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〜 手作り料理と誤解〜

 宿に戻るとすっかり暗くなったので食事は部屋で取ることにした

 エリィはまだ戻って来てないようだ


――エリィはまだか……今日は疲れたなぁ……そういえばオレってほとんど寝てないよな……眠い――


「トーマっち!冒険楽しかったね〜ウチはあの二人ほど活躍出来なかったっちゃ……」

「いやあの作戦はコーラルの機動力とオレへの信頼があってこそなんだ、だからコーラルのおかげだよ」

「トーマっち……グスン」


 ――いやグスンって言ってるじゃん――


「ウチがお祝いに料理作ってあげるっちゃ!」

「コーラルが〜?」

「なんだ〜ウチの初めてをプレゼントしようって言ってるっちゃよ!」

「いや初めてなんかい!食えるか!」

「まあまあ、ちょっと座って待っていなさいなぁ」

「いやもうスゲ〜心配なんだが」


 初めての料理をするコーラル、疲れたトーマを思い体に優しい物を作るためシチューを選択する

 試行錯誤(しこうさくご)しながら指を切りながらも完成したシチューを見てトーマは驚愕(きょうがく)する


「めっちゃ美味(うま)そう!」

「ふっふっふ、さぁさっきまでの勢いはどうしたトーマっち」

「マジで美味そうっす!コーラル氏」

「そうかねトーマっち氏」

「んじゃありがたく頂こうかな」

 テーブルに配膳し、いつの間にかしていたエプロンを取りお酒を準備する


「えっお酒?コーラル十五歳だよな?」

「うん!だから飲めるソ」

 ――こっちは十五で成人なのか……でもオレは飲んだことないし、とくに興味ないしなぁ……まぁとりあえず――

「冒険者登録、初依頼達成、初指名達成おめでとうっちゃ!」

「ありがとう!コーラルもおめでとう!いただきます!」

「まっず!」

「なんですと!どれ……ホントまずいっちゃ!」

「見た目美味(うま)そうで不味(まず)いとか、どんだけ天才だよ!普通逆だろ!」

「いや〜それほどでも〜」

「褒めてねぇよ」


不味いと言いながらもすべて完食し、二人で洗い物してるとエリィが帰って来た

「ただいま帰りました」

「「おかえり〜」」


 ――おかえりっていいよな〜ずっとこんな生活が続けばいいのに……――


 エリィが帰って来てテーブルを三人で囲んだ

 今日あった事をコーラルが細かくエリィに伝えている

 エリィもそれを楽しそうに聞き、トーマはそんな二人を眺める

 ラビスでは当たり前なのか二人はお酒を飲みながら談笑する

 トーマは結局お酒は飲まなかったが、二人を眺めているうちに(まぶた)が重くなり話し声がだんだん遠くなる

「トーマくん……トーマくん」

「うん?ああゴメン眠くなっちゃった、先に休むね」

「はい、わたし達ももうすぐ寝ますので、おやすみなさい」

「おやすみ〜トーマっち!」

「ああ、おやすみ〜」


 エリィとコーラルはお酒を飲みながら話し込んでいる、トーマは壮絶なニ日間により深い眠りに落ちていった



 かすかに包丁の音が聞こえる


 ――ああ、エリィだな……きっと朝ご飯を作ってくれてるんだ……さすがだこのリズム、トントンとまた眠りにつきそうだ……これはエリィに起こしてもらうイベントのため、もう一度寝る必要があるな……寝よ――


 トーマが寝返りを打つと柔らかく温かい物体がそこにある


 ――こっこれは……エリィに弁明(べんめい)するイベントに切り替わる!なんて事だ……ぐっすり寝すぎて完全に油断していた……どうする!――



「う……ん……トー……っち」

――ぐっバカな……チカラ強っ……やめろ……抱きつくな……――


「トーマくん、ご飯出来ましたよ!起きてください!」


 ――なに〜このタイミングでダブルイベントだと――


「トーマくん?」

 エリィが毛布をめくるとそこにはトーマとコーラルが寝ていた、しかもトーマは寝返りを打った状態で抱きつかれたので向かいあった状態だ


 ――終わった……――


「――っ」

「エリィ!誤解だ!」

「……不純(ふじゅん)です!」

 

その後のご機嫌取りは大変だったそうだ


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