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さーやから見た博

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 あたしが、物心ついた頃あたりかな?


 急に、あたしがあたしではなくなってしまったような感覚に陥った。


——もしかしてあたし自身が乗っ取られた…?


 乗っ取ったであろう彼は、あたしの存在には、気づかず…あたしの使っていたベッドで図々しくも、考え事をしたり、股間を確かめたり鏡を見て、顔を確認していた。


——彼が別の世界から来た人だという事に、妙に鋭い私は気づいてしまった。


◆◇◆◇


 彼の行動を探っていると…


『迷いが見えるぞ。小娘よ、我は、お前が望むのならば、この娘の行く末を見守らせてやろう。ただし、案内人かんとくの役割は、果たしてもらうがな?案内人かんとくの役割とは、この娘を己の最後まで、見届ける事だ。もちろん、お前が、奴を不合格だと思えば、元通りにしてやろう。どうだ?』


 こくりと頷き、その条件を呑んだ。


  あたしでない彼が、何をするのかを知る必要があった。


 そこからあたしは遺跡に住み、仮の身体を与えられ、高槻紗夜…いいえ、諸星博の様子を探る事にした。


 クズ男ならば、即座に不合格に、そして、天誅てんちゅうとして、返してもらおうと思っていた。


 しかし、残念ながら、事実と異なることとなった。


 あたしでない紗夜は、とある女の子の心を救った。女の子が、誘拐されそうになった時は、己の限界を超えてまで守ろうとした。


 無力だった自分に心折れることなく、貪欲に命をして強さを求めた。


——こんなの合格にするしかないじゃないっ


 その日からあたしは、この人ならばと期待する気持ちがある一方で、同時に、取り返したい気持ちもあった。


 そんな複雑な状態のせいなのか、助言などもしてしまった。


 しかし…不思議と嫌な気持ちにならなかった。


 むしろ、あたしの分まで頑張れーってあたしは、観客側の席にいつのまにか座っていた。


 遺跡にやってくるのはわかっていたが、その途中で、強い敵にも1度は屈したものの抗うことで返り討ちにしてみせた。


——あたしじゃできなかった


 精神的な弱さを除けば、非の打ち所がない彼に嫉妬してしまい、思わず、1階層以外の階層で憂さ晴らしをしてしまった。


 それでも彼は時に笑いながら、時に肩をすくめたり、様々な反応を示してくれた。


——そんな彼だからこそ…私は託したくなる。


 自分の命のカウントダウンが近づいてるにもかかわらず、応援や助言をしてしまう。


 そして、辿り着いた時…彼はあたしに対して頬から涙を見せた。


 見守るうちにあたし自身も彼のことを目で追っていたらしい。


 消えていくあたしにも寂しそうに泣いてくれる彼…


 彼は常に独りよがりだったけど、それは大事な人を傷つけたくなかったから…


 彼の身体に入って()()()理解ができた。


——あの子があそこまで頑張る理由も 


 そして、もう既に彼に私の全てを託した。


 だから私に()()はないのっ!!


 とびっきりの笑顔を見せつけた後、心の中で沙織ちゃんに謝罪しながら、口付けをし、役目を負えたために、意識が薄れて行き………


◆◇◆◇


 白い光となった自分さーやは気づいていない。さーやは、高槻紗夜もろほしひろを消えてもなお…彼に自分の力を与えて背中を押した。


 白い光にまるで、見守られるかのように優しく身体を包まれて、何度も何度も「ありがとう」と感謝し続ける少女…その感謝は、まるで、子が親へ成人になった時に送る感謝の言葉そのものだった。


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