〜差別と暗黙の国〜③
少しするとコーラルは寝た、安心したのだろう穏やかな寝顔だ、そっと繋いだ手を離し部屋から出た
「レイさん、今日はありがとうございました、何から何まで、コーラル意識戻ったんですがまた寝ちゃったんでここに寝かせたままで大丈夫ですか?」
部屋の外にはレイとエリィがいた、エリィは気を使ってか部屋の中に入らずレイと待っていた
「いいですが、お出かけですか?」
「トーマくん……もしかして……」
エリィは何かを感じ訝しんででトーマを見る
「いや実は慌ててたからコーラルの冒険者バッチ落としちゃったみたいで……アレないと気付いたらコーラルのやつ落ち込むでしょう?ちょっと探しに行こうと思って……見つけたらまた戻って来てもいいでか?」
エリィの表情が明るくなり
「だったらわたしも一緒に……」
「あっいやコーラルが起きた時にエリィが側にいて欲しいから……ありがとう」
エリィは少し俯きそうですよねと納得してくれた
「分かりました、では私もこの後、急な仕事が入りましたのでエレノアに任せますね、ここは自由に使って構いませんので」
「ありがとうございます」
トーマとエリィは頭を下げてレイを見送る
「じゃあエリィ、オレも探してくるね!すぐ戻るから」
「はい!気をつけて……」
エリィは少し寂しそうにトーマを見送った
トーマは酒場街にいる、路地裏で身を隠し黒いローブを羽織り、顔にはローブとセット売りの仮面を着けている
――まさか……これを使う時が来るとは……――
トーマは集中する、気配を感じる感覚を特定の魔力を感じるように意識する、ギルドで会ったダンゴの気配だけに絞る
――いた……一つ中の通りだ……三人か……――
トーマは先回りし路地裏で待ち伏せる、幸いこの中通りには人気がない、話し声が聞こえる
「しっかし、あの獣人まったく反撃しねぇからやりがいなかったぜ〜」
「ですね〜いい女だったから犯っちまいたかったっすけど、あんな暴れられちゃ〜無理でしたね」
「だからってあんなボコすなんてダンゴさんまじ悪っすよ〜怖ぇ〜たぶん死んでますよ」
「ありゃ獣だからいいんだよ、まっ死んじまってたらこのバッチ盗っても意味なかったけどなぁ〜」
「しかしあとはあのクソガキをぶっ殺さねぇと」
ダンゴはバッチを道端に捨てた、三人は笑いながら近付いてくる
路地裏からトーマは姿を現した
「あん?なんだお前?今の俺達の話聞いてなかったよな〜仮面なんかつけやがって」
ダンゴが吠える
「とりあえずぶっ殺しましょ〜ちょうど誰もいないし」
「だな〜」
取り巻きの二人が剣を抜き飛び掛かってきた!
――遅い……なんだコイツら、こんなに弱いの?――
トーマは大剣を抜かない、ギルドで見られてる可能性を考えローブで隠している
一人の剣の軌道をずらす!
その軌道はもう一人の腕の腱を切り!
腕にチカラが入らない男は剣を落とす!
気が動転している隙に落ちた剣を拝借しもう一人の片足の腱を切る!
絶叫が木霊する!絶叫する二人の顔面を殴りつけ砕く!
ダンゴが怯えながら「なっ何なんだ!」何者なんだと問う
「執行者セブン」冷淡に答える
一瞬で間合いを詰め三閃!
右腕の腱と左手の指四本と片足の腱を切り、顔面一発砕いた!セブンは三人全員再起不能にした
――コーラルの痛みはこんなもんじゃないぞ…――
捨てられたバッチを拾い、ローブと仮面を外し近くの酒場に報告した
「執行者セブンと名乗る男が冒険者達をあっという間に倒した」制裁だと言っていたと告げた
ついでにトーマは自分達三人分の食事のお待ち帰りして帰った
――いつかオレは罪悪感も恐怖も……感じなくなるのかな――
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