〜刻一刻〜
今も常に地響きで地割れが続いている
徐々に地震の間隔が狭まり暴風により海は荒れ、「ラビス」の崩壊は刻一刻と近づいている
エリィとレイの治癒により全員の傷は癒やされた
ただ魔力は全員ほぼ使い切っている
全員が全てのチカラで「巨人神オリオン」を倒したのだ、もう敵もいない
「トーマくん!怪我してない?」
「うん、ありがとう!怪我はないけど魔力がだいぶ削られた……リットもめっちゃ使うから……」
「フフフフ、思う存分使わせてもらったぞ!」
「ふふ……ありがとな……リット」
「――なっ!感謝などするな、「魔王」のチカラが弱まる!我は「破壊の言葉」を楽しんだだけだ!」
「ふふ、そうなのか?……でもいいだろう?「感謝の言葉」って!」
「ふん、一生言うこと無いわ!」
リットはそう言うとアイボリーの胸元に潜り込んでいく
「エリィ……オレはこのまま「アトランティス」に行ったほうがいいと思っている……「ラビス」が心配だ」
「トーマくんがそう言うなら……わたしはどこまでもついて行くよ!」
見つめ合う二人
「むむむ……二人いい感じなソ……」
「たまには二人だけにさせておけ、コーラル」
「ビビりん……むぅ……うん……今だけっちゃ……」
「またチャンスはありますえ」
落ち込んでいるコーラルにビビとアイボリーが寄り添う
「宗谷くんお待たせ!エリィさんもお待たせしました」
「「エリ」!助かったよ、しかし凄いね八尺瓊勾玉を使いこなして「時を止める」なんてもう最強だ!」
「エリさん、やっぱり強くなりましたね!」
「エリィさん……うう……尊い……」
「「エリ」、まだチカラ使えるか?頭痛くないか?」
「うん、大丈夫だけど……ありがとう……宗谷くんはいつもわたしの体調を気にしてくれてるんだね……へへ」
「トーマくんってみんなに優しいですね!」
「――あれ?エリィ喋り方が昔に戻って……は!」
エリィは頬を膨らませて斗真の脇腹をツンツンしている
――こぉ〜エリィの脇腹ツンツン!……エリィはちゃんと安静にしとかないと、うん!でも少しくらい動かないと元気な赤ちゃん産めないでしょ?、そうだけど心配なんだよ、ふふ……トーマくんは心配症なんだよ、だってエリィ……今一番大切な時期だよ、あれ〜?トーマくんはお腹の子とわたしどっちが一番かな?、え?どっちも大切に決まってるじゃん、ふふ……でもトーマくんの一番の優しさはこの子にあげて!わたしはその次で許してあげよう!、エリィ……、えい!……ツン……えい!……ツン、ちょっとエリィ〜、えい!ツンツン……、エリィ〜、ふふトーマくん!、エリィ……トーマくん……――
「「トーマくん?」宗谷くん?」
「わぁ!」
妄想モードに入っていた斗真の顔を覗き込む二人
――びっくりした〜正気に戻ったら顔の近くにめっちゃ可愛い二人がいたから……――
「……め……めっ……めっちゃ可愛いなんて……そんな……わたし……言われた事ない……」
サトエリが照れて顔を真っ赤にしている
「――あ!まさか「エリ」!心読んだな!……やめてくれ恥ずかしい……」
「ご……ご……ごめん……つい……」
「……トーマくん……エリさんのこと……」
「違うんだエリィ!これには海よりも深いわけが!」
「へへ……めっちゃ可愛い……」
この後のエリィへのフォローに全力で対応した斗真だった




