表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

6日目:JCの仲間が増えた。

【ゲーム6日目】


 ママは仕事に出掛ける前、玄関で靴を履きながら、いつものように口うるさい。


「陽子、動画ばっかり見てないで、ちゃんと勉強もしてる?」

「してるよ。塾の配信動画だって見てるし。」


 嘘である。

 最低限のプリントやワークブックはやっているが、残りの時間は全てゲームだ。最近はネコちゃん動画すら見ていない。


「休みのこの時期に、勉強したかどうかで成績に差が付くんだからね。」

「わかってるって。」


 嘘である。

 陽子は、勉強なんて誰もやってないと考えている。こんな時期に勉強する人は、元からデキる人だろう。今さら陽子が頑張ったところで追い付けるはずがない。


「行ってきます。」

「ママ、マスクは?」

「忘れるところだった!」

「行ってらっしゃい。」


 陽子は、玄関の鍵を閉め、いつものようにPCを起動する。待っている間、鼻歌でパステルミリタリーのBGMを歌う。この曲はすっかり覚えてしまった。


『ようこそ!パステルミリタリーへ!』


 今日もソレイユはお家に帰ってきた。


(燃やされてない!やっぱり、連盟に入ると攻撃されにくいんだ。)


 連盟に入っている相手のお家を攻撃すると、その連盟全員から総攻撃を受けるかもしれない。その中に自分より強い者が居ようなら、自分の妖精が全滅する可能性もある。

 だから、連盟に加入しているだけで抑止力が働く。


 ログインボーナスの受け取りや1日1回の無料ガチャを回すなど、まずやっておく作業には慣れてきた。

 作業が終わると、チャット画面を開き、個チャ画面からフレンドを確認する。パンダバナナはログイン中だ。


「パンダさん、おはよー」

「おはよう、ソレイユ。連チャがえらいことになっちょるねwww」

「連チャ?」

「連盟チャットのこと。まだ見てないのかwww」


 パンダバナナに言われて、ソレイユはチャットのタブを切り替えた。


泡沫。「ぃゃっほぉぉぉぉおおおお!」

泡沫。「俺はしぬっ!」

泡沫。「wwwうぇwwwwwwwww」


 なんだこれは。連盟チャットのログが、泡沫。の発言で埋められている。


(ワールドチャットでカオスを作り出していた人だ!なんで、うちの連盟にいるの!?)


 ソレイユはパンダバナナのチャット画面に戻す。


「パンダさん!なんで、別の人がいるの?」

「加入制限の設定してないでしょwww誰でも入れるよ」

「マジか…。」

「メンバー増えるとできることも増えるからねwww」

「でもあの人じゃあ…」

「盟主のソレイユなら、アレを追放できるけど。」

「追放って…恨まれたりしないかしら?」

「どうだろうね、アレってムチャクチャな発言ばっかりだし」


 パンダバナナが泡沫。をアレと呼ぶのは、人間だと思ってないからだ。


「とりあえず、話してみる。」

「盟主、頑張ってwww」


 チャット画面を切り替える。泡沫。の不規則発言が目に入り、ソレイユはため息がでた。

 やっぱり挨拶からと、思い切って書き込む。


ソレイユ「こんにちは。」

泡沫。「盟主!おはござます!」


 ちゃんと返事してくれた。泡沫。がワールドチャットで一応会話はしていた事を思い出した。


ソレイユ「名前、なんて読むんですか?」

泡沫。「うたかた!イケボの歌い手さんだよ、知ってるぅ?」

ソレイユ「イケボ?」

泡沫。「イケメンボイスだよ。良い歌いっぱい!!」

ソレイユ「ごめんなさい。知らないです。」

泡沫。「仕方ないねーwwwうぇwwいっかい聞いてみて」

ソレイユ「興味あります。また今度調べてみます。」


 嘘である。

 陽子は歌い手動画に興味なんてない。とりあえず良い顔をしておこうと思ったのだ。早く本題に入らなくては。


ソレイユ「うたかたさん、質問していい?」

泡沫。「俺のことウタって呼んでいいよ~。ウタウタウタ」

ソレイユ「ウタさん、なんで、この連盟に入ったの?」

泡沫。「同い年の人の連盟だから、おーえん!うぇ~い。」


 この人も中1なのか。

 応援っていうか、邪魔してない?

 助けてパンダさん。


泡沫。「メンバーいっぱい増やそー」

パンダバナナ「連盟メンバーが増えるのはいいけど、うるさいのは困るwww」


 パンダバナナの助けが入る。やっぱりパンダバナナは頼りになる。


泡沫。「連チャ盛り上げないと、メンバー離れるよ。」

パンダバナナ「そりゃそうだ。けどwww」

泡沫。「他の人も誘ってくる!」


(あれ?この人はこの人なりに、私たちのためにと思ってやってるんだ。)


 ソレイユの泡沫。への見方が変わる。やり方は独特で、多分間違えてる。だけど、連盟『のんびりひだまり』を応援しようとしてくれるのは本当らしい。


ソレイユ「誘うのちょっと待って。」

泡沫。「なんで?なんで?なんで~?」

ソレイユ「『のんびりひだまり』をどんな連盟にしたいか、3人で決めてから、誘おうよ。」

泡沫。「わかった!」


 パンダバナナからと個チャがきた。泡沫。からは見えない秘密回線の会話ができる。


「アレを、うちに入れるの!?」

「今は、ちゃんと話は聞いてくれてるし。」

「大丈夫かなぁwww」

「ダメなら、出てってもらう!」

「ソレイユがそこまで言うなら、いいよwww」


 連盟チャットに戻す。

 泡沫。は会話の空き時間が怖いのか、返事がないとみるや意味不明な書き込みを始めていた。


泡沫。「ハハハハハハハうほっ」

ソレイユ「ウタさん、お願いがあります。」

泡沫。「!何なになにナニナニ?」

ソレイユ「これから、どんな連盟にするか会議するから、大事なことだけ話してね。」

パンダバナナ「チャットが流れて、何て言ってたか見れなくなるしwww」

泡沫。「了解!マジメモード!」


 この後、泡沫。は別人のように大人しくしていた。きちんと会話できることに、パンダバナナが驚くほどだった。

 会議は、何度か脱線しながらも、連盟の方向性はなんとか決まった。

 中1トリオの連盟『のんびりひだまり』が動きはじめる。


 お楽しみはまた明日。

プレイヤー情報

パンダバナナ(Lv39)

連盟:のんびりひだまり(連盟ランク0)

戦力:ノーム32人、ニンフ39人、シルフ22人、ウンディーネ5人、コロボックル2人、ポセイドン1人

課金:無課金

端末:デスクトップPC

本名:ひろみ

年齢:中1

一人称:私

住所:千葉

好きな食物:バナナ

好きな動物:パンダ

ログイン時間帯:8:00~18:00

備考:水部隊推し

   英語教室へ通っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ