3部のメインヒロイン
いいね、ブクマ、感想お気軽にください。モチベーションにつながります。
少し休憩した後、顔を拭い…進み続けてローレイ山の凡そ半分くらいの所まで到達した。
ちょうど、日が暮れ、夕陽が顔を出し始めた頃なので、ここで今日は泊まろうと思う。
遊助さんが残してくれた情報によると、ローレイ山には、熊と猪のみが、警戒対象らしい。
俺は、リュックからレジャーシートを取り出し地面へ敷いて、やや長いタオルを身体に掛ける。
寝れる体制が整った後に、家から持って来た鯖の缶詰を食べる。
味は、缶詰のため、全体的に魚の身が柔らかく、骨が若干だが、硬い。
その骨も勿体無いので、全部食べた。
後は、獣対策として尖っている枝を拾い、持ってきた包丁で更に鋭くし、地面へと突き刺す。
命には、変えられないので、100本程、俺の周囲に張り巡らせる。
これで熊や猪が、俺へ近づいたとしても、足に穴が開けば、痛いはずなので、足止めにはなるはずだ…と仮眠を安全に取るために策を講じた。
尖らせる作業が、終わる頃には月が顔を出す頃だった。
今宵の空は三日月。
空を見上げて、今頃、お母さんとお父さんはどうしてるのかな?とか沙織が怒ってないか?などの心配が込み上げてくる。
しかし、1日目でこんな弱気になってはいけない
恐らく明日は、登り半分と降りだけである。その後、ベルンの街に1日だけ滞在すれば、次のレーライ山へ足を進める事になるだろう。
俺の保有する『恋愛ラブ魔スター』の知識によるとベルンの街は確か、ギルド協会の街だったはずだ。
まぁ…異世界の定番といえば、冒険者ギルドでSSSランク冒険者にまで上り詰めて、ハーレムを築いたりする事が男の夢なのかもしれないが、俺の場合は、そんなことに割いてる時間はない。
——数分後、高槻紗夜は無意識に身体の疲憊のせいか眠ってしまった。
◆◇◆◇
朝日が登る。
どうやら無事に生き残る事が出来たらしい。
罠は、次の山でも、使いたいので、慎重に回収する。
今日でベルンの街まで進む予定なので、険しい山道をまた登る。
登ってる位置が、高くなれば、高くなるほど、酸素濃度が下がるはずだ。
しかし、昨日、泊まったおかげだろうか?
身体が、順応できてるのかは分からないが、かまり山の頂上付近にまで行っても苦痛はなかった。
髪が、ぱさついているので、早くお風呂に入りたいという気持ちが心の中で爆発したのか…山降りの方は、すぐに終わった。
遊助さんにもらった情報によると、ベルンの街に直ぐに、到着することはないらしい。
地図通りに動いて20分ほど歩いたところだろうか?
高槻紗夜の視界にぽつりぽつりと建物が見え始める。
街というだけあって、先に進めば進むほど、色んな建物がある。
特に特徴のある建物と問われたら、やはり、剣と盾をシンボルマークにしてる冒険者ギルド協会、手と手が交錯して握手するような姿をシンボルマークにしている商業ギルド協会ではないだろうか?
冒険者ギルド協会の剣は、魔物任務を示し、盾は依頼人等の護衛任務を示しているのかな?
商業ギルド協会の握手は、信頼を示してると思う。こっちはほぼ確信している。
その他にも、様々なギルドがあったが、建物の大きさから考えると、この2つのギルドに所属してる人が、最も多いのではないだろうかと俺は思う。
遊助さんのメモ帳には、ベルンの街の観光物や宿の情報もある。
ベルンの街の観光物は、果物らしい。
言われてみれば、確かに、ここに来るまでの最中に畑が多かったように思える。
兎にも角にも、まずは、目的の宿を目指そうと思っていたのだけど、たまたま果物屋さんを見つけてしまった。
「おっちゃん!!!りんご3個と桃3個ちょうだい。はい、お金」
ちなみに、この世界のお金は、日本のシステムを採用している。
明確な違いと言えば呼び方だけで、「1れん」が「1円」であるくらいだ。
りんご3個と桃3個の値段は安い1000れんだった。
日本でも同様だった。
産地は、競合も多いためか比較的、他の地域よりも安い取引で行われることが多い。
「はいよ。お嬢ちゃん」
紙袋に詰めてもらった果物を大事に両手で抱えながら、「愚民共 くつろげ」を名前にしている目的の宿を探す。
今回の旅で使える予算は、約10万れんである。
1万れんは、俺のお金であり、9万れんは遊助さんからの援助だ。
そう言えば、商社に勤めていた頃も上司が、呑み代とかに関しては、何も言わずに、会計をしてくれていたんだったかな。
何も言わなくても、お金をぽんって出せる人に、すごく憧れを感じるのは何故なのだろうか?
前世の俺も稼ぎは、そんなに悪くなかったと思うのだが…給料のほとんどが、最低限の生活費と恋愛ゲームで消えていったからな…。
そんな思い出を懐かしんでいると、デカデカと全体的に黒い看板に白い文字で「くつろげ」と書かれた宿を発見した。
ホテルや旅館と違って民宿っぽい…?
「本日、宿泊したいんですけど、お部屋は空いてますか?」
俺がそう尋ねると、
「君が紗夜ちゃんだね?お代は、既に頂いてるから貰ってるから、ゆっくりしていきな。アリスーーー!!この子を案内してあげて!!!」
暖簾から出てきた若女将…?が元気よく応えてくれた。
…遊助さんだろうか?ここまでされると、あの人には一生頭が上がらないな。
その声と共に、私と同じくらいの女の子…緑の髪の毛に赤い瞳をしたツインテールの女の子がやってきた。
「アリス・リーゼルです。お客様のお荷物お預かりいたします。部屋まで案内いたしますね」
と笑顔で自己紹介をしてくれた後、私の泊まる部屋まで丁寧に案内してくれた。
◆◇◆◇
部屋の全体的な空間は畳式の和室だった。
真ん中の机には、律儀にも、お茶とお菓子が置かれている。
置かれていた椅子へと腰掛け、動悸を抑えるためにも、深呼吸をし呼吸を整える。
「なんで3部の舞台で出てくるメインヒロインのアリスがここにいるんだよっ!!!!!!」
紗夜は、誰にも聞こえないように、気をつけながら、声を抑えつつ、そう叫んだのだった。




