〜「愛してる」と殺意〜
その日からアンバーの家への嫌がらせが始まった
スカイがいない時を見計らってやって来る嫌がらせは深夜に来ることもあり、アンバーは精神的に追い詰められていった
スカイは一刻も早く借金を返すためブラウン工房の地下で魔石を大量に回収してお金を稼ぎ、それを持ってアンバーのもとへやってきた
「アンバー!お金出来たよ!これで全部……」
「……ひっ!……あっ……スカイ?……どう……したの?」
「……アンバー……もう心配しなくていいんだよ」
アンバーは家の明かりもつけず、体調が悪くなってしまったアッサムの介護をしていた
「明かりくらいつけないと……」
スカイは明かりをつけてあげる
「……スカイ……お父さんがね……体調……悪いんだ……あまりね……返事もなくて……身体拭いてあげてね……気持ちいいはずなのに……何にも言わないの……」
アッサムは亡くなっていた
そのことに気付かないほどアンバーは壊れていたのだ
「……アンバー……こっちにおいで……もういいんだ、アッサムさんを休ませてあげよう」
「……スカイ!今度、約束の滝に行こう!お父さん連れて!」
「……そうだね……」
「そうしたらお父さん元気になるかも!」
「……そうだね……」
「楽しみだな〜……スカイのお休みの日だから〜」
「……アンバー……う……うっ……」
心が病んでしまったアンバーを抱きしめてスカイは泣いた
アッサムの遺体もスカイとウバが埋葬し、アンバーには伝えていない
いなくなったアッサムのことも何も言わなくなってしまった
一週間のあいだスカイは仕事もせずアンバーとずっと一緒にいた、目を離すわけにはいかなくなってしまったからだ
話をしたり、お出かけしたり、料理を作ったり片時も離れずにそばにいた
「ねぇスカイ……次はどこ行く?」
「う〜ん、初デートの灯台は?」
「いいね〜じゃあオシャレしないと!」
「うん!めいっぱい可愛くして行こうね!」
「楽しみだな〜」
もう良くなったと思ってた
以前のアンバーに戻ったんだと
今度のデートでプロポーズしようと思って「あの指輪」を買いに行った
離れていたのはその時だけ
「指輪」を買って帰ったらアンバーはいなかった
手紙が置いてあった
「スカイへ
迷惑かけてごめんね、頭がぐちゃぐちゃで自分じゃなくなる時があるの、嫌なの、あなたが好きになったわたしじゃなくなるのが嫌なの、スカイに出会ってからの一カ月が人生で一番幸せでした、あの時あなたを見つけて良かった、あなたを好きになれて良かった、あなたが好きになったわたしのまま死ぬことを許してください アンバー 」
スカイは走った
場所は分かっていた
「約束の滝」
アンバーは身を投げるつもりだ
走った、懸命に走った
間に合えと祈りながら走った
アンバーがいる!間に合った!
「アンバー!」
アンバーは振り返ると夕日を背に浴びた女神のような笑顔を見せて「愛してる」と言って飛び降りた
「あぁぁ!アンバーァァ〜!」
「アァァ!」
魔力が爆発する
スカイの右手が白く輝く!
「白い手」がナノマシンのように分解して「白い翼」に成った!
世界一大きな滝に飛び込んだアンバーを抱きしめ空を飛ぶ「スカイ」!
「そうだった……思い出した!オレはセブン……執行者セブンだ!」
「すべての悪を……オレが殺す!」
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