諸星博の高校時代
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ここで、3層…か。流石に身体的に疲れてしまった…が、もう少しだけど、己を鼓舞する。
『第3問忠実犬の立場になって考えてください。君の飼い主が、あなたを鞭で現在進行形の形でお仕置きしています。君なら、この選択肢の中からどれを選びますか?』
『1.も、もっとぶってぇ…!!!
2.やめてください!!
3.何やってるんですか。もっと真剣に叩いてください。さぁ、早く…!!!』
これ本当に問題なのだろうか?しかし答えは、あいつの性格を考えれば間違いなく、1.3のどちらかだろう。
まぁ流石に3はないか…
「1」
『君ぃ超がつくほどのドMなんだね!!!初めて知ったよ!!!まあでも【やめてください!!!】なんて選択されてもムカつくから不正解にしたかもしれないし、うん。正直者はいいね!!!沙織ちゃんは多分どちらかというとSだと思うし相性バッチリ!!!気持ちいいから正解にしといてあげる!!』
実体があったら、間違いなく『炎魔法 爆炎業火』をなんの躊躇いもなく放っていただろう…
◆◇◆◇
4〜9層もふざけた問題ばかりだった…。
例えば… 『あなたは今、幼馴染を押し倒しています。その時に幼馴染が言った言葉とは?』
『1.邪魔
2.ふぇ…
3.もしもし警察ですか?』
みたいなのがゴロゴロとしていた。俺は、あいつが喜びそうな回答を選ぶ。
辟易しながら、10層まできたが、ここの階層の問題だけは今までよりも真剣で、それでいて、俺をまるで試すかのような問題だった。
◆◇◆◇
『今から掲示する選択肢は全て実現します。君が選択すれば、それが望み通りになる。思う存分悩んでください』
あの煽り音声が敬語…もしかすれば、10層ごとに本当に俺の資格を試すシステムが来るのかもしれない。
『1.今の力を持ったまま、前世の悲劇が起こる直前までの自分に戻る。
2.今の高槻紗夜のままでいる』
そう…来たか…
倒れそうになるのを全身に力を入れることで何とか堪える。
◆◇◆◇
時は諸星博の前世の高校生時代にまで遡る。
俺はその時、彼女がいた。もちろん、彼女にも俺が恋愛ゲームにハマっている事を告げた上での交際だった。
しかし、当時の俺がハマっていた恋愛ゲームを趣味にしている事は、スクールカースト上位層達の鼻に付いたのだろう。
俺への嫌がらせが、開始された。
例えば、クラスメイトに話しかけても、無視をされるみたいなのはもちろんの事、俺の私物のライトノベル達が、グチャグチャに破られていたり、それは悲惨なものが多かった。
だが…俺の何よりものトラウマで悔しかったのは、当時いじめの主犯格でおる朝日美来が、仕組んだタイマンである。
俺の机の中に一通の手紙が入っており、
『お前がタイマンに応じなければ、お前の愛しの里奈もいじめのターゲットにする。逃げるなよ。指定場所は〜…』
血相を変えて、指定場所へと全力で走った。
そこには、朝日美来と公然にも関わらず、彼女の胸に手を添えているヤンキーと遠くから不安げな表情をしながら、見守る里奈だった。
恋愛ゲームオタクで、運動部にも所属してなかった俺では、勝てる相手ではない。
それでも何度も力強い拳が、顔面にヒットしても、よろよろになりながらも、立ち向かった。
「君に里奈ちゃんはもったいないんじゃね?何なら俺が、もらってあげよっかぁ?」
「ちょっと、浩二浮気するつもりー?」
俺の胸ぐらを掴みながら、ラブコメする主犯格達、腹の底から煮えたぎるような怒りをぶつけたいものの現実とは無常だ。漫画のように突然覚醒したりする事などは存在しない。
「俺のことはいい。だが、関係のないあいつを巻き込むなぁぁぁぁぁ」
「うるせえ」
俺はその後も、俺の身体の上に跨られ、何度もヤンキーの男に殴打された。
その日を境に諸星博は、里奈に一方的な別れを告げ、高校には行かずに引きこもるようになった。
◆◇◆◇
これは、社会人になって耳にした事だが、どうやら俺が、引きこもった後は、里奈がいじめのターゲットになったらしい。
それを聞いた時には、心臓の動悸が止まらずに床へと倒れてしまい、救急車に運ばれることとなった。
——その日、彼は、大切な人を守る為に取った行動が無意味だった事に気づいて深く絶望することとなった。
◆◇◆◇
そして、この事件は、彼の心に深刻な傷を与え、何でも1人で抱え込み解決しようとする性格へと彼を歪ませてしまった。




