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〜LABIS TRIP〜

最終話

「エリ」が脳内チャットで号令を出すタイミングはそんなに難しいことではなかった、斗真がクォークの注意を引きつけていたからだ


クォークも永年(ながねん)の悲願を達成する直前は冷静ではなかったのだろう


何事も最後の最後まで何が起こるか分からない


「ふぅ……あとは……」

「斗真、崩壊をどう止める!」

「トーマくん!大気が……」

「宗谷くん、揺れもすごい」

「どうすると?」

「フフフフ、コイツの事だ!どうせまたとんでもない事を考えてる」


「……「ラビス」を創ろうか!」


「「「――!」」」


「フフフフ、やはりコイツは常軌(じょうき)(いっ)している」


「斗真……お前は本当に……」


「トーマくんなら出来ます!」


「宗谷くん……カッコいい……へへ」


「こりゃ〜コーラルも()れるわけばい」


「この「アトランティス」は想像を具現化出来るはず!出来るかもじゃダメだ、絶対に「出来る」!みんなを守る!」


 斗真は目を閉じて集中する


 白い波動が「アトランティス」を呼び起こす!


 凄まじい揺れとともに「アトランティス」がナノマシンのように変形していく


 外にいた者達も空中に舞い上がり巨大な白いオーラに包まれ浮遊する!


 斗真は「アトランティス」の中央で「想像して創造」する

 全員が浮遊していき上空から見守る中、巨大な祭壇はその姿を変えていく

 

「トーマっち〜大好きっちゃ!ウチの勇者〜!」

コーラルが泣きながら叫ぶ


「トーマ!さすがビビの従者だ!」

ビビが笑顔で呼ぶ


「トーマさん!カッコいいです!」

イルミナが手を振る


「トーマはん!うちも惚れそうどす」

アイボリーが投げキッスをする


「トーマくん!エレノアを任せたよ!」

レイが(こぶし)をあげる


「トーマ!ふっ、惚れ直したぞ!」

シュンカが見つめる


「アンタ、ほんっとにやるじゃん!」

美々が笑顔で(あき)れる


「トーマ、スゲ〜ぞ!」

グリムがガッツポーズする


「トーマ!」

ガランドがサムズアップする


「トーマくん!」

ビオルクがウィンクする


「「トーマ殿!」」

ビリジアンとセピアスが敬礼する


「トーマって、スゲェ奴ばい!」

ファブニルは感心する


「フフフフ……まぁ我の好敵手(ライバル)だからな……お前ならやれる!」

 リットは「賛辞(さんじ)の言葉」を口にした


 

――想像しろ!創造しろ……イメージだ……オレなら出来る……――


「アトランティス」は形を変え「超巨大船」が姿を現した


「アトランティス!「方舟(はこぶね)」!」


「「「――!」」」

 全員、息を呑む


「方舟!ラビス(じゅう)の生命を転移!」


 方舟の中は異次元空間によりどれだけの生命を転移しても乗せることが出来る

 

 全ての生命を「方舟」に転移させた瞬間に「ラビス」は崩壊していく


――「エリ」!オレの声は届いているか?➖宗谷くん!届いてるよ➖まだ足りないんだ!想像が「想い」が!「ラビス」のみんなにオレの「想い」を届けて欲しい!そしてみんなの「想い」もオレに届けて欲しい!➖わかった!やってみる!――


里井エリはずっと思っていた「届けたい」と思っていた、世界に届ける!「彼の声と想い」


「脳内チャット」でも「オープンチャット」でも「サトリ」でもない


新たなチカラが目覚める「以心伝心いしんでんしん


光に包まれる「エリ」


斗真は「ラビス」を創る、世界を創るなんて尋常なことではない

「ラビス」という世界に住む人々の「想い」を受け取りたい、斗真自身の「想い」も伝えたい


➖➖みんな!「ラビス」は崩壊する、無くなるんだ……だけどみんなが「想え」ば「願え」ばきっとまた目指せると思う……みんなが大好きな「ラビス」を教えて欲しい!思い出を語って欲しい!「ラビスの記憶」を思い出して欲しいんだ!いい事も悪い事も全部!……オレにもいっぱいツラい事があった……戦争、差別、貧困……数えていったらキリがないけど……「ラビス」が好きだ!だって思い出せば「楽しい思い出」のほうばかりが蘇るから……みんなはどうかな?……もしツラい事ばかりだったら……楽しい世界を「想像」しようよ!……だって「願え」ばまた「つくる」ことが出来るんだから!……だからお願い……「想い」を伝えてくれ!➖➖


「記憶」が人を「つくる」のなら


「人の記憶」が世界を「つくる」


そして「世界」が「想い」を「つくる」のだろう


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「宗谷くん……本当に凄い……わたし……」


サトエリは心の中で「大好きだよ」と告白した


声には出せなかった、チカラも使わなかった


斗真の「想い」を知っているから


これだけみんなを「想う」彼に


これだけみんなに「想われる」彼に


「幸せ」になってもらいたいから


「想い」を伝えて欲しいから


だから笑顔でこう言いたい「わたしはあなたのおかげで変われたよ!ありがとう!」



「ラビス」の「想い」を受け取った斗真は集中する


――空間……時間……物質……想像……そして創造――


 光に包まれる「ラビス」


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光り輝く世界でも彼女を探す事は簡単だった


いつも見ていたから


どんな人混みにいても


どんな暗闇にいても


きっと見つけ出せる


初めて彼女に会った時からずっと頑張ってきた


彼女の理想にオレはなれてないかもしれないけど


「君がオレの理想だよ」と言えるくらいにはなれたかな?


だってこうやって簡単に見つけることが出来るから


「エリィ……怖くない?」

「うん……トーマくんと一緒ならどこにいても安心だよ」

 

斗真は光りの空間の中でエリィの手を握る


「トーマくん?」


二人は向かい合い斗真はしっかりとエリィの目を見る


 伝えられなかった「想い」を伝える


「エリィ!オレはエリィの事が好きです!たまらなく好きです!妄想するくらい好きです!……オレは……「君の一番近くに居たい」!この手を離したくない!笑顔が見ていたいんだ……ずっと……こんなオレだけど……一生(いっしょう)そばにいて下さい!」


エリィの両手を取り、離さない


「……トーマくん……嬉しい……わたしの方が(そば)にいたいんだよ……ずっと胸の奥にいるの……いなくなった時に思ったの……トーマくんがいない事がこんなにも(つら)いなんて、こんなにも寂しいなんて……わたしはこんなにも「あなたを愛してる」なんて……だから……だから……わたしから二度と離れないで!」

 

エリィは赤くなった(ほほ)誤魔化(ごまかす)ように斗真の胸に顔をうずめて答える、心臓の音に耳を傾けて目を閉じる


 鼓動を感じて安心する


 これが「愛」なんだ


 もう言葉はいらない


 抱き合う二人は見つめ合い目を閉じて「愛してる」とキスをした

 


 方舟(はこぶね)に乗る生命にはそれぞれの「理想」「想像」「夢」を持つ

 

 光に包まれている時間はどれくらいだったのだろう

 

 時間という概念は無かったのかも知れない

 

 それぞれがそれぞれの「メガラニカ」を体験したのかもしれない


「レイジン……行くの?」

「……斗真……ありがとう」

 

「母さんによろしく………………父さん……」

 

「――!………いつか……いや…………俺はお前を誇りに思う……自慢の息子だ!」

 

「なんか恥ずかしいな……会えて嬉しかった」


「ふっ……幸せになれよ」


「オレはもう「幸せ」だよ」


「……そうか……じゃあ行ってくる」


「いってらっしゃい!……父さん」


 光が収束されていく「想像」は「具現化」され世界を「構築」していく


「メガラニカ」が「アース」を創ったのか、はたまた別の世界が「アース」を創ったのか無限に広がる可能性のなか確かな事は「ラビス」を創ったのは「宗谷斗真」だという事、これはそんな「可能性の物語」


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「……零士れいじさん……?」


紀子(のりこ)……待たせたな……すまん」


「ふふふ……」

「――?……どうして笑うんだ?」


「幸せだなぁって……」


「……会えなかったのに?……」

「だって……ずっとわたしのこと考えてたんでしょ!」


「――!……ま……まぁ……そうだな」

「嬉しいなぁ……こんなに愛されてたなんて……」


「ああ、愛してる!」


「そ……そ……そんな直球……は……は……恥ずかしい」

「ぷっ……そのクセ……相変わらずだな……」

「もぉ……」

 

 紀子(のりこ)

 

 俺のこと救ってくれてありがとう

 

 出会ってくれてありがとう

 

 愛してくれてありがとう

 

 それに斗真を産んでくれてありがとう

 

「……う……うう……急にいなくなるんだもん……」

「すまない……」


「三人で暮らしたかったね……」

「ああ……待ってたら来るよ!アイツは嫁さんを連れて来るかもだけど!」

「えぇ!斗真が!?……じゃあ斗真には……会えたの?」

「ああ、お前に似てる……ぷっ……妄想癖もな……」

「えぇ?……そっかぁ……良かった!零士さんと斗真が会えて!」

 

「紀子……アイツは今「幸せ」だ!」

 

「――!……ホントに?う……うう……本当に良かった……斗真……ごめんね、苦労かけさせて……」

 

「……あんなに優しい男に育ってくれたのは紀子のおかげだ!ありがとう!」


「……う…」

 

「それにオレ達の「一番」はカッコよかったぞ!」


「…………うん……ありがとう」


 

「それでなアイツけっこうモテて……」

「えぇ?ウソォ…………」

「この前なんか……

「何それ?……」

「でさぁ……」

「うん……」


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ここまで読んで下さりまことにありがとうございました

異世界ラビスの冒険はいかがだったでしょうか?

斗真とエリィそしてコーラルやビビ達も新しいラビスで楽しく賑やかに過ごしていると思います

物語はこれで終わりましたがひとつだけあえて回収しなかったフラグがあります

それが分かってもらえると作者と同じくコーラルのことが大好きな読者様です

これはコーラルの事が好き過ぎて作者には語る事が出来ませんでした

きっと新しいラビスでも斗真の腕に抱きつき、大好きアピールをして過ごしています

それを見たエリィの嫉妬は言うまでもないですがみんな幸せです


皆様が幸せなラビスを「想像」してみてください


ブックマークや評価、感想など頂けると次回作への励みになります

よろしくお願いします


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