〜ビリジアンは王女に恋をする〜③ 目覚め
時は少し遡りビビとコーラル、そしてイルミナがエルフの里へ旅立ってすぐのことだった
――……あれ?……たしかエリィにシルフィアさんが危険だと伝えてってお願いして……オレは今どこにいるんだ?……「意識と無意識の間です宗谷斗真、「虚ろの間」とも言います」……なんか聞いた声だな、クレアーレグローブの時かな?……誰ですか?「クォークと申します、あなたには完全覚醒してもらいたいのです」……完全覚醒……クォークさんは何者ですか?「エレノア・アッシュハートに神託を授けた者です」……じゃあ神様!?……アトランティスに行ったら何が起きるんですか!?「……それは言えません!ですが行かなければラビスは「超次元的問題」を抱えることになります」……超次元……なんか恐ろしい感じだよな?……ラビスの平和のためになら頑張るよ!「……それは良かったです、では宗谷斗真!アゥフの感覚を覚えなさい!「虚ろの間」を使いこなすのです」……具体的にどうしたら?「今いる場所です!ここにいながら意識を起こすのです!」……う〜ん……なんとなく……分かるような……善処します!「あなたに死んでもらっては困ります、強くなりなさい!」……もちろん!みんなを守るためなら強くなるよ!「……ではまた「その時」に!」……行ったか……よし!早く目覚めないとみんなが心配するし頑張るか〜!――
「トーマくん……結婚しちゃうのかな……なんかモヤモヤします……」
「結婚するとしても、アトランティスのあと……ですかね……それとも前?……トーマくんは何て答えるでしょう?……」
エリィは眠っているトーマに語りかけるように言う
「トーマくん早く起きてくれないですか?……イルミナさんがキスしても起きなかったですもんね!……あっ!そうでした……キスはビビさんの冗談でした……キスか……わたしがしてもダメですよね?きっと……してみますか?トーマくん?……ふふっ、わたし何言ってるんですかね?……」
エリィは眠っているトーマの顔にゆっくりと近付いていく、くちびるが触れ合う時だった
エリィとトーマはバッチリ目が合った!
一瞬、時が止まった
お互いに何が起きてるのか理解出来なかった
静寂を破ったのはエリィだった!
「キャ〜!」
エリィは驚き過ぎて叫び、後ろに下がった勢いで尻もちをついてしまった!
兵士達が駆け込んで来る!
「大丈夫ですか?何か問題が!――はっ!」
数名の兵士が目撃したのは、半裸のトーマが転んでスカートが乱れているエリィに近付いている瞬間だった!
「何をされているのですか!騎士ともあろうお方が!起きて早々にふしだらな行為を!」
兵士達がトーマを囲む!
「ちっ違うんだ!これにはとても深い理由が……!」
トーマは後退りして両手を上げる!
「犯罪者は皆そう言う!自由騎士だからって自由にし過ぎです!」
兵士達はトーマに詰め寄る!
「ほんっとに違うんだって!」
トーマは起きて早々に正座して弁解していると、気持ちの落ち着いたエリィが事情を説明し事なきを得た




