破廉恥女と遺跡のボタン
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俺は、あの破廉恥女が、笑い転げている間に、身を草むらへと隠す。
魔法に目覚めたばかりの俺が、あのクラスを相手に、勝てるとは思っていない。
身を潜めて、息を最小限に抑える。ただ、先程の夢魔王の魔法が、効いているのか高槻紗夜は無自覚、無意識に呼吸が、荒くなってしまう。
…体感になるが…1時間程、逃げ切れたら、俺の勝ちだと思う。
「どーこぉ…かなぁ…?隠れててもぉ…無駄だよぉ…?だってぇ、私様ぁの声がぁ…君ぃの耳に入った時点でぇ…?居場所はぁられるんだからぁー?♡」
遠くから、俺を探す彼女の声が聞こえる。
その瞬間、全身が彼女の声にビクンッと反応する。
彼女が、こちらに来る前にある物を周囲にばら撒き、じっーっと、こちらに来るのを待つ。
隠れてやり過ごす…この選択肢が消えた以上どうしようもないのだ。
「みぃーっけ?じゃぁ…死んでくれるかなぁ?」
彼女が、そう叫びながら、こちらに向かって鎌を振りかざそうとする。
グサッ…
「へ…?い、いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいいいい、ねぇママぁぁ助けてぇぇぇぇぇ」
しかし、『ママ』に助けを求めるなんてなぁ…さっきまでの大人キャラクターはどこへやら…
ダメ元ではあるが、周囲に散りばめておいた獣用対策が、ここで炸裂した。ローレイ山では、これのおかげで少しとはいえ、仮眠を取れたのだ。
俺は、彼女の察知能力が、優れている所は知っている。俺の爆炎業火は後ろへと隠していたのに、すぐに気付いて阻止したからだ。
あの時、きちんと、視覚から隠していたにも関わらず、彼女は即座に、気づいた。もちろん音で察知してる可能性もあると思ったが、その可能性は、極めて低いと判断していた。
なぜなら、阻止された時の爆炎業火は詠唱までの2割程度しか集まっていなかった。音も大きさも大したことなかったことから推測ができる。
だとすれば、彼女がそれに気付いたのはなぜなのか?
恐らく魔法感知又はその類ではないのか?と考えている。
現に、彼女は、魔力を伴ってないトラップに見事に引っかかって激痛を味わっているのだ。
最初は、同系統である上位版の魔力感知も考えたが、先ほどの様子からして、それはありえないと判断した。
『雷魔法 雷電極弾』
両手から巨大な稲妻を球状にした物が浮かび上がる。
「ちょ…まってぇ…乙女の足にぃ…身体以外の穴を開けておきながらぁ…そ、それはないんじゃないかなぁ…な?なんて」
いくら強いとはいえ、物理的な肉体の傷はそう簡単には治らないはずだ。
人間も同じで、箪笥に小指を少し当てるだけで、全身が強烈な激痛に襲われる。
そして、魔法に関しては、やはり気付くのが早い。手を後ろに組む事で隠しているので、まだ彼女の視覚情報から気づくはずがない…。
「ファーストキス…………」
「きゃはっ♡おねぇさんのスリーハンドレッドキッスの相手だからぁ、ゆるしてぇ?」
極大になったところで、彼女に冷たい視線を送りながら、お見舞いした。
大きな爆音がしたと思いきや、その直後に雨がぽつりぽつりと降り始めた。
暫く呆然と立ち、煙が収まったところで、彼女がいた所を確認する。
——いない…か。
◆◇◆◇
俺は頂上へと戻り、手を掲げ白い光を呼応させた後、扉が開いた後、ノルダーム遺跡へと足を運んだ。
——高槻紗夜ルートで遺跡に行く事は、あっても、残念ながら、画面が少しの間、暗くなった後、遺跡攻略後の画面に移行にするため、これは俺にとっても初めての経験である。
遺跡の中は、思いの外快適だった。
モノクロの床の奥には、次の扉がある。
これは遺跡よりもダンジョンの構造に近いかな。
そして中央には、俺の背幅にちょうどフィットする置き台があり、いかにもな赤いボタンがあった。
その赤いボタンをよく見てみると『絶対に押すな』と小さな字で書かれていた。
え?それ?押してって意味だよね?
俺は、なんの躊躇いもなく、文字通りに従って、右手の人差し指で押した。




