再会
よければよろしくお願いしめす
学院が終わり、夕陽が顔を見せ始めた頃、高槻紗夜と二階堂文香は、当初の予定通り、屋上で対峙する。
「…なんで…あんたみたいな…どうせ…チートを使ったズルのくせに…あの子達を心から笑顔にできるのよ」
二階堂文香は、心底疑問に思っていた事である。片岡修二は、その優れた容姿と闇であそこの地位へと成り上がった。
彼女からすれば、1-Aの本来の在り方は、片岡修二✖︎高槻紗夜がクラス中心で始まると思っていた。
しかし、蓋を開ければ、どうだろうか?2人は歪な関係だった。まるで、因縁の相手のような…心底、お互いを軽蔑しあっている。
片岡修二に対して、高槻紗夜は、どうだろうか?彼女の場合は、優れた容姿と光であそこの地位までへ上り詰めたと彼女は推測している。その方法が分からないからこそ、彼女は、高槻紗夜に興味を抱く。
つまり、二階堂文香は、片岡修二を支配、高槻紗夜を信頼…対極的な属性だと位置付け、現在は、前者を見限り、後者が気になっている状態なのだ。
——ヒューッ
紗夜が何かを答えようとした時に、突然、強い風が吹いた。しかし、その風が収まった後に、彼女は、文香の質問に落ち着いて答える。
「攻略情報なんて便利な物じゃ無いよ…。きっと、そんな風に見えるなら、それは二階堂さんの間違いだよ。あの子達が笑顔でいられるのは、決して、私の力だけじゃない。ねぇ、花畑は、なぜ、同じ時期に、綺麗に彩るのだと思う?」
二階堂文香は、高槻紗夜の質問の意図がわからなかった。
——そんなのは、同じ時期に種を植えたからに決まっているからだ。
「二階堂さんが考えているのと同じだと思う。私とあの子達が、笑顔でいられるのは、きっと…萎みかけていた蕾が、色んな過去を私と…いいえ、私達を全力で支えてくれた人々と共に乗り越えて、やっと満開になれたからじゃないかな?」
——証拠もない理想論を語ってるくせに、なんでそんなに真っ直ぐな目をしているの?
——あなたの大事な人達が私達のせいで危機的状況に陥ってるのに!?
——なんで、なんでよ。なんで、あなたが私が好きだった人が告白したときの眼をしてるのよっ!!!
「…なら、証明して見せてよ…。私の好きだった人ができなかった事をあなたが、やってみせてよ!!!決闘場の倉庫!!!今すぐに急ぎなさい…!!!」
「二階堂さ…」
紗夜が何かを言いかけた時に、二階堂さんの首にどこからか飛んできた鎌が迫る…それを視界に入れた紗夜は、瞬時に彼女を守るために聖剣で鎌を防ぐ。
「花見沙織と天童綾香が大事なら私を見捨てなさい!!」
紗夜の腕の中で、二階堂さんは、その言葉と共に強く抵抗をしていた。
彼女はこの時、ノルダーム遺跡の時の佐藤里奈と今の二階堂文香の自分よりも誰かの為に自分が犠牲になろうとする姿を重ねていたのかもしれない。
今も紗夜に抵抗する彼女の姿を見て、数瞬の間に彼女の言葉と行動を思い出す。
——彼女が自己紹介の前に『すーっ』と呼吸した理由は、単なる緊張だと思ってた。
——将来の夢の花嫁は…男子達に媚びを売る、ゲームとしての二階堂文香の性格由来だと思ってた。
「里奈…」
——でも、彼女は憑依者だった。
紗夜は、改めて思考を巡らせた結果、点と点が繋がっていくのを感じた。日本人で花嫁に未練がある人…そして、ハーレム に嫌悪感を抱く程の一途さ…自分よりも他の事を優先にさせる誠実さ…無意識に彼女は『里奈…』と口に出していたのだ。
——その言葉を聞いた文香は、驚愕した。
「ヒロ君…?」
そして、彼女からも、自然と口から零れた。自分が探していた人が、まさか、女の子に転生して、ハーレム を築いてるなどとは、彼女は思い浮かんでいなかった。
——刹那…文香を監視していた悪魔十柱が姿を現す。
「キャハッ…♡紗夜ちゃぁん♡ファーストキスのぉ私ぃを無視しないでぇ?…2人でぇ甘い空気を出さないで欲しいなぁ…♡」
この破廉恥女、なんて事を暴露しちゃってくれてるのかな?信じられないんだけど?え?里奈から、めちゃくちゃジト目貰ってるんだけど…いやほんと…感動的なシーンで、どうして、毎度、ぶち壊されるのかな?
そんな、里奈の頭を撫でて…「後でゆっくり話そう」と紗夜は、彼女に告げる。
「時間はないのっ!!このままじゃ。ヒロ君の大事にしてる人達が…壊されちゃうの!!」
——一瞬だけ目を見開いた紗夜は、直ぐに冷静に戻り、覚醒して以来初めての本気の魔法を放つモーションへと入り、戦闘の姿勢を見せる。
その圧倒的な強者の雰囲気に夢魔王は汗が噴き出していた。
——キャハッ…♡これはぁ流石にぃやばいわぁ♡何分稼げるかな…♡
時間を稼ぎたい悪魔十柱と時間が惜しい高槻紗夜の戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。




