〜差別と暗黙の国〜④
トーマは朝早くから起きている、早く起きたというかほとんど寝ていない
結局レイの診療所で一晩泊まりコーラルの容態を見ていたのだ
いや厳密に言うと、エリィも部屋のソファで寝落ちしてたので毛布を掛けてあげたり、エリィとコーラルの寝顔を見ていたら朝になっていたということだ
――やばい……今日試験だわ……――
「トーマっち〜!」
すっかり体力も回復したコーラルがトーマに抱きつく
――ちょっやめて……エリィが見てるから――
「服も綺麗でバッチも付けてくれてるっちゃ〜」
「服はエリィが補整してくれて、バッチは捨てられてたから拾っといた」
トーマはくっつくコーラルを引き離しながらチラチラとエリィのほうを確認する
「コーラルさん!良かったです!」
診療所の朝の準備をしていたエリィは安心したのか少し涙目でコーラルの側に来る
――あれ……エリィ……コーラルがオレにくっついてるのに気にしないの?……嫉妬して――
「エリィちんもありがとうっちゃ〜!」
エリィにも抱きつく
――あっ抱きつくの平常運転なのね――
診療所もレイは出勤してないみたいだが他の者が来たので明け渡し、ギルド方面に行き朝食を取ることにした
朝から営業しているところで食事をとりながら試験の時間まで待つことにした
「コーラル!あんまりはしゃぐなよ、お前昨日ボロボロだったんだから」
「わかってるっちゃ〜そんなにウチの体が心配なソ〜?」
「おい!やめろウリウリすんな!」
「もう〜嬉しいくせに〜昨日はウチの体を優しく温めてくれたのに〜」
「バカ!誤解を招くような事を言うな!……はっ!」
相変わらずのやり取りをしてトーマはエリィのほうを見ると
「お二人とも楽しそうで何よりです」
言葉とは裏腹にテーブルの角をイジイジしている
――可愛いぃ……もうトーマくんコーラルさんとばかりイチャイチャして、わたしもウリウリしたいです、なんだエリィ寂しかったのかい、だってわたしだってトーマくんに温めて欲しいもん、エリィ……トーマくん…………――
「お〜い、トーマっち〜戻ってこ〜い」
トーマが妄想に耽っていると、コーラルとエリィが心配そうにしている
「はっ!ゴメンちょっと魔力集中してたわ」
「いや!今?」
コーラルもしっかり突っ込む
「でもしょうがないか〜今から王国最強と戦うっちゃもんね〜」
「あっバカ、それは……」
「えっそれって……トーマくんの試験相手がシュンカさんって事ですか?」
エリィが不安な面持ちで聞いてくる
「う……ん……エリィ心配するから……言えなかったっちゃ!」
「コラー!ウチの真似するなっちゃ〜!」
と馬鹿騒ぎで護摩化そうとしている
「シュンカさんという方がギルドの適性試験をするなんて初めて聞きました……」
エリィは考え込むように言う
「初めは本人も断ったんだけどね……」
そしてトーマは困ったもんだとエリィに言った
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