〜里井エリはアースにいる〜③
「コラ、里井どこに行く?まだ大切な授業中だぞ」
「すみません!体調悪いので早退します!」
「何アレ?どう見ても体調悪くなさそうじゃん!」
「エリ……」
「サエ……エリどうしたのかな?」
「里井ってあんな感じだった?」
「いや〜ボソボソ喋る感じ」
「しかもさっきなんか黒田さんと揉めてなかった?」
「アイツってなんか可愛くなった?」
「ああ、確かに!オレちょっと好みかも」
「男子うぜぇ〜!」
「そんなことより「ラビストリップ」したいね〜」
「ていうか、この配信ヤバくない?」
「「抽選」当たれ〜!」
「まだ話は終わってないわよ!」
「黒田の言う通りだ、静かにしろ!これも授業だぞ!」
「まずは「三万人」の「抽選」を行う!そして最終的には……」
「人類移住計画!」
「これが我が「アーテルカンパニー」が掲げる事業である!もうすでに「異世界ラビス」には「アーテル帝国」が存在している、「地球の資源」の心配も「今後の人類の存続」も何もかもこの「アーテルカンパニー」が払拭しよう!」
「随時、世界の支援も企業の支援も受け入れる!」
「もちろん支援があれば今後の「抽選」の優先も考えている!」
「では……良き「ラビストリップ」を!」
こんな事になってるなんて!「アース人」は奪うつもりなんだ!「ラビス」を新たな地球として……
そんな……あの配信からそんなに時間は経ってないのに「アーテルカンパニー」の前にこれだけ大勢の「デモ隊」が……
「「黒田信玄」を許すな〜!」
「人類を「選定」するなんて神にでもなったつもりか〜!」
「どうせ金持ちだけなんだろ〜!」
「痛っ!」
「どけ!邪魔だ!」
この人達は怖いんだ……自分達が取り残されるんじゃないかって……それでこんなに……不安で……暴力に頼るしかないくらい追い込まれてる
「君ここは危険だからこっちにおいで!」
――やっと見つけた……「暗部」の指示通りに誘導して始末すれば俺にも「永住権」が!――
「――イヤ!」
「あっ!こら待ちなさい!」
怖い……怖い……怖いよ……助けて……宗谷くん……
どこに行けばいいの?わたしはもう殺されるしかないの?……家もきっと見張りがいる……お父さんの会社も「アーテルカンパニー」の子会社に……はっ!スマホも電源切っておかないと!何?このニュース!
「たった今、「アーテルカンパニー」が襲撃されました!暴動が過熱しています!国民の皆様、近付かないように!世界各国でも同様に暴動が起きています!」
……お母さん……お父さん……警察は?……でもきっと「暗部」が関わってる……学校しかないの?……先生に事情を説明して……サエとメグにも言ったら匿ってくれるかも!
「いたぞ!こっちだ!「暗部」に連絡しろ」
「――!」
きつい……アバターじゃないし……走る感覚が……怖い……こんなにたくさんの人に追われるなんて!
学校にさえ入れば!……先生だ!
「ハァ……ハァ……先生助けて!わたし追われてて……あの人達に……」
「大丈夫か!?とにかく校舎に入ってろ!」
「……なんだね君たちは!ここは学校だぞ!部外者は入れないぞ!……あがっ!……ゴフッ……えっ?」
先生?……え?……撃たれたの?……そんなこと……ここ日本だよ……
「何してる!あっ……アンタ達こんな事して……あぐっ!」
学年主任の先生!……え?どういうこと?こんなに簡単に人を殺したりするの……何この世界……わたしのせいでみんなが死んじゃう
「――エリ!大丈夫!?」
「サエ!メグ!先生達が……うっ!……」
吐き気がする……何でこんなことに……
「あなた達!里井エリから離れなさい!」
「「「――!」」」
……黒田さん……それに真田くんと黒服の人達……この人達はどうしてこんな事が許されているの?……廊下にたくさんの生徒がいて、みんなに見られてても気にしてない……
「この子は「ラビスの犯罪者」なの、だから「アーテルカンパニー」が連れて行くわ!」
「――違う!みんなこの人達に騙されちゃダメ!「ラビストリップ」をしてさせられるのは「殺人」なの!「アーテルカンパニー」は……侵略者なの!みんな「黒田信玄」を信じたらダメなの!」
「……ここにいるみんなには私が特別に「ラビストリップ」の権限を優先するわ!だからおとなしく教室に入りなさい!」
「「「――マジ!」ヤバッ!」ちょ〜ラッキー!」
ああ……みんな……ダメだよ……
「コラッ黒田!騒ぎを起こしてるのはお前たちか!警察を呼んだぞ!」
「……真田!やりなさい!」
「うぐっ!……真田……何をする!……グハッ!」
「「「キャ〜!」先生が!」ヤバいって!」
「黒田さん!なんてことを!」
「黙りなさい!私は選ばれた人間なのよ!逆らうと命はないわ!」
「真田……ついでにここで里井エリを殺しなさい!」
「いいのか?」
「ええ、警察や日本政府はもう「アーテルカンパニー」の思いのままよ」
「――!や……やめて……」
「お前に恨みは無いがこれも仕事だ」
「――!いや……いや……助けて!……助けて宗谷くん!」
窓ガラスを突き破る音とともに現れたのは現代日本ではあまりにも浮いているというか奇抜な服装
腰に下げた大剣はこの現代には似つかわしくなく、銀髪の髪に碧眼の目がさらにその者の異端な雰囲気を放つ
たった今サトエリを斬るはずだった刀が折れている!
「「里井さん」!待たせたね、迎えに来たよ!」




