ご馳走と温泉
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心臓よ…落ち着くんだ…
一旦…冷静になろう…
3部のメインヒロインも、そして他の人達も、きっとこの世界のどこかに存在する。
だから、驚きこそあれど、おかしい事はないのだ。
ゲームのNPCのように、特定の場所にのみ、存在しているわけではないだけである。
さて、気分転換をしよう。
差し詰め、まずは、せっかくだ。この宿の名物である温泉に入りに行こう。
わざわざこんな『愚民共くつろげ』とやたら高圧的な宿名の所に泊まったのには、2つの理由が存在する。
1つ 料理が美味しい
2つ 温泉がある
至極単純な理由だが、俺にとっては宿決めにおいて、重要な判断項目だった。
温泉の場所をアリスに聞き、そこへ足を運ぶ。
脱衣所で脱ぎ、タオルを持って奥の方にある湯気で曇っている扉の前へと動く。
そして、扉を開ければ、やはり、湯気が充満しており、硫黄の香りが、こちらまで足を踏み入れた瞬間、漂ってくる。
——良い温泉だ
硫黄の香りに関しては、賛否両論あるが、俺は別に嫌いではない。
紗夜は、2日間も洗っていなかったこともあり、いつもよりも念入りに、身体を洗ったあと、お湯に浸かる。
お湯の温度が、やや高めではあるものの、慣れない体で山登りをして、悲鳴をあげていたあちらこちらの部位の筋肉痛を和らげてくれる。
その後、全身が赤くなるまで温泉に浸かった後、脱衣所で浴衣に着替えて、髪を乾かした後、自室へと戻る。
女性に憑依してからというものの、髪や身体に関して、前世の男だった時よりも、だいぶ気を使うようになったのは気のせいだと思っておこう。
◆◇◆◇
彼の名誉のために訂正しておくと、前世の諸星博は商社勤めであり、営業もこなしていた。
そのため清潔感のある格好をしていたので、彼が、決して不潔と言うわけではない。
◆◇◆◇
部屋へと戻った紗夜に、待っていたのは、お待ちかねのご馳走タイムである。
しかし、流石、遊助さんが、お勧めする宿なだけあって、部屋には、既に食事の準備と寝る準備が整っていた。
中央に鍋が置いてあり、少し離れた場所にお魚の刺身、そしてご飯に、お味噌汁、小鉢等至れり尽くせりである。
食事を用意してくれていた女将さんに、鍋のことを聞くと、俺の目の前にあるのは、ぼたん鍋だそうだ。
お手を合わせて 「いただきます」
うーん…!!刺身はプリプリの新鮮だ。口から蕩けて甘味がぎゅっと濃縮されていた
ぼたん鍋は、油が多そうに見えたが、これが実はしつこくなく、胃に優しいのだ。
ちなみに、ぼたん鍋とは猪の肉で作る鍋の事だ。
前世でも大好物だったが、この世界に来ても食べれることに感動した。
食事の後は、山登りと降りの疲れもあったせいか、すぐに寝付いてしまった。
◆◇◆◇
朝日が登るのと同時に目が覚める。
部屋から出て、脱衣所へと移動して、せっかくの温泉を堪能する。所謂——朝風呂である。
その後は、朝ごはんを食べる。
朝ご飯の内容は、鮭の塩焼きと味噌汁、だし巻きと言った日本の食事が中心だった。
この宿は、大きくも小さくもない和風の民宿だったが、それでも素晴らしいものだった。
…若女将に、名前を変えたら、もっと客が増えるのでは?と聞いてみた。
しかし、『お客様は神様』だとか抜かしてくるアホがいるからしたくはないとのこと
確かに一理あるなと感心してしまった。
◆◇◆◇
商社に勤めていた時も理不尽なクレーマーにあったことがあるからこそ、彼は、共感してしまったのだろう。
彼の受けた数々の理不尽なクレーマーで、最も酷かったのは、『諸星』って苗字が気に食わないから、キャンセルさせて頂くと取引先に言われたことだろうか?
◆◇◆◇
そして、沙耶の旅立ちを見送りに来てくれたアリスと若女将に感謝とお辞儀をし、ここを後にする。
レーライ山へ登る前に、5万れんで寝袋や簡易トイレなどを改めて購入した。
荷物が、増えてしまったのは仕方ないと諦め、レーライ山の麓まで歩みを進める。
しかし、この時の高槻紗夜はこのレーライ山の恐ろしさを知らなかった。




