夢魔王vs高槻紗夜
早朝、大変ご迷惑をおかけしました。
よろしくお願いします。
紗夜は思わず、舌打ちをする…。一旦距離を開け…今度は、両手で聖剣を持って、正面から突っ切る。
夢魔王はこの紗夜の行動に、目を見開く。
それもそのはず。なぜならば、聖剣と鎌では、リーチが1m以上異なり、鎌の方が有利なのだ。
故に、魔法なしでその行動をした事に困惑する。
当然、紗夜の狙いは別にある。彼女は、鎌の先端が、聖剣よりも先に届くことに、思わず、笑みを浮かべていた。
一瞬の狂気とも呼べる紗夜の表情を目撃した夢魔王は全身に悪寒と興奮を感じた。
そもそも、彼女がキングに忠誠を誓っていたのは、彼の圧倒的《 強さとカリスマである。しかし、目の前の紗夜もそれに匹敵する。
——グサっ
少し痛い…けど、これくらいなら大したことはない。
むしろ、いい仕上がりである。この破廉恥女に感謝したい程だ。
——さぁ、さーや、共に行こうか。
——あんた…いつも遅いのよ…
問いかけると…聞こえるはずのない声が、紗夜に聞こえた気がした。
『限界突破』で攻撃力を上げ…
「『炎魔法 爆炎業火』」
「きゃはっ♡…こうさぁん…♡無理無理ぃ♡今のあなたにはぁ勝てる気がぁわかなぁいぃ♡例え、月がぁ出ててもぉ無理ぃ♡ってなわけで仲間に入れてぇ?♡わたしの名前はリリス♡きゃはっ♡よろしく♡」
——えぇ?どうしてこうなるの!?
そういうや否や、夢魔王は、私の元へと抱きついてきた。
その様子を里奈は、冷たい目でじっと睨んでいた。
◆◇◆◇
「やぁ…お目覚めかな?天童綾香さん?花見沙織さん?君達には、悪いけど、まずは、腕と足を落としてから、みんなで楽しむとするね?その後、高槻紗夜さんにでも、プレゼントしよう」
——狂ってますわ!!!
——こ、こいつやばいでしゅ…。本気の目でしゅ…。
「修二…そんなんじゃ緩いわよ。初めから四肢切断なんて甘えたことするんじゃないよ...!!!それは、じっくりいたぶってからよ?」
「「あっはっはっはっ」」
片岡修二と三森奈々は大きな声で笑う。
彼らについて来た者は、バツが悪そうな顔をする。それもそのはずだろう。
四肢を拘束された天童綾香が、同じ状態の花見沙織の前に地面に膝を擦り付けながら、なんとか前へと出張り…自らができるだけ、三森奈々から繰り出される拳をまるで大切な者を守るように受け続けていたのだ。
——いくらなんでもやりすぎだ。この2人を誰か止めてくれと切実に願うのだった。
彼らの願いが、届いたのかどうかはわからない。しかし、状況は一変することとなる。
——それもたった一言で、だ。
「ねぇ…死ぬ覚悟はできてる?」
倉庫の扉が開き、先程の声と共に、入ってきた紗夜の表情は、いつもと変わらないのに、倉庫にいる者は、彼女の声からまるで巨大な竜が、咆哮しているかのような…変な感覚に襲われた。
それと同時に、まるで、倉庫内の全体を包み込むかのように、彼女の本気の殺気が、周囲へと放たれた。




