〜渦巻く画策〜④
「八尺瓊勾玉は「アースの国宝」で特別な場所に安置されてるって聞いたことあります、ラビス人には何処にあるかすら分かんないんじゃないですか?……」
――いや待てよラビスとアースで連絡取れるなら場所は分かっている可能性がある、アースには少なくとも二つの勢力があった、オレが雇われた方とエリィが脅されていた方、エリィが持って帰ったのは「八尺瓊勾玉」じゃなかったのは確認している、エリィのほうは「歪な玉」だったから「神器」ではない……レイジンは「エリィのモノ」を「オーパーツ」と呼んでいた……あれ?……もしかして「ラビストリップ」が物理的に転移出来たらまずくね?……エリィの「転移魔導具」があれば「勾玉」をいつでも取りに行けるじゃん!……もしかして……エリィを脅していたほうは「八尺瓊勾玉」を守る側……オレのほうが奪う側……ということは「レイジン」がオレを雇ったほう?……守る側はエリィの荷物が「八尺瓊勾玉」じゃなかったから殺さずにラビスに帰そうとした?……ふぅ……妄想モードが爆発してしまった……――
「アースでは魔法使えませんからね、ラビス人の個々の能力は凄まじいですがアースの軍事力は殺すことに特化してます、手に入れるのは難しいでしょうね」
「なるほど……だが八咫鏡も渡すつもりはないがな」
「じゃあズークさんは見捨てるということで?」
「いや、一応あんなのでも最高軍事責任者だ、要求通り「八咫鏡」を持って行く」
「じゃあシュンカさんがそこで対応してどっちも守るって感じですね!」
「さすがだ、頭が良く回る……だが要求がもう一つあるのが厄介なんだ」
「……それがオレ達に関係してるんですね」
シュンカは心苦しい表情で頷く
「二日後の夜、取引場所に「八咫鏡」を持ってくるのは、冒険者トーマとエレノア・アッシュハートであること、それが条件なんだ」
――と、なると相手は「レイジン」かな?開戦するって言ってたし……でも戦うのか……良く分かんないけどレイジンってこっちのトップよりなんか話が分かるというか……――
「引き受けますよ!エリィを守らないと!」
「そうか、だが心配するな!私がいる」
「シュンカさんがいたら千人力ですね!」
トーマはサムズアップして、コーラルも「ウチもいる」と真似してサムズアップした
「ふっ万人力だ」
――……失礼しました――
「皆さん……よろしくお願いします」
グリディア王国の決定には逆らえないエリィは頭を下げて深くお礼をした
シュンカはとりあえず自身の宿に戻り、何かあったら尋ねるようにと宿の場所も伝えて帰った
トーマ達は最低三日この街にとどまる、取引が二日後の夜だからだ
危険な任務だがこの空間にまた居れる喜びをトーマは隠しきれない
「二日後なら明日一日空いてるね、街からは出れないけど……何する?」
「何するソ〜?」
「そうですね、トーマくんも病み上がりですし、今日は食事を取って早く寝ましょう」
「二人ともオレのために疲れきってるからそれがいいね」
「うん!食べたら寝るっちゃ!」
「ウチらがぐっすり寝てるからって部屋に押しかけるなよ〜トーマっち〜!」
「こっちのセリフだ……ったく」
この日、三人は死んだように寝た