11日目午後:JCがコラボにつぎ込む。
昼食をすませ、ソレイユはゲームに戻ってきた。
今日は、お母さんが帰ってくる時間ギリギリまで遊ぶつもりだ。
コラボイベントには、ログインボーナスとコラボモンスター、ミッション、そしてガチャがある。
ログインボーナスは、期間中ログインした日数に応じて……ではなく、ログインしたときに今までの報酬が全部もらえる。
一週間ログインしていなくても、8日目にログインすればボーナス全部が手に入る。
ひよこぷたはこれを「バグだ!」と言うが、土日にログインできないソレイユにとっては、とてもありがたいバグだ。
コラボモンスターは…、コラボと言っても、モンスターの絵が妖怪などに変わっただけである。
しかし、百八の煩悩ファンのソレイユにとっては、それだけで十分だった。アニメと同じ敵を倒せるということでテンションが上がる。
同じファンの泡沫。と個人チャットで盛り上がる。
「ぉぉおお!妖怪いっぱい!猿って5話の奴だぁ」
「猿妖怪は風属性だよ。ノームちゃんでダメージが大きかった」
「OK!猿なら右の方にいっぱいおる」
フィールドマップ上のモンスターを探すのがとても楽しい。
そんな中、ソレイユは他の妖怪とは違うキャラを見つけた。
「ねえ!レイドモンスターが『リウホン』になってるよ!!」
「マジで?俺、アイツ嫌いぃぃぃぃ」
「わかるw私も生理的にイヤw」
百八の煩悩に出てくる「リウホン」は主人公の父の仇であり、世界中の嫌味を集めて圧縮したようなキャラである。
二人はターゲットをリウホンに変更した。それこそ、自分の親の仇のように何体も何体も討伐した。
「リウホンざまぁあああ」
「ウタさん、言葉がひどいw」
そして、ミッションアイコンが光る。
『☆コラボミッションクリア☆「リウホン」を25体討伐した:コラボ魔導書+1』
コラボミッションをクリアすることで「コラボ魔導書」や「紅ダイヤ」が手に入る。
コラボ魔導書や紅ダイヤでコラボガチャが回せる。
「コラボガチャ回してくる!」
「ソレイユ姉ちゃん頑張れ~ウェ~イ」
ソレイユが今持っている魔導書全部、4回まとめて回す。
「攻撃スキルLv1」
「初級魔導書」
「回避スキルLv1」
「アミダキョウの破片」
結構良い物が当たった。
ただ、ソレイユが知らないものもある。
「ウタさん、破片って何?」
「破片10個集めると、設備ができるぅぅ!!」
そうだった。ノームちゃんを召喚するための「花壇」を作る時も「花のタネ」を10個集めたんだ。
「アミダキョウの破片って当たったんだけど」
「それ10個で『ラジュー』を召喚っしょーかん!」
「ホントに?すごい!」
百八の煩悩の「ラジュー」とは、初代サンゾーであり主人公ゲンジョーを導くキャラである。数話しか登場しないにもかかわらず、人気投票でも上位に入る超人気キャラだ。
課金枠だと噂されていたが、実はコラボガチャで「神獣ラジュー」が手に入るのだ。
「ラジューゲットしたいけど、コラボ魔導書がもうないよ~」
「紅ダイヤでも回せるグルグルグル」
そうだ、私には今まで貯めた紅ダイヤがある!
全てつぎ込めばコラボガチャを20回は回せる。
「ウタさん、わたしはやるよ…」
ソレイユは謎の宣言を残してガチャ画面に戻る。
コラボガチャ画面には「10回まとめて」ボタンもあるが、なんか怖いので「1回ずつ」ボタンでガチャを回す。
「防御スキルLv1」
まあ、最初はこんなもんね。
「防御スキルLv1」
あちゃ、かぶった。
「防御スキルLv1」
おい!おい!おい!
やっぱ、私は運が悪いのか。普段のおこないが悪いのか。
確かに親に内緒でゲームやってるんだし、その罰が当たったのかな。
もう1回だけ回してみる。これでダメなら、諦めよう。
「コラボ魔導書」
あ。これは、これで嬉しいです。もう1回ガチャチャンスが増えたってこと。
今手に入ったコラボ魔導書でガチャを回す。
「アミダキョウの破片」
キターーーー!破片2個目です!
やっぱり私ツイてる!?
よしっ!
今度は「10回まとめて」ボタンを押してみよう。
「初級魔導書」
「初級魔導書」
「攻撃スキルLv1」
「高級魔導書」
「防御スキルLv1」
「防御スキルLv3」
「初級魔導書」
「会心スキルLv1」
「防御スキルLv1」
「初級魔導書」
やられた…。もう「10回まとめて」ボタンなんて押さない。
しかも何で、こんなに防御スキルばっかり当たるのか。
あと6回しかない。でもまだ破片は2個…。
運気を変えるためにパソコンから離れる。
陽子はちょっと勉強してみた。
良いことしたら運がよくなるかもしれない。そう信じて。
10分後。またパソコンの前に戻ってきた。
コラボガチャのボタンを押す。
「コラボ魔導書」
よし!やっぱ勉強して良かった!
私はコラボ魔導書でしか破片を手に入れてないんだし、こっちの方が絶対良いはず!
コラボ魔法書は来週まで貯めておくことにして、紅ダイヤでガチャを回す。
あと5回…「防御スキルLv2」
あと4回…「高級魔導書」
あと3回…「初級魔導書」
あと2回…「攻撃スキルLv1」
最後の1回!
ソレイユは、普段は信じてない色んな神様にお祈りした。
「紅ダイヤ100個」
大当たりが出た!これで、また10回ガチャを回せる。
ありがとう色んな神様。このあと、私はちゃんと勉強するよっ!
「ごめんねウタさん、ちょっと落ちます」
「りょ。ソレイユ姉ちゃん、ばいばーい」
陽子はそれから30分間プリントを解いた。
なんか、今までの勉強の中で一番集中できた気がする。
「ただいま~」
「おかえりぃぃぃぃいぃぃ」
「ガチャ回してくる」
「また?wwwwwwうぇwww」
あれだけ勉強したんだ。「10回まとめて」ボタンで行ける気がする。
「高級魔導書」
「アミダキョウの破片」
「初級魔導書」
「攻撃スキルLv1」
「回避スキルLv1」
「回避スキルLv1」
「防御スキルLv2」
「初級魔導書」
「アミダキョウの破片」
「初級魔導書」
今回は破片が2個も当たった!
次からガチャを引くときは、勉強してからにしようと固く誓った。
結果。破片は4個。
ガチャの結果を泡沫。に報告する。
「30回引いて破片4個…10個集められるかなぁ」
「コラボは10日間ある!また紅ダイヤ貯まるよぉぉ」
「休みの日はできないから、後一週間で紅ダイヤ集まるかな?」
30回で4個だから、あと45回は回さないといけない計算だ。
「ミッション報酬が豪華だから大丈夫かもよ!」
泡沫。が励まそうとしてくれているのがわかる。
言動は不規則だが、基本的にはイイ子だ。
「コラボ魔導書でもガチャ回せるし!ダメだったら課金だぁあああ!」
「課金は無理w」
「だよねぇwwwwww」
二人は笑って、時間いっぱいまでリウホンを討伐しまくったのだった。