今宵はわたくしと踊りましょう
よければ、いいね、ブクマ、感想ください。ここから少し物語は動きます。
目の前に悪魔現れた。そして、天童綾香を人質に取っている。
悪魔の体格は、人間と大差ない。明確な違いは基本的に紫色で覆われており、2本の角と背中の黒い翼くらいだ。
しかし、そんな奴よりも、このイレギュラーな事態を誰が引き起こしたのか、紗夜はそこが気になる。
——キングと呼ばれる私と同じ攻略情報保有者の差金だろうか?それとも奴の幹部である悪魔十柱の差金か?或いは…嫌…これ以上は辞めよう。
綾香のお父様であろう人物は、顔を真っ青にしている。ああいう金髪オールバック眼鏡は、策略に長けている分、こういうイレギュラーには滅法弱い。
綾香の表情は、涙を浮かべている。普段は、空気読めない、強情で、ポンコツ…それでも根は、誰よりも努力家で優しい一面を持つ素敵な子だ。
「せめて、私とやり合いたいなら、悪魔十柱かキングを出しなよ、末端、お前みたいに人質を取って虎の尾を踏む雑魚は呼んでねぇんだ」
紗夜は悪魔と話している隙に聖剣エルプレムを抜き出し、自身のスピードを上げる。
「カッカッカッ…ほざけ、人間…だったら、それを証明してみせ…」
「だから…私の動きさえ捉えられないお前は呼んでねえんだよ」
彼が、私に対する声を発していた瞬間に、私は即座に接近して綾香を奪い返していた。
「綾香…今日は、素敵なパーティーを呼んでくれてありがとう。お陰で、私は綾香のことが好きになれたよ」
紗夜は、そのまま、彼女の額に口付けをし、彼女の父親に、彼女を預ける。
悪魔は、紗夜の一連の動作を見届けることしか出来なかった。——否、付け入る隙が、全くなかったのだ。
——こいつ、何者だ。ま、まさかキング様と互角?
「人が多いと規模の大きい魔法の使用はできない…か。だったら…」
紗夜は悪魔に近づく。今度は、紗夜の動きを捉えた奴は、接近する彼女に応戦する。
『雷魔法 サンダー』
悪魔が放ってきた毒爪に、雷を打ち込み、痺れさせた隙に、聖剣エルプレムで、斬首する。
紫色の血が噴き出しながらも、地面へと倒れる。
——あまりにも弱い…。これは、キングではないな。
そう推測し、彼女は聖剣を鞘へと仕舞う。
「貴族の皆様、パーティー会場の皆様…大変申し訳ございません。これは、天童家のデモンストレーションですので、お忘れください」
彼女は大きな声を発しながら、綾香の父へ目配せをする。
「そ、そこのお嬢様のいう通りです。皆様、当家の余興を楽しんで頂けましたでしょうか?」
綾香の父が彼らの視線の的になってる間に、私は炎魔法で悪魔の遺体を消した。
「それでは、皆様、引き続き、パーティーを楽しんでください」
私はそれだけ、言い残してパーティ会場を出る。
家へ帰ろうとしてた時に…「待って…くださいまし。紗夜様…」そう、綾香に呼び止められた。
彼女に呼ばれた紗夜は、彼女へと振り返る。
「少しだけ目を瞑ってくださいまして…?」
うーん、まぁいいか…。綾香が私に悪い事をするなんて思わないし…ね。
高槻紗夜の前世はご存知の通り、色恋沙汰を一度しか経験していない。そのため女心が、この通りあまりわかっていない。
故に、恋愛に疎い。
それは彼の前世が、オタクだったために仕方がなかったといえば、仕方がない。
紗夜が目を瞑る…すると、天童綾香はちゅっと音を鳴らし、彼女の唇へキスをした。
思わず、目を開けると。綾香の顔が、すぐ側にあり、離れようとするも、綾香がなかなか離してくれない。
——1分くらいしてやっと解放された。
「わ、わたくしのファーストキスですわ。つ、つまり、ですね?わ、わたくしはあなたが、大好きです。お、お返事を待ってますわ…」
綾香は、それだけを言い残して、パーティー会場へと戻った。
月が紗夜を揶揄うかのように、彼女を誰よりも明るく光を照らしていた。




