって感じ……わたしも見習わないと……ここで自分を変えるんだ!
積極的に話題を広げて……せっかくラビス語を死ぬ気で覚えたんだし、自分の言葉で言おう!
「サンセットさん!すごいおしゃれだね!」
「……ミミでいいわよ……まぁオシャレは好きよ!だからアースの流行り教えなさい!」
「ミミ……さん?え〜と……髪のカラーはインナーカラーかな……でもミミさん綺麗な髪の色だからもったいないかな〜ファッションはわたし詳しくないよ、みんなの真似ばっかりしてたんだ」
「インナーカラーって何よ?アースの女の子は普段どんな服着てるのよ?」
「――!」
圧がすごいよ〜!こんなに可愛くてオシャレにも興味あったら間違いなく一軍だね!向こうだったら話もしてくれないかも……でも仲良くなれるように頑張ってみよう
「インナーカラーは髪の内側だけミミさんみたいにピンクにして表面は違う色にするの!……黒とか?」
「ふ〜ん、いいじゃん!……で?」
「あっ……普通……女の子は……制服……かな……?」
「はっきりしないわね〜、あーしもラビスのコーディネートしてあげるから、エリもあーしの服アースっぽくデザインしなさい!」
「えぇぇ!わたしがデザイン!」
「ちょっと何よいきなり大きい声出して!バカじゃない!」
「だって……そんなことした事もないんだもん」
「だったらちょうどいいじゃん!やってみれば?」
「えっ……いいの?失敗しちゃうかもだよ……」
「――?別にいいんじゃん!失敗しても、またやればいいし!普通じゃんそんなの!」
「……」
そっか……そうだよね!ここだったら人の目なんて気にしなくていいもんね!SNSで書き込まれたりなんてしないし……
「うん!やってみる!」
「そう?じゃあ行くわよ!」
こっちに来て二週間も経った、あっという間って感じ……美々は帝国で偉い人だったみたいでビックリしちゃった
わたしがデザインした服も気に入ってくれたみたいだし、髪も黒く染めて完全にアースの女子高生になっちゃった
日本語も気に入ってくれたし「美々」ってめっちゃ可愛い
もう二週間も経ってるのにあの三人は一回も見かけてないな〜……政宗くんって人と宗谷くん見つかったかな〜
でもまだ二か月以上あるし、宗谷くんに会えたらお礼言わないと!彼からしたら何のことかわかんないと思うけど……わたしも変われそうだもん!
美々みたいにハッキリ気持ちを出せるように頑張ろう!
美々といるといろんな人と知り合える、今も最近仲良くなった男の子が声をかけてくれた
「おい!サトエリ、この服が流行りって本当か?」
「あっ!グリムくん似合うね、学生服」
「美々のヤローがうるせ〜んだよ、流行りだから着ろってよ!」
「……そっそうだね!スゴい流行ってるよアースで!グリムくんくらいの男の子はみんな着てるよ」
「そうかよ……これオメーがデザインしたんだろ?」
「うっ……うん」
「やるじゃね〜か!帰ったら美々と何か奢ってやる!」
「えっ?どこか行くの?」
「ああ、大事な作戦だ……グリディアの商業都市オーシャンってとこに行ってくるわ、最悪なことに美々も一緒だ!」
「そっか……さみしいな……せっかく仲良くなれたのに……」
「バッ……バカ……一週間もしたら帰って来るぞ……たぶん……まっまあ美々はちゃんと連れて帰る」
「うん!じゃあ帰ったら打ち上げだね!」
「――!おっ……おう、じゃあちょっくら行ってくるわ!」
「行ってらっしゃい!グリムくん!」
「――!……ちぃ」
ふふ、グリムくんって可愛いな〜年下だよね?
ああ見えて美々と同じで偉い人みたいなんだけど、よく声かけてくれるし……なんかラビスの人ってみんなこんな感じなの?
この街はけっこう貧困の差が激しいみたいだけど種族の差別ってあまりない気がする
貧民街には行ってないからホントのところは分かんないけど、グリディア王国もそうなのかな?
なんで美々とグリムくんは軍人なんだろう?
アーテルカンパニーの「ラビストリップ」ってこっちにとってはメリットあるのかな〜?
わたしがこんなに良くしてもらえてる理由って?
誰かが部屋をノックするので返事を返した
「入ってもいいかな?」
「はっはい!」
誰だろう?部屋を訪ねてくるのって……あの三人はありえないし
「初めまして私はレイジン、里井エリさんだね」
「……はい」
なんか怖い……黒い鎧で覆われてるし……顔も見えないし……わたし何かしたかな?
「怖がらせてすまない……マスクを取るよ」
「――!」
なんかカッコいい……っていうか渋い四十代?
でも優しそうな目……碧眼?綺麗だけどなんか切ない目……
「里井エリさん……君は少し遠くの声が聞こえてないかい」
あっ!マスク取ると声も優しいんだ
「……地獄耳?のことですか?」
「ふっ!地獄耳か……そうだね、う〜ん……聞こうと思えば遠くの声が聞こえる……とか」
「……そうですね、ラビスに来てからはとくにそんな感じはします……でもアバターだからじゃないですか?」
「……逆だな……アバターが邪魔をしている」
「――!……どういう事ですか?」
「生身なら、君は「アゥフ」になれる可能性がある!」
「アゥフ?」
聞いたことないな〜ラビスの歴史もちゃんと勉強しとくんだったな〜
「アバターでは覚醒しきれないだろうが……君はおそらくテレパシーが使えるようになる」
「テレパシー!」
超能力だ!すごい……わたし特別なのかな?
「我々は君のようなアース人を待っていた……アゥフのチカラが必要なんだ」
「えっ……でもアバターじゃ駄目だって……わたしの身体はアースにありますよ」
「……君はラビスにまた来たいか?」
「はい、それはもちろん……ずっと居たいくらいです」
「その時が来れば私がなんとかする……チカラを貸して欲しい、美々とグリムを想ってくれているのであれば我々と共に!」
「……美々とグリムくん……分かりました、協力させて下さい!」
「そうか!……帝国はまもなく開戦する、君はあと二か月この国に居てくれればいい、「アゥフ」であることは誰にも言わないように……君の身が危険になると大変だ」
「……分かりました!」
「では我々はグリディアへ向かう!帰って来ても美々とグリムとは普通に接してやってくれ」
「……もちろんです、お気をつけて……」
すっすごいことになっちゃった!わたし救世主なの?ラビスを救うアース人って……なんか嬉しいな〜必要とされるなんて……よし!なんか分かんないけど遠くの声聞く練習しよう!あとテレパシーって言ってたから遠くに声も届けられるんだよね?
みんなが帰って来るまで特訓しちゃお




