ツンデレお嬢様vsヤンデレお嬢様
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4月5日
「さーや…起きた…ちゅーして…?」
——やれやれと思いながら、私が沙織の要求に応じようとすると、
「あの…沙織さん?一緒に紗夜様と住んでるからといって調子に乗らないで欲しいのですけれども…?わたくしもいるのですが?子爵家の娘は、侯爵家の娘に譲るのが貴族社会の常識ではなくて…?」
——2人とも半端じゃない眼力で睨みあっている。
肝心の紗夜はと言うと、1人で感心していた。
へぇ、今更だけど、2人共、貴族だったんだ。私の家は、平民なんだけど…大丈夫かなぁ。やっぱこの『恋愛ラブ魔スター』の中だと、領地経営や出自ではなくて、単純に、親の仕事の階級みたいなものかな?
「…ど、泥棒猫が…沙織だけのさーやだったのに…しゃしゃるなでしゅ…」
んー…私からしてみれば、綾香がどちらかというと犬で、沙織が猫のイメージなんだけどなぁ…
——何事にもオープンで、基本的に社交的な綾香
——恥ずかしがり屋で私以外は無関心な沙織
『混ぜるな危険』をかき混ぜてしまったような…そんな気がするのは、私だけだろうか?
2人は、私の部屋で昨晩、一緒に寝て、起きて早々に、喧嘩する様子を寝ぼけた顔で眺めていた。
◆◇◆◇
時は少し遡る。
パーティーの日の後、沙織は、私の部屋で寝泊まりする事となった。つまり、保護者監修の基、同棲という形となった。
大喜びしたのは、私のご両親…まぁ、娘が、玉の輿に乗れたら、そりゃ手放しで褒めるのは当然だ。
——沙織はうちで預かる事になり、私の部屋で2人での生活が始まろうとしていた時——
『ピンポーン』インターホンが鳴り響いた。
お母さんが、「はーい」と玄関の扉を開けて迎え入れる。な、なんと…天童家の父と娘が、堂々とした姿で、私と沙織のいるリビングへやってきたのだ。
「紗夜様?今日から不束なわたくしですが、よろしくお願い致しますわ」
——え?
「紗夜嬢…突然のご訪問と前回のパーティーのお詫びとして、『軍部大臣:天童綾人』が直々に訪問させて貰ったよ。今回の事は、非常に申し訳なかったので、国王陛下に勝手ながら、侯爵の権力を行使して綾香と紗夜嬢の婚姻届を出させて貰った…こんなに可愛い綾香を振るなんて事は、万が一にもないだろうけど、一応、君に、直接、報告しておこう。それと、綾香が『旦那様と妻は共にあるべきです』とうるさくってね。紗夜嬢、君に頼むね?」
——既に…退路が閉ざされているのですけど…いや、あんたイレギュラーに弱いんだから、こんな所で名軍師を発揮しないでほしいなぁ…?
「ああ…高槻嬢の親御様…これから、綾香がお世話になるので、これはほんの少しのお礼ですので、どうか受け取ってください」
——あの、スーツケースにお金らしき物が入ってるんですけど、ぱっと見3000万れんくらいはありそうなんですけど!?
お父さん、お母さん、あの時の遺跡から、帰ってきた時の言葉と流した涙は嘘じゃないよね?
「沙織ちゃんもいいけど、綾香ちゃんもとても良い子だと思うわ」
「そ、そうだな。うん。是非とも、綾香ちゃんも大事にしてあげなさい」
——金で買収されやがったァァァァァァァ
「と言うわけで…沙織嬢、綾香とも同じ婚約者なんだから、仲良くしてあげてね?」
沙織は綾人に殺意を混ぜながら、睨み、綾人は涼しい顔で受け流し…両親は、「リフォーム」の相談…綾香はもじもじ…
——毎日が憂鬱になりそうだァァァァァァァ
◆◇◆◇
——現在、2人は、まだ眼で火花を散らしている
でも、そんな2人がとても可愛くて、
「ねぇ、2人とも愛してるよ、私と学院にいこ?」
高槻紗夜はそう誘い、仲が悪くても、必ず2人を幸せにする決意をするのだった。




