〜神木零士〜
「神木零士」は三十歳、警視庁公安部「フクロウ」の諜報員である
神木零士というのも本名ではない、彼は世界を飛び回る「スパイ」だ
コードネームは「カミキ」
今回潜入しているのは「アーテルカンパニー」、「黒田信玄」を調査するために社員として働いている
潜入名「斉藤匠」という名で半年ほど働いていた
「斉藤くんは優秀ですな〜」
「いえ、本部長の指導がいいんですよ」
「この分なら部長にもすぐに昇進できるぞ!」
「ありがとうございます」
「今度、社長にも君を紹介するから時間空けといてくれよ」
「はい!よろしくお願いします」
――やっとここまできたか……「黒田信玄」の会社は製品開発、薬品開発、旅行会社と多岐にわたる、しかしその実態は……いつかきっと世界を揺るがすモノになるはずだ……――
その後「カミキ」は「アーテルカンパニー」の重要ポストにまで上り詰めた
「斉藤くん、君も飲みたまえ」
「ありがとうございます」
「斉藤さんってすごい優秀って聞いたんですけど見た目もカッコいいですね〜」
本部長との飲みでホステスにアピールされる「カミキ」は女性の扱いも手慣れている
「ありがとう、君みたいに綺麗な人にそう言ってもらえるように頑張って昇進したようなものだからね」
「カッコいい〜!」
「おいおい、斉藤くんやるね〜」
「ねっ!あなたもそう思うでしょ!紀子ちゃん」
「はっ……はい……すごいカッコいいと思います……」
ホステスの新人「紀子」は慣れない接客に戸惑いながらも「カミキ」との運命の出会いをすることになった
「……あまり慣れてないようだけど大丈夫?」
「はっはっはい!……おっお酒をお注ぎしますね……すみません、緊張してしまって……わたし緊張すると吃っちゃうクセがあるんです……」
「ハハ、全然大丈夫ですよ!とても可愛いです」
「こぉ〜……可愛い……こんなカッコいい人に……紀子ちゃん君のクセって可愛いね、斉藤さん……わたしって変な女ですよね、いや……とても新鮮だよ、新鮮?ああ……だから俺と付き合ってくれ、えっ?わたしでいいの?君がいいんだ、斉藤さん……紀子ちゃん……」
「…………あの……紀子さん?……なんか独り言が……」
「キャ〜!ごめんなさい……声出てました?……」
「ええ、なんか一人二役みたいに」
「あわゎ……妄想が漏れて……」
紀子は動揺してオロオロとしている
「ぷっ!ハハハ……クク……紀子さんって……クク……面白いですね!」
「カミキ」はお腹を抱えて笑う
「……あっ……あの失礼しまぢた!ギャ〜舌噛んだ」
「コラ!紀子ちゃん!上品にしなさい!」
「…………申し訳ありません……」
紀子は先輩ホステスに怒られて「カミキ」やその上司に謝ることなってしまった
「クク……ククク……駄目だ……我慢出来ない」
「カミキ」のツボにハマってしまって恥ずかしい紀子はそれでも嬉しかった




