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〜カリヨンの森〜

 全長100メートルはあろうかという巨木の森林地帯はいかにも異世界という感じにトーマは感動している

 数時間前まで深夜の惨劇が行われてとは思えないほど心地よい空気の中トーマはエリィと歩いていた


「宗谷さん体調は大丈夫ですか?治癒はしましたが体力はかなり落ちてると思いますが……」


「大丈夫ですよ!エリィさん、むしろなんか体が軽いくらいです、なんか(みなぎ)るっていうか……ちょっと「耳がキーン」と詰まってるのが気になるくらいで、たぶん気圧の変化?みたいな感じっすかね〜ハハッ」


 先を歩いているエリィが振り返りながらそう言うと

心配してもらえて嬉しいトーマは後ろ頭を()きながら照れ笑いをする


 ――ヤバっ振り向く感じとかめっちゃ可愛い、清楚っていうか森の妖精?とにかくオレは今「女子」と喋っている、会話をしているんだ……こんな森の中で異世界の美少女と散歩をしている、これはもうほとんど「散歩デート」と呼んでいいのではないか?それとなく手が触れてあっ!みたいにいつの間にかお互いの合意のもと手をつなぎ、(ほほ)を赤らめた彼女は自分の口もとに手を()えて恥ずかしそうにこちらを見る、そんな彼女にオレはこう言う「はぐれると危ないから」……宗谷さん……エリィさん…――


トーマが妄想の世界に入っていると、何やらエリィは(あご)に手を添えて考え事をしているようだ「耳鳴り……」と小声で言っている


「あっそういえば今どこに向かってるんですか?エリィさんの住んでるとことか?」

 エリィが考え事をしているなんて気が付かないほど(うわ)ついてるトーマは質問する


「えっ?あっそうですね、実は一人用の「転移魔導具」をニ人で使ったので「誤差」が出たのかここの場所がわたしにも分からないのです……」

 エリィは(うつむ)き申し訳なさそうな感じだ


「……でもカリヨンの木の群生地だから「グリディア王国」の南側だと思います、あっグリディア王国っていうのがわたしの国なのでそちらに向かってるんです、とりあえず人道に出て街を見つけないと……わたしもここまで出歩いたことがないので……」


 ――やっぱり王国制度か、異世界だし……でもエリィさんはなんでアースに来てたんだ?危険だったのに……魔法も向こうでは使えないって言ってたし……… アースでも大金持ちかそれなりの訓練を受けてる人が異世界に行ってたらしいからなぁ、たぶんエリィさんは貴族っぽいから金持ち方面だな、服装的に――


「エリィさん!オレもグリディア王国に一緒に行きたいです!」


――帰るつもりはないけど「ラビストリップ」してる人がいるかもだし、エリィさんと少しでも仲良く出来たらオレはもう思い残すことはない……あとはひっそりと……いやいや、オレは真剣に生きるんだ!真剣にこの世界で生きてなんだかんだ凄い強い男になったりとかしてエリィさんが……宗谷さんってなんだかカッコよくなりましたね!、えっ?そう?それはたぶん君を守りたいからじゃないかな……宗谷さん……エリィさん……――


「……そうですね、いろいろと不便(ふべん)もあるでしょうし……グリディアまで一緒に行きましょう!」

 エリィは少し思案しそう答えた 


「エリィさん、それ持ちますよ!重たそうだし」


「これは……大丈夫です、それよりエリィでいいですよ、わたしのほうが一つ年上ですが近い歳なので敬語も不要です、目的地までも長い道のりになりますし、わたしの喋り方はクセなので気にしないでください」


「――っ」


 ――なっ名前を呼び捨て……十六年の人生で女の子を呼び捨てにした事が……ない、ハードルが……いやオレは生まれ変わる!真剣に生きるんだトーマ!こんなチャンス二度とないぞ!これを逃せばもう一生「エリィさん」止まりだ!さあ呼べ!トーマ!エリィと呼ぶんだ!――


「エッエリィ……じっじゃあおッオレはとットーマで……」


――うっ声が(ども)って気持ち悪い感じに……どうせならオレも名前で呼んでもらおうと調子に乗って、緊張すると吃っちゃうクセ……エリィのクセとは大違い――


「わかりました、トーマくん」


「――っ」


 ――はっ破壊力!名前で呼ばれるだけでこんなに親近感が……なんせ女の子にトーマなんて呼ばれた事が……ここ最近ない!呼ばれたといえば家のばあさんが「トーマ、アンタいつまでこの家にいるんだい!」っていう厄介者に扱うあのセリフくらい!名前をこんな綺麗な声で呼んでくれるなんて惚れてまうやろ!これはもう聞くしかない!トーマ!聞け!エリィに今付き合ってる人がいるかどうかくらい聞けるだろ!聞くんだトーマ!――


「エリィはやっぱり……付き合ってる人とか……いるの?」


――聞いちゃった〜!まだ出会って数時間なのに――


「……」

「付き合ってる(かた)とかはいないですが……ずっとお(した)いしてる方はいますよ……」

 エリィの頬がうっすら赤くなり目を逸らし手をパタパタしてる

「内緒ですよ」


妖精のような笑顔でそう言った


 ――おっ終わった〜――


「ぜひ会ってみたいねハハッ」


 トーマは頑張ってそう答えた 

 

ここまで読んでもらえて嬉しいです


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