〜渦巻く画策〜⑨
約束の南口に到着した三人は騎士団の男に声をかけられる
「おお〜この少年がウワサのトーマくん、オレ騎士長代理のビオルクよろしく〜、あのシュンカさんのお気に入りか〜…………見た目普通だね」
――失礼だなこの人――
金髪の軽そうな男が騎士団の輪からトーマ達のほうに歩いてきた
手にはスーツケースを持っている
「今日はよろしくお願いしますビオルクさん、ウワサ通りカッコいいですね!」
――ここはとりあえず持ち上げる、これが人生の処世術だ――
「え〜ウワサになっちゃてた〜弱ったなぁ〜まあ気楽に行こうね〜」
――しかし軽いなぁ――
「あれっ!その大剣……」
ビオルクが反応する
「師匠のガランドさんに頂きました、サラちゃんも元気にしてますよ」
「ええ〜ガランドさんの弟子〜あの人とシュンカさんに気に入られるって少年〜キミって何者?」
軽い雰囲気でトーマの顔を指差しジリジリと近付く
「まあいいや、はいこれが例のブツね〜」
ビオルクはスーツケースのようなものを手渡した
この中に八咫鏡が入っているようだ
「おっ!キミもあのエレノアちゃんだね〜いや〜可愛い〜ね〜今度俺と遊ばない?」
「エレノアです、はじめまして」
エリィが答えにくそうにしている
――このナンパヤローが!オレのエリィに手を出すな――
トーマは一歩エリィの前に出る
「あ〜そういうことね〜了解!じゃあこっちの可愛い子ちゃんを誘っちゃおう〜」
ビオルクはコーラルの肩を抱こうとするがコーラルに手を叩かれる
コーラルがすかさずトーマの腕を抱く
「ちょっ!」
――ちょっとコーラルさん?エリィさんに勘違いされるし、二人も可愛い女の子をはべらせてるみたいで周りの目が気になっちゃいますよ――
「あ〜そういうことね」
――あっ待って!なんか変に勘違いされてないか?こんな軽そうな男に?……オレのほうが鬼畜な感じになっちゃってないか?――
「いや違っ……」
――待て待て、なんでオレは今、こんな男に言い訳をしようとしているんだ!ここで言い訳したらまるでオレがこのチャラ男の事が好きみたいな感じにならないか?…………ならないわ!――
「じゃあ、お二人さんまかせたよ〜」
―― ああ、このままこのチャラ男を行かせていいのか?ちゃんと誠実だと純情だとプラトニックだと理解してもらうのだ……――
「待っ……」
「じゃあウチも向こうに行くっちゃ!」
トーマの置き場のない手を遮り、コーラルは騎士団のほうに走って行く
ビオルクとコーラルは騎士団の輪に入って行った
シュンカとマイメロがやって来る、一緒に来たということはシュンカがそれとなくマイメロを身張っているのだろう
マイメロは元Aランク冒険者でかなりの強者だとトーマはシュンカから聞いている
不審な行動をすればシュンカがいつでも取り押さえれる、シュンカはトーマの意見を参考に不安要素を潰していく
「待たせたね、マイメロ氏にも来てもらったよ」
シュンカがトーマ達に大丈夫だと目配せをして合流する
「トーマ殿、現役ではないが協力させてもらうよ」
「ありがとうございます、マイメロさん」
――怪しい動きは無い………か――
マイメロは騎士団のいる後方に下がる
「では準備が出来た、門を開けるぞ!門の外には我々三人だけで行く!」
シュンカが後方に陣を取る騎士団に告げる
門が開く時だった
「シュンカ様!大変です!」
兵士が報告に来た
――なんだこのタイミングで!――
「西門の方角より複数の「魔獣ビッグレグスト」が街のほうに押し寄せて来ます!」
「何!数は!」
シュンカの目が見開く
「四十以上はいます!」
――あれが四十も!――
「こういうことか……ちぃ……騎士団は西門へ!ビッグレグストを街に入れるな!」
「「「ハッ!」」」
騎士団は素早く西門へ!
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