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〜聴啞の騎士と盲目の少女〜④ 魔将校

 ガランドに対しドイルは一つの誓約(せいやく)()わした


「この戦いが終われば武装具(ぶそうぐ)を返上し騎士団を辞め、サラの元に帰る」

 これは騎士の誓約であり破ることのできない約束である


 この誓約はグリディア王国国王にも受理されドイルとガランドはこの戦いへの闘志を燃やした


 ガーリア帝国の帝国軍はグリディア王国の国境を越え進軍している


 グリディア王国の騎士団はほとんどが兵士である、「騎士」と呼ばれる者は一割もいない

 「騎士」は数百の兵士に匹敵するといわれ「武装具」を持つ者は戦況をひっくり返すといわれる


 今回の戦いは三地点に軍を配備しているので戦力は分断されている

 ラビスには魔力が存在するので治癒魔法はもちろん攻撃魔法も存在する


 「魔法使い」は戦争でかなりの戦力になるが、「人族」には使える者が少なく人族の多いグリディア王国では主力は「騎士団」だった


 その点ガーリア帝国には魔法特化の部隊が存在している、それは獣人族やドワーフ族などの種族が多数いる「他民族国家」であることから成り立っている


 だがガーリア帝国でもっとも危険なのは「七人の魔将校(ましょうこう)」である


魔将校がそれぞれ武装具を持っているという「帝国最強の七人」だ、これが何人出てくるかで変わってくる


「やっぱり、ヤバいっすね〜向こうの魔法部隊〜どうします〜ドイルさん」

ビオルクはドイルの指示を(あお)


「……」


 手話(しゅわ)でオレがまず行くとドイルは伝える

 

 その後にガランドが続いて来るようにと指示する


「「「了解」」」


 第八騎士団はドイルの指示でなんとかまとまっている状態だが、それでも曲者(くせもの)達は帝国軍を蹴散らしていく


「オラオラ〜どうした〜」

 ビオルクの細剣(さいけん)は戦場を縦横無尽(じゅうおうむじん)に駆け回る!

「オオオッ」

 ガランドの大槍は一振りで何百を蹴散らす!


「……」

 ドイルの大剣は魔法をも切る!


 第八騎士団は十名ほどの少数精鋭だが、他の兵士達の援護もありこの区域では完全に帝国軍を圧倒した


「いけそうっすね〜この戦い」

 ビオルクが飄々(ひょうひょう)としていると「油断するなよ」とガランドが(かつ)を入れる「へ〜い」と言った時だった


 凄まじい炎が大地を焼く!


「「「――っ」」」


 一瞬で火の海と化した(あた)りには、大勢(おおぜい)の兵士が倒れている

 

第八騎士団の無事を確認した時だった

 

「アイツだ!」

 ビオルクが指差した先にはとてつもない闘気(とうき)(まと)った男が(そら)に浮いている

 黒い(よろい)に黒い(かぶと)、顔は完全に隠れて見えない


「ヤロ〜!」

ビオルクが飛びかかる!

 

ドイル達もビオルクを援護するように切りかかる!


「消えた?」


 全員が男を見失う

 

 瞬間、さらに上空から巨大な炎の玉が落ちてくる

空を埋め尽くすほどの爆炎(ばくえん)が降り注ぐ

 

 ガランドは魔力を高め、大槍に(まと)わせる!

 「オオオオォ」

 上空に放ち!空が爆発する!

 「破岩衝(はがんしょう)」で爆炎を相殺した!


黒い鎧の男はたった一人で第八騎士団を圧倒している

 

第八騎士団の一斉(いっせい)攻撃はかすりもしない

 すべての攻撃を男は舞うように(かわ)していく

「なんってヤツだ……たった一人で」

 

 ビオルクはこれまでの戦闘で呼吸も荒く万全の状態ではない

 他の者も体力の限界にきている


「ガーリア帝国、魔将校(ましょうこう)三席(さんせき)レイジン」


 黒い鎧の男はそう名乗った


「「「魔将校!」」」


「……」

 ドイルの右手が輝く「武装具(ぶそうぐ)」の発動!


空気中から音が弾けて消えていく

 

 「デュランダル」が青く輝く!

 それを見たレイジンは(そら)に浮いて極大(きょくだい)魔法を放つ!


「ゼタフランマ!」


大気が震えるほどの威力!

 空気を焼くほどの(うな)る炎がドイルを襲う!


ドイルはデュランダルを一閃!切り裂く音ともに炎が消滅!

 

「デュランダルか……面白い……」

 レイジンは腰に下げていた剣を抜いた


「こいッ天叢雲剣あめのむらくものつるぎ


 黒い光と共に黒い剣が姿を表した


 聴啞の騎士ドイルvs魔将校レイジン


「さあ、見せてみろデュランダルのチカラを!」

 レイジンはとてつもないスピードで間合いを詰める


レイジンの斬撃はドイルの首を狙いそれを剣で受ける!


 ニつの武装具が打ち合い、辺りに衝撃波が走る!


 ドイルは皆に「引け」と手で合図する

デュランダルのチカラで巻き込まないようにするために指示を出した


 ガランドは皆には離れろといい自分は残った


 ――ドイルを死なせる訳にはいかん――


「オレが絶対連れて帰るから安心して引いてくれ」

ガランドは第八騎士団員全員に告げる


 ビオルク達はここに居ても足手まといになる事を理解しているので口惜(くちお)しいが下がった


 ドイルのデュランダルは「音を操る能力」


音波も操るから空気を圧縮収縮できるので密度の変化で波動や魔法、剣閃は一切効かない


「では試してみるか」

 レイジンは炎魔法を放ち同時に凄まじい剣閃を飛ばす!

 二つの攻撃が同時にドイルを襲う!


 ドイルはデュランダルを振る!

 ニ振りするととどちらも消滅した、デュランダルに遠距離攻撃は通用しない


「素晴らしい!」

 これがデュランダルのチカラかとレイジンは(たた)える


「では、天叢雲剣あめのむらくものつるぎのチカラを見せようか」


 レイジンは剣を構えた


 剣が黒く光る無造作に剣を振る!


 肉が裂ける音がして血飛沫(ちしぶき)が舞う!


「――っ」

ドイルの胸に切り傷が出来た!


「どういうことだ!なぜ斬られた!」

 離れて見ているガランドが叫ぶ


 レイジンは剣を軽くニ、三振る!

 ドイルはデュランダルで無効化しようと青く輝く剣を振る!

 背中と胸がまた斬られる!無効化されない!


レイジンは次々と剣を振る、ドイルは一方的に斬られ血まみれになっていく


――デュランダルで防げないということは物理的に斬られたということ……風圧でも剣閃でも衝撃波でもない……くっ……このままではやられる!ドイルを無事サラの元に返さなければ!――


 ドイルが一方的に斬られるのを見てガランドは覚悟を決めた、自分はどうなろうと構わない、レイジンに向かって全魔力を込め放つ


「オオオオォ破岩衝(はがんしょう)ぉ!」


「おお、これも素晴らしい」

ガランドの攻撃に気付いたレイジンはドイルへの攻撃を一旦止め

 ガランドに向かって破岩衝の波動ごと斬る一撃を放つ!


「ディープスラッシュ!」


 空間を裂く一撃に血飛沫が舞う!

  

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