強くなります
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高槻紗夜は、聖剣エルプレムの眠る遺跡…ノールダム遺跡へ目指す事を決意した。
そして、現在の俺は、巨大な荷物を背中に担ぎながら、ローレイ山の麓にまで来ていた。
ノールダム遺跡は、この聳え立つ山…ローレイ山を乗り越えて、その先にあるベルンの街を降った方から奥へと足を進めていくうちに、レーライ山が見える。そして、その山の頂上に、遺跡はあるはずだ。
山の中の様子などは、現地に行かなければ把握することは叶わないが、最低限の道順は、『恋愛ラブ魔スター』の『高槻紗夜ファンブック』に載っていたので、熟知している。
ローレイ山は標高1459m、レーライ山は標高2876m程だったと、これに関しては、掲示板の情報だが…記憶している。
◆◇◆◇
ゲーム上で高槻紗夜が、聖剣エルプレムを入手した有名なエピソードがある。
彼女が高等部に上がると、学院にいつのまにかデーモンが蔓延っていた。
そして、残虐性を持つデーモン達に親友の三森早苗が犠牲になる。
彼女は、これ以上、大切な人を失わないために、学院で培った魔法を通して、死ぬ気で危険なノルダーム遺跡へと挑戦することで、入手したとされるエピソードだ。
◆◇◆◇
この『恋愛ラブ魔スター』では、殆どの人が学院に通って、魔法を学ぶ。
ただ、学院で学べる魔法は、殆ど生活用魔法であり、決して大したものではない。
一応、高等部に行けば、自己防衛として、戦闘に役立つ魔法も学べるが…お世辞にもノルダーム遺跡に通用するような魔法は取得できない。
だからこそ、その生活魔法を主体にして、難易度が高い遺跡を攻略し、聖剣を手に入れた高槻紗夜は天才と称されてもおかしくない。
これは、公式ファンブックの情報源である。
そのため、この世界では、魔法の存在が自然な形となっている。
そうなると…魔法による犯罪などが多数発生する。
そのような魔法犯罪者への対策をするのが、魔法調査機関であり、遊助さんは、そこの上層部へ属しているみたいだ。
ちなみに、魔法調査機関は、ルートによって敵/味方と別れるため、扱いがややこしい。
話を戻そう。
つまり、現在の魔法を何も取得していない高槻紗夜の状態で遺跡攻略など本来ならば不可能なのだ。
しかし、邪道がある。
あくまで確証ではなく、噂程度の話であり、眉唾物の可能性もある。
◆◇◆◇
時は、前世に戻る。
諸星博が商社で勤務していた頃、いつものように仕事が終わり、家へと帰宅し、ゲームコントローラーを片手に持ちながら、もう片方の手を使い、パソコンで『恋愛ラブ魔スター』の掲示板などを通して、情報収集をしていた時のことだ。
すると、彼の目にとある板が目に止まった。
オレ的ゲーム速報
『拙者、メインヒロインが使えなさすぎて【一緒に遺跡について来てくれる?】に反射的に【は?無理】を選択してしまったでござるww』
1.ここからは名無しのHIPが送りいたします。
なんかメインヒロインクッソ強くなって、聖剣を背中に担いで戻って来てわろたwwwwwwwww
2.ここからは名無しのHIPが送りいたします。
それ試して、BADENDだったんだけど
3. ここからは名無しのHIPが送りいたします。
1>ソースくれ
4. ここからは名無しのHIPが送りいたします。
1>マジじゃん
◆◇◆◇
こんな感じでできる人とできなかった人で、極端に別れる結果となった。
これを軸に考えるとすれば…死の間際にどう直面したかが魔法を得れる手段ではないのか?と俺は考えている。
この世界とは違って、ゲームの中だけの話ならば、先程の掲示板の1のようなサイコパス野郎になるには、それまでの選択肢をどのように選んできたのかなどが、かなり大事になるのだろう。
しかし、俺にとって、必要な情報は、死の際になんらかの条件を満たすことで強くなれる事だ。
もちろん、これがデマな可能性だってある。
でも、もうあんな想いをしたくないんだ。
だから、
「そこを退いてください、遊助さん」
俺は、真剣な眼差しで彼に言った。




