表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

4日目:JCが連盟を作った。

【ゲーム4日目】


 昨日の特訓(?)のおかげでソレイユのレベルは24になっていた。

 風の妖精「シルフ」も召喚できるようになり、ソレイユの「お家」は賑やかになった。

 ノームはブランコで遊び、ニンフは水浴び、シルフは立木の間を飛び回っている。


(か、かわいい。・・・この庭、もっと広くしたいな。)


 パンダバナナからは庭の拡張方法も聞いていた。そして、もう少しレベルが上がってからの方が良いとも教えてもらった。

 それでも、庭を広くしたい!

 相談したいが、パンダバナナはまだログインしていないようだ。


(どうしよう。勝手にしてもいいかな?)


 とりあえず、ソレイユは庭の拡張に必要な資材を集めるために、雑魚モンスターのコボルドとネレイドを狩っていた

 妖精やモンスターには属性があり、大地と水と風でじゃんけんになっている。水属性であるネレイドに対しては、大地の妖精ノームでは不利だが、風の妖精シルフで戦えば少ない数でも勝てる。

 ソレイユは、ただかわいいからという理由だけでなく、もっとシルフを召喚するための場所が必要で、庭の拡張を急いでいたのだ。


(パンダさん、まだ来ないな~)


 ソレイユは思い立って、ワールドチャットを覗いた。

 そこは、やっぱりカオスだった。


走体「『ゆきのじょおう』では、メンバー募集してます。レイドモンスター討伐を頑張る連盟です。」

泡沫。「ケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ」

RainyMan「good night.everyone!」

もく覇王「誰か、今晩麻雀やらない?」

走体「bye-bye RainyMan.」

泡沫。「さいなら~」

コッコ「アタシ、麻雀ヤる!」


 大人(と思われる人)がいっぱいいる。平日の午前中に。

 パパもママもこの時間はお仕事してるのに。


(この人達は、いったい何をしている人なんだろう。)


 ソレイユは、ワールドチャットのやりとりをしばらく眺めていた。そして、あんまり深く考えてはいけないと思った。


(パンダさんとも、ワールドチャットで知り合ったんだし、何とかなる!)


 意を決して、ワールドチャットに書き込んだ。


ソレイユ「おはようございます。」

コッコ「おはよう~」

泡沫。「おはござます!」


 やっぱり返事が返ってくるのは嬉しい。


ソレイユ「質問してもいいですか?」

コッコ「何でもどうぞ。答えられるかはわかんないけど(笑)」

泡沫。「ねー」

ソレイユ「庭を広げたいんですが、もっとレベル上げてからのが良いですか?」

コッコ「ちょっと待ってね(笑)」

泡沫。「ねえさん。今、必死に調べてるね~~」

コッコ「うっさい(笑)」

走体「レベル低いと、編成できる妖精の数も少ないから、庭広げて妖精増やしても、攻撃力が変わらないんです。」


 良かった。詳しい人がいた。


ソレイユ「そうなんですね。わかりました。」

コッコ「どうしよ。アタシ、妖精ちゃん可愛いから、めっちゃ広げちゃったわ(笑)」


 良かった。自分と同じ考えの人もいた。


走体「遊び方は自由だし、レベルが上がってくれば一緒です。」

コッコ「自分の好きなようにってことね(笑)」

走体「ソレイユさん、うちの連盟来ませんか?連盟入っていれば攻撃もされにくいし、早くレベルアップできますよ。」

コッコ「ナンパ(笑)」


(連盟も、面白いのかな。)


 連盟のお誘いにソレイユは少し心動いた。しかし、まだ悩んでいた。


ソレイユ「もう少し考えます。ありがとうございました。」

走体「もしよかったら、個チャしてください。」

泡沫。「飯ターイム!ねえさんさよなら」

コッコ「ウタさん、またね。」

 

(私も御飯食べなきゃ。)


 ソレイユから陽子に戻る。

 陽子はPCを付けっぱなしにして、冷蔵庫に向かう。今日のお昼ご飯はスパゲティとサラダ。ミートソースをレンジで温めて、ママが準備してくれた麺にかけるだけ。

 スパゲティもサラダもすぐに食べ終わり、皿を流し台に片付けると、すぐさまPCに向かう。


(やっぱり、庭を広げよう!)


 「お家」に戻って来ると、妖精たちがみな怪我をしていた。

 前も見た光景・・・。


「燃やされてる。」


 まさか昼ご飯食べてる間にやられるとは思っても見なかった。とりあえず、治療室で妖精たちを回復させる。

 昨日と同じように通知アイコンから、誰に燃やされたか確認する。


『戦闘報告:今日13:28 敗北 CutieC(Lv46)』


「またこの人か~。狙われてるのかな?」


 ただ、今回の戦闘では、相手の妖精を1体だけ倒していた。やられっぱなしではなかった。一矢報いたのだ。


「よく頑張った、私のノームちゃん。」


 不条理に迫り来る強敵に立ち向かい、必死に戦った妖精たちを想像して、ソレイユは胸が熱くなっていた。


「ニンフちゃんもシルフちゃんも、ありがとうね。」


 ソレイユは回復して無邪気に遊んでいる妖精たちにお礼を言った。

 気づくとミッションのアイコンが光っている。


『☆チャレンジミッションクリア☆他プレイヤーとの戦闘で、相手の妖精1体以上を倒す:経験値+1280』


『レベル25おめでとう』


 派手なエフェクトとともに、レベルアップのメッセージが流れる。

 妖精たちの頑張りのおかげで、レベルアップできたことに、ソレイユは感動すら覚えた。


『機能開放:自分の連盟を設立できます。』


「へぇ、連盟作れるんだ。やってみようかな。」


 感動に任せた勢いで、ソレイユは突き進む。連盟に入っていれば攻撃されにくいという言葉も後押しした。


 連盟のアイコンをクリックすると、いつもの【加入する連盟を探す】ボタンの下に【自分の連盟を作る】ボタンができていた。


 迷わずポチッ。


『連盟設立しますか?』

【はい】【いいえ】


「もちろん【はい】で!」


『連盟の名前は?』


「『のんびりひだまり』にしよ。」


 ソレイユはとうとう自分で連盟を立ち上げた。

 それから庭を広げたり、連盟の機能について調べていたりするうちに、あっという間に時間が過ぎてしまった。

 今日はここまで、また明日。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ