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〜ラビストリップ〜里井エリ(さといえり)

新章

「エリ?……起きてる?」

お母さんがいつもの時間に起こしにきた


「うん、おはよう!今、起きたところ」

 お母さん気を使ってるな〜そりゃこれだけ学校休んでるから不安にもなるよね〜


 学校行かなくて何日経ったかな〜?


「ごめん……今日も家で勉強するね!」

「そう……うん……無理しないでいいからね」

「……うん、ありがとう」

 別にイジメとかじゃないんだけど、なんとなく行きづらいっていうか顔合わせるのが気まずいんだよね


 わたし里井(さとい)エリは十六歳、普通の女子高生、いや普通の人達よりは裕福な生活を送っているほうだと思う


 お父さんは旅行会社を経営していて最近すごく仕事が順調みたいで身の回りがどんどん豪華になってる気がする……帰りも遅いしなんか悪いことでもしてるのかな?


 お母さんと話してるところをたまたま聞いちゃったけど……たしか……「アーテルカンパニー」?だったかな?「提携(ていけい)」結んだって喜んでたもんね


 アーテルカンパニーといえば最近話題の「ラビストリップ」かな〜異世界旅行ってやつ


 異世界か〜行ってみたいなぁ

異世界で暮らせたら最高だよね、SNSに縛られない生活でしょ、色んな種族の人と話したりモンスターやっつけたり、カッコいい騎士様と恋をしたり……わたしには無理かな……たった女子三人グループでも上手くいかないのに……はぁ


夕方になるとお父さんが珍しく早く帰って来た

「エリ、無理に学校行かなくていいから今度息抜きでもするか?……ちょっと大変な息抜きになるけどな」


「……どういう意味?息抜きなのに大変って」


「うん、今度な「ラビストリップ」してみるか?」


「――えっ!いいの?嬉しい……大好きお父さん!」

「ただ一度行くと三か月は戻れないぞ!まだまだけっこうなエネルギー使うからな〜」


「嬉しい〜三か月も?」

「まあ死んじゃうと……こっちに強制的に(かえ)るからな!気をつけないといけない、強制的に戻ると脳に負担をかけるから危険だ」

「えっ!死んじゃうこととかあるの?」


「今までそんなことは一度もないから!安心しろ」

 やばいやばいテンションあがる〜さすがお父さん神過ぎる、どうしようラビス語勉強しないと

「ねっいつから?」


「一ヶ月後にトリップするから、それまで訓練と語学だな」

「まあ今はアバターが言語変換出来るが、自分で話したいなら死ぬ気で勉強しろ」

「今日から死ぬ気でやります!」


 あれから一週間でもう訓練施設、今日はなんか一緒に「ラビストリップ」する人達と顔合わせするみたいだけど、上手くコミュニケーション取れるかな〜?


すごく可愛い女の子が声をかけてきた

「あなたが里井エリさん?私は黒田紫苑(くろだしおん)よ」

「黒田紫苑さん?あの黒田信玄(くろだしんげん)さんのお孫さん!はっ初めまして、里井エリです!お会いできて光栄です!」


 うわ〜可愛いい顔ちっさ!足細っ!高そうなワンピース……なんか全てが違いすぎる……


「あなたは……アーテルの傘下(さんか)の娘さんね!」

「はっはい!よろしくお願いします」


「……観光でいいのよね……特に一緒に行動することはないと思うわ……訓練の邪魔だけはしないように気をつけなさい!」


 あ〜そういう……ですよね〜どう考えてもわたし達は不釣り合いですもんね〜……

「はい!気をつけます」

こうなったら他の同行者と仲良く……


今度はちょっと暗そうな男の子が声をかけてきた

「ここで……いいのか?アンタも連れて来られたのか?」

「いっいえ観光です……」

「観光〜?そんなのも一緒なのか?じゃあ関係ないな……あっちの女のほうか」


 何〜感じ悪っ!なんか見た目も怖いし、引きこもってますって感じ……まあわたしも引きこもりですけど

 

 後ろを違う子が通ったので今度はこっちから声をかけてみる

「あっ!こんに……」

「――」

 無視〜素通り!最後の一人も顔はイケメンなのに

 完全無視された〜それに着物?なんか武士って感じだけど……わたしは騎士様のほうが好きだけどね!


 結局わたしだけ観光なの?ていうか観光以外することあるの?仕事?でも三人とも同い年くらいだし、みんな引きこもり……じゃないよね


 あれから二週間経ってみんなの名前がようやく分かった

 大金持ちの可愛い子が黒田紫苑さんで、プロゲーマーのガリガリの人が漆原隼人くん、そして侍姿のイケメンが真田剣神くん


 といっても三人とはまったく会話をしていない

挨拶しても無視されるし心が折れそう……

 わたしみたいな引きこもりの観光目的とは関わらない感じなのかな


いつも三人一緒にいるから共通の目的があるのかな、わたし得意の盗み聞きで調査すると誰かを探してるみたいなんだよね

 もう少し近付けば聞こえるかも、んっなんか今ちょうど話してる?

「……村正(むらまさ)

村正?……村正くんを探してるってことかな?

「……宗谷……斗真」


 えっ……宗谷斗真って……あの宗谷斗真くん?一緒の中学校でみんなにイジメられてたよね

 彼は家が大変そうだったから……髪も伸びてて制服のサイズもあってなくて靴もボロボロだったイメージ

 

 異世界にいるの?……そっか……わたしは……彼がイジメられているのに何も出来なかった

 怖いから、標的が変わっちゃうかもしれないから見てみぬふりをしてしまった

 

 いやでも違う……彼はイジメられているって感じじゃなかった……思い出した……彼はわたしが出来なかった事をして標的になったんだ

 

 別の子がイジメられているのをかばって自分から標的になったんだ……そう、その時は分かんなかったけど今なら分かる

 宗谷斗真くんは平気でそういう事が出来る人だった


 でも探してどうするんだろう……連れて帰るのかな〜彼はラビストリップするおカネあったのかな〜

 

 異世界で会えたら友達になりたいな……あっまた思い出した……中一の時同じクラスでマラソン大会があった時だ……男女合同で走ってて、わたし急にお腹痛くなっちゃって……当時は恥ずかしくてうずくまってたら先生を呼んで来てくれたんだ

 

 彼はそのせいでビリになってた……ふふっ、めっちゃいいやつじゃん

 全然喋った事ないけど……ていうか女子と喋ってるの見たことないや

 異世界でも人助けしてそう〜でも女子とは全然喋らないみたいな

 なんか異世界行くのまた楽しみになってきたな〜


 ついにこの日が来た、わたしが異世界に降り立つ日が、ドキドキする


 ああ〜緊張するよ〜お腹痛くなっちゃうよ〜お腹痛くなったら宗谷くんが助けてくれたりして……それはないか


 人間一人が入れるくらいのカプセルに寝かされて綺麗なお姉さんがナビゲートしてくれる

「ではアバターの選択をしていきましょう」

「お好みありますか?」

「え〜?どうしよう……わたし優柔不断なんで」

「ではお任せにしますか?」

「普通はお任せじゃないんですか?」

「そうですね、異世界ですから別人のように綺麗にされる方がほとんどです!」


「そうですよね!わたしも人生変えます!」

 え〜と、髪は基本的に銀髪でしょ……じゃあロングで顔はめっちゃ可愛くて、細くて……胸は大きめで美肌で〜美白で〜ってもう詐欺じゃん!……まいっか!


「準備出来ましたね!」

「では横になって下さい、里井エリ様の身体は責任持って管理させて頂きます」

 

「では良いトリップを……」


意識が遠くなっていく……えっここは?……すごく時間が経ったような経ってないような……ここはもうラビスってこと?

 フカフカのベッド、プリンセスみたいなお部屋〜すごい、なんか空気が違う


部屋を物色すると姿見(すがたみ)の鏡がある……自分を見ることでこんなに緊張するなんて……えぇぇ〜!何これほんとにわたし?……綺麗過ぎて怖いんだけど


 触っても完全に人間だよ、不思議……つねってみると痛いし、もうすでに元のわたしに戻りたくない……

 

扉をノックする音がするので恐る恐る開けてみる

「お目覚めですか?ここはガーリア帝国の帝都です、客人として扱わせて頂きます」

「あっありがとうございます、エリといいます」

「わたしは使用人のべべです獣人族です」

「獣人族?……いいな〜可愛いですね〜」

「可愛いですか?ありがとうございます、とても嬉しいです、では何かお困りののことありましたらお呼びください」

「はい!」


 獣人族〜いいな〜わたしもなりたいな〜アバターは人族だけだったし

 それにしてもこんなフリフリの服だと動きづらいから街に出ちゃおっと!おカネも部屋に置いてあるらしいし……ふふっ……楽しみ〜どんなお洋服買おっかな〜


「アンタってこっち初めて?」

べべさんと入れ違いで女の子が扉の前に立っている


「はっはい……初めてです……」

 ピンクの髪〜可愛いい〜洋服もおしゃれ……動きやすそうだしこの子とお友達になったらコーディネートしてくれるかな〜そんなこと言って断られたらこれから三か月、この部屋に引きこもっちゃう……

 

「あーしはミミ・サンセット!この街見て歩くなら案内してあげてもいいわよ!」


「えっ?」


「そのかわりアースのこと教えなさい!」

 

読んでくださりありがとうございます。


今作を読んで


「面白そう!」

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