それではセッション開始です!
初めて投稿するのでいろいろなミスがあると思いますので温かく見守ってくれると嬉しいです。
「あー!!ファンブったーー!」
『おいおいw大事なところで何やってんだw』
『GMどうすんの?』
『じゃあ、あなたが部屋を調べたとき、棚はあなたに向かって倒れてきます。
1ダメージ』__________
『トゥルーエンド。これにて終了です。』
「よし。それじゃ、お疲れ様でしたー」
『おう。お疲れ』
『お疲れさまー』
『さいならー』
_マサユキさんが退出しました_
マイク付きのヘッドフォンを外し、目をパチパチさせ何気なく外を見る。4月にしては寒い。自室の窓から見える日の出が見慣れた風景を照らし、新しい一日の始まりを知らせていた。
__TRPG、テーブルトップ・ロールプレイング・ゲーム。それは紙とペン、そしてサイコロを使ってキャラを作り、そのキャラになりきって冒険をするといったアメリカ発祥のボードゲームであり、世界中で遊ばれているボードゲームの一つである。
今では、Discordなどを使ったオンラインセッションで初対面の人とTRPGをすることができる。__
「ふぁーあ…学校行くか…」
眠たい目をこすりながら俺、駿河正行は顔を洗うために下に降りようと思い、座っていたゲーミングチェアから立ち上がり、ぐるりと部屋を見回しながら一つ伸びをする。いつも通りのオタ部屋だ。壁には美少女物のポスターがあり背の高いガラス棚の中にはフィギュアが並んでいる。そういえば、と思い机の上にあったTRPGのルールブックを手に取り元あった場所へ返す。きちんと並べられ、その上すべてにビニールカバーのつく本が並ぶ姿は本を大事にしているということが一目でわかる。きれいに並んだ本を見て満足げにうなずいて自分の部屋を出た。
「おはよう、お兄ちゃん」
「おう、おはよう優那」
「あ!またお兄ちゃん徹夜でゲームしてたでしょ!目の下にクマができてる。早く顔洗ってきて!」
朝早くのいい気分を台無しにするこいつは誰なのか、そう。俺の妹である。
俺の妹の駿河優那はだれによく似たのか、人のことばかり気にしてくる。めんどくさいので、適当に返す。
「あーはいはい行ってきますよ、それと《《TRPG》》な、ゲームじゃねえ」
「うわ、お兄ちゃんメンドクサ~」
夏那の声を無視して、俺は洗面所に向かってフラフラ歩きだす。蛇口をひねり冷たい水を勢いよく自分の顔にかける。冷たい感覚に驚くとともに何となく頭がさえてきた。タオルで顔を拭いていて、ふと鏡を見る、鏡に映るのはいつもと変わらないパッとしない顔、よく見ると確かにクマができている。しかし気にすることもないだろ、と洗面所を後にした。
食事を済ませた後、制服に着替えて靴を履いていると奥からパタパタと母さんがかけてくる。
「いってらっしゃーい!」
エプロンを付けた母親が手に持っていた洗濯籠を廊下の隅に置き手を振って見送る。
「いってきます…」
ボソリと呟いて俺は玄関のドアを開ける。
何歳だと思ってるのだろう、この母親は高校1年になった今でもわざわざ作業を止めて仕事に出る父さんや俺、妹を玄関に見送りに来る。
ミュージックプレイヤーをカバンから取り出しイヤホンを耳につける。そのまま歩いて学校に向かっていると、視界の端でピョンピョン何かが跳ねている。すると《《それ》》はいきなり、俺の耳についてるイヤホンではなく耳を引っ張ってくる。
「いででででで!!」
とっさにイヤホンを外し、耳を引っ張ってきた《《それ》》を睨みつける。
「ちょっと正行!人が話しかけてるんだからイヤホンを外しなさいよ!」
「いやせめて、イヤホン取れよ!耳を引っ張るな!」
俺の幼馴染、月葉華乃は頬を膨らませながら
「イヤホンを外さないあんたが悪い」
とか言ってやがる。何言ってるんだこいつは、イヤホンつけてるとき人の声が聞こえるわけないだろ、ていうかそのためのイヤホンだろ。という言葉は胸にしまっておこう,下手に口に出すと大噴火する未来しか見えない。
華乃は、誰から見ても美人といわれるレベルの容姿端麗で、読モをやっていてこいつのクラスでは中心的存在となっている。しかし勉強はというとあまりいいほうではなく、よくテスト期間中には勉強のできる俺のところに来ては、勉強を聞きくる。しかし結果は赤点まみれ。まったく、なんでこいつは高校受験うかったんだ?
「いまなんかすっごく腹立つこと言われてる気がする、殴っていい?」
「いいわけないだろ、アホ」
無言の腹パンが俺のみぞおちにヒット。苦しみ悶える俺、スタスタ先を行く華乃、あいつマジでゆるさん。
とかやってるうちに学校についていた。いつものように下駄箱で靴を履き替え自分の教室に向かう。華乃は先に行ってしまったようで下駄箱に姿はなかった。
教室についた後自分の席に着きパソコンを起動する。今の時代パソコンを一人一台持つことが当たり前になっていてオタクには過ごしやすい環境になっている。最高だ!
いつものように、イヤホンをつけ一つのタブでアニソンを流しもう一つのタブでTRPGの卓募集を探す。部活に入っていない自分にとってはセッション開始予定など関係ないので何となくで選ぶ、すると、後ろからひそひそと声が聞こえる。
(あいつ来てすぐパソコン開いてんだけど、オタク全開じゃん)
(それな!キモ過ぎ!)
(どーせアニメ見てるふりしてエロサイトでも見てんじゃねーの?)
(((アハハハハハハハ!)))
なんだ、ただの悪口かと思い作業に戻る。この手の悪口はオタクあるあるなのでさらっと流す。こんなので反応してたらそれこそいじめの標的になるだけだ。そう思いキーボードに手を伸ばした時。
二人の人影がが悪口を言ってたやつに近づく。
そう俺の幼馴染 烏丸隆文と椿由衣の二人だ。二人はこのクラスでは、学級委員をしている真面目なやつらだ。そして隆文と由衣、華乃そして俺の4人は小さい頃からよく遊んでいた。しかしまあよく全員同じ高校に入ったものだと思う。おそらく学級委員として注意にでも行くのだろう、別に無視しておけばいいのに。
「ちょっといいかな」
「今、駿河君の悪口言ってたのが聞こえたんだけど」
自分の義務を果たすためとでも言いたい顔が
「えwなにw俺ら忙しいんだけどw」
「マジメ君すぎw何マジになってんのw」
そうこれがいつもの俺の日常のはずだった。
学校に来て陽キャグループから罵倒され隆文と由衣が来る。それがあいつのせいでこんなにも変わるとはまだ俺は知らない