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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

いつもと違う帰り道

作者: ツミキ

「帰りは寄り道しちゃだめよ」


 ぼくが学校に登校する時、いつもお母さんが毎朝言ってくれた言葉だ。

 お母さんが亡くなってからも、学校へ行く度に思い出す。


 その日の学校の帰り道、ぼくは毎日通ってる帰り道を歩いた。

 いつも通りの風景、いつも同じ時間待つ信号機、いつもいい匂いがする弁当屋さん、いつも寝転がっている猫の姿。


 いつも通りの帰り道だ。


 見慣れたスーパーを曲がったところ、家と家の間に小さな道があった。


「あれ?こんなところに道ってあったっけ?」


 不思議に思いながらも、この道の先が気になって通った。


「ああ、この道ってここに繋がってたんだ」


 小道を通り抜けた先の景色、それは昔、お母さんと遊んでいた公園が広がっていた。


「そういや、あれっきり公園で遊んでないや」


 公園には沢山の子供たちが遊んでいる。

 なつかしむように公園をながめて、そのままぐるりと歩き回る。

 その途中に、公園の向かい側に建っているマンションとお店の間につづいている道に目が入った。


「あの道はどこにつながっているんだろう」


 そう思い、なにかワクワクするような冒険心が芽生え、道の先へと向かった。


「あ!よく行ってた本屋さんだ!なつかしい!」


 お母さんの読み聞かせが好きで、本をたくさん買ってもらった場所だ。

 本をねだりすぎて怒られたこともある。

 またお母さんの読み聞かせが聞きたいな。


 そしてその後、ぼくは本屋さんのとなりにつづいている道を見つけた。

 次は一体どこにつながっているのだろうか、そう思いながら足を進めた。


 それからぼくは、道を見つける度に好奇心をかき立てた。


「なるほど、ここはここにつながるんだ」


 道を通る度に新しい発見をする。

 こんなにも知らない道があっただなんて、どうして今まで気づかなかったのだろうか。


 あれからたくさんの道を通った。かなり時間がたったのだろう。空が夕焼けに染まっていた。

 あたりには誰もいない。

 いつの間にか知らない場所に来ていた。


「どうしよう、迷っちゃった」


 記憶をたよりに来た道を引き返す。

 いくらか来た道を戻ると本屋さんが見えてきた。


「はぁ、よかった」


 本屋さんまだ開いてるけど中には誰もいなかった。

 そういえば途中から人を見ていない。

 なんだか怖くなってきた。早く帰ろう。


 さらに戻ると公園が見えてきた。

 公園にもやはり人はいない。もうみんな帰ってしまったのだろうか。

 ぼくも早く帰ろう。


 あたりはだんだんと暗くなってきている。

 やっといつもの帰り道に戻ってきた。

 小走りに家へと向かう。

 こんな時間になってしまって、きっとお父さんは怒っているに違いない。


 しばらくしてようやく家についた。

 玄関の鍵を開けて家の中に入る。

 台所の方から物音がした。

 お父さんが料理を作っているのだろうか、めずらしい。


「ただいま、お父さん」


 怒られるのを覚悟に台所へと向かう。

 そこで料理している人が目に入った。


「え?………お母さん?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも同じ時間待つ信号機☆5&イイネ [一言] お母さんが認識できるかどうかですかね。悲しくも最後だけわずかに救いのある話と私は読みました。
[良い点] いや、アカンでしょう。 帰ってこれてないし。
[良い点] 「異界に迷い込んだら、正確に同じ道をたどらないと、現世にに戻れたとしても異なる世界線に移動する」をラストの一行だけで表現したのは上手いオチだと思いました。 実は私も全く同じ設定(もちろん前…
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