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〜渦巻く画策〜⑤ エリィの過去

昨日の夜早くから寝ていた三人は、しっかりエリィの作った朝食を取り今日の予定を考えていた


「今日何するソ?」

「特に予定はないですけど」

「じゃあちょっとゆっくりしない?ここで」


 帝国からの宣戦布告が街にまで広がり、外は少し張り詰めた空気感がある

 そんな中、外で行動するよりはとトーマの提案だった

 その提案に二人とも賛成し、お茶とお菓子を用意してテーブルを囲った


「こんな生活してみたかったんだ!優雅にお茶とお菓子なんて、今までの生活からは考えられない」

「そうなソ?」

「友達いなかったからね」

 

「でも今はわたし達がいます」

 トーマは気にしない様子で言ったが、エリィはすぐにそう答えてくれる


 もうそれだけのものを半月ほどで積み重ねているのだ

「しょ〜じき、今が人生で一番幸せ〜これマジ」

「ちゃ〜んと、ウチのことも入ってるソ?」

「あれ?いたの?」

「なんて〜!」

「うわっやめろ!重い、重い!」

どんな事が待ち受けようと、相変わらずのやり取りや三人で笑いあえる時間があれば頑張れると思うトーマだった


 お昼を過ぎても話は尽きない

「ホンット、エリィちんは上品だなぁウチも貴族だったら、エリィちんみたいになれたかなぁ?」

「ムリムリ」

「なんて〜!」

「わたしはもともと平民出身ですよ」


「「えっ!」」

 トーマとコーラルが()み合ってると二人同時に固まりエリィを見る


「エリィちん、グリディア王国の偉い人かと思ってたっちゃ!……だってレイさんとか偉いし」


 ――おっいいぞコーラル、オレも知りたいぞ!――


「レイさんとは(おさな)なじみなんです……そうですね……お二人には知っておいて欲しいので聞いてくれますか?」


「「もちろん!」」

 

「……わたし七歳までは平民で両親と姉二人と平凡な生活をしていたんです」

「家はそんなに裕福ではなかったのですがある事がきっかけで全てが変わってしまいました」

 


 十年前、グリディア王国王都近郊の街ミスト


「この街にエレノアという少女が居るはずだが、両親も一緒に連れてきてもらえるか?」


 街の(おさ)を訪ねてきたのはグリディア王国の使者を名乗る者だった

「かっかしこまりました!少々お待ちください」


 街の長は急な使者に戸惑いながらも平民であるエレノアとその両親を呼び出した


「エレノアの父のノルと申します、こっちは妻のベラです……きっ今日はどういったご用件でしょうか?」


 ノルは王国の使者が来たという事でエリィが何かしてしまったのではと恐々(きょうきょう)としていた


「君がエレノアだね、ご両親も突然のことで驚いたと思うが王国の「予言師リドヴェール」様がこの街のエレノアという少女がいずれ「神託(しんたく)」を受けると予言した」


「――!」


「何の事か分からないと思うがこの少女が神に選ばれグリディア王国繁栄のために「神託」を受け、それに尽くせという事だ」


「えっエレノアが……うちの娘が?神に……どっどうすれば……」

 ノルとベラは娘がグリディア王国にとってそんな大層な役目をもらい感激してエリィを抱きしめる


「何をするの?」

 幼いエリィは両親が喜んでいる事が嬉しく、意味も分からず一緒に喜んだ

「今すぐ何かしろというわけではない、いずれその時が来るから覚悟と準備をしてもらいたい」


「ぐっ具体的にはどうしたら……」

 ノルが使者に尋ねると

「ただ今から手続きを経て爵位(しゃくい)(さず)ける!貴族としてエレノアを育ててもらいたい」

「「爵位!」」


 この時からアッシュハートという家名を取り、貴族として生活する事になった

 成り上がったアッシュハート家は豪華な屋敷を得て、両親は豪奢(ごうしゃ)な服を身にまとい娘三人も教育を受けるようになった


「エリィ勉強のほうは順調ですか?」

「うん!いっぱい覚えたよ!えっとね……」

「エリィ返事はハイですよ、言葉使いをきちんとしましょうね」

「……はい、お母様……」

「エリィあなたは特別なの、アッシュハート家として恥ずかしくない教養(きょうよう)を身に付けましょうね」


 以前まで近い存在だった母親が遠くに感じる

 

 笑い合い抱きしめてくれる母はいない


「エリィ体調崩したりしてないか?最近は寒くなってきたからな、新しい上着や欲しい物があったらいくらでも買ってやるから言うんだぞ!」


「欲しい物は無いです……みんなでお外でお弁当を食べたりお花を摘んだりしたいです」

「う〜ん、もうそういう恥ずかしいことは出来ないな、周りの目もあるし格式高い生き方をしないとな」

 

「恥ずかしい……?」


 ノルも体裁(ていさい)を気にするようになり家族の時間というものは無くなっていった


 貴族になって一年ほど過ぎた頃

「セーラ!何度言ったら分かるの!いい加減にテーブルマナーくらい覚えなさい!」

「エマ、笑ってないであなたもまだまだなんだから!エリィを見習いなさい!」

「あなた達、お姉さんなんだから出来ないと恥ずかしいわよ!」

「「……は〜い……」」

「返事は短く!ホントにもう!どうしてこんなに違うのかしら……エリィはこんなに賢いのに……」

「「……」」


 エマ十二歳、セーラ十歳、エリィ八歳の娘達は、両親の期待に応える事が出来る者、そうでない者とはっきり分かれることになった

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