〜ビビの覚悟〜
一方エリィとビビはこの街で一番の宿で受付をしていた
「いらっしゃいませ何名様ですか？」
「四人だ、一番いい部屋を頼む」
「申し訳ございません、そちらの部屋は今日はもう空いてないのです」
「ほぅ、では次にいい部屋を用意してくれ」
「はい、それでは……」
受付の女性が部屋の鍵を準備しようとすると隣にあるもう一つの受付の女性が何やらストップがかかった
「申し訳ございません、そちらもたった今埋まってしまいまして……」
「なに！」
ビビがカウンターを叩く
「いや〜すまんね〜俺のほうが僅かに早かったとよ！」
薄い緑がかった銀髪の長髪を一束に結び、碧眼の目、顔立ちが整った青年のような冒険者が鋭い目つきでビビを見る
「ん〜？お前は……もしかして人族じゃないと？」
「――！人族じゃなければなんだ？」
「いや〜俺は急に「指名依頼」でここに来たんやけど……もし……魔族なら「依頼の原因」の可能性があるばい」
「……」
男はビビに近付いてくる
「――えっ？ちょっと待って下さい！」
エリィがビビと男の間に割って入る
「――ファブニル様！揉め事のは困ります！」
ただ事でない雰囲気に受付の女性も震えながら声を掛ける
「ファブニルだと！……もしや……」
ビビは背中に寒気を感じる
「そうだ俺はファブニル！「ファブニル・ヴァレイ・ヤージュ」世界最強の冒険者ばい！」
「世界最強のSランク冒険者か……生きていたのか？」
「失礼だなぁ……ん〜やっぱその魔力量は「最高位魔族」かぁ？……仕留めとくばい！」
ファブニルの波動が辺りを吹き飛ばす！
ビビが魔力を解放する！赤紫色のオーラがビビとエリィを包み込み、ファブニルの波動からエリィを守る
「おいおい！この凄まじい魔力、当たり引いたか〜……「魔王の幹部クラス」ばい！」
ファブニルが余裕の表情で剣を抜く
「魔王か……お前は「本物の魔王」を見たことないだろうがな」
「「本物の魔王」？そんなの「魔族王ゾルディア」じゃないと？」
「それは「魔族の王」だ「魔王」ではない」
「まあいい！とりあえず仕留めて呪いを解くばい！」
「……ここは被害が出るぞ、場所を変えるか？」
「ふ〜ん、魔族のくせにそんなの気にすると？……じゃあ表に出るばい」
「そうだな……出来れば町の外にしよう」
ビビが「町から離れよう」とファブニルに言う
「ビビさん！行かせません！」
エリィはビビの腕を取り離さない
「……エリィ……任せておけ、ビビはそう簡単に死なない」
「ダメです！逃げましょう！」
「エリィ……おそらく逃げられない、あの男……一見無邪気そうに見えて冷酷だ、見逃してはくれないだろう」
ビビは優しく掴まれた腕を外しエリィの肩にそっと手を置いて、安心させるように笑顔で出て行った
ファブニルとビビは町の外へ出て対峙する
