1日目:JCがゲームを始めてみた。
パステルミリタリーというブラウザゲームを始めて4日目。
私は操作にも慣れてきて、ゲーム内に友だちもできた。
『レベル25おめでとう』
派手なエフェクトとともに、レベルアップのメッセージが流れる。
『機能開放:自分の連盟を設立できます。』
「へぇ、連盟作れるんだ。やってみようかな。」
連盟のアイコンをクリックすると、いつもの【加入する連盟を探す】ボタンの下に【自分の連盟を作る】ボタンができていた。
迷わずポチッ。
『連盟設立しますか?』
【はい】【いいえ】
「もちろん【はい】で!」
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【ゲーム1日目】
感染症対策で休校になって二週間。中学校は休みなのに遊びにも行けない。
春休みには仲良しグループ5人とイオンで買い物行く約束してたのに、全部自粛でなくなった!!
(やっぱ、暇ーーーっ)
塾の講義の動画を見なさいと言われて、親にPC貸してもらったけど、結局はやってみた動画やゲーム実況とかをず~っと見てる。でも、興味ありそうなのは大体見終わってしまった。
(なんか、いい暇つぶしないかな。)
検索ボックスに適当な言葉を入れてみる。
[くぁwせdrftgyふじこ]【検索】
(面白そうなの何もないなぁ。)
ふと見ていると、右端のゲームの広告が目にとまった。
『ブラウザゲームだからインストール不要!』
「インストールしなくていいの?このゲームなら遊んでも大丈夫じゃん!」
とりあえずクリックしてみる。やばそうなら、ブラウザを閉じてしまえばいい。
一旦画面が黒くなり、おとぎ話のようなキレイな背景が表示される。
数秒の読み込みのあと、
『ようこそ!パステルミリタリーへ!』
可愛い女の子の声が響く。
『早速、大地の妖精を召喚してみましょう!』
ちょっと長めのチュートリアルが終わった。
要は、召喚した妖精達で部隊を編成して戦うという、ファンタジー要素の強い戦争ゲームのようだ。
今、自分の「お家」には、大地の妖精「ノーム」が5人いる。
ちっちゃくて、目がくりくりして可愛い。
この子たちがモンスターにポカポカと殴りかかるアニメーションがとても可愛い。
「いいじゃん。」
ノームたちを編成して、近くのモンスターを倒す。モンスターを倒すともらえる「資材」を使って、自分の「お家」の設備を充実させていく。これを繰り返すのだ。
モンスター10体を倒したところで、ノームたちの出撃に必要なMPが尽きた。
「MPが1回復するのに3分…。次に出撃できるまで15分も待つのかぁ。」
下のほうで、光っているアイコンがある。ミッションのアイコンだ。
アイコンをクリックすると、
『☆ミッションクリア☆モンスター10体と戦う:経験値+10』
と表示された。このゲームは戦闘では経験値はもらえない。
ミッションをクリアすることで経験値がたまっていくのだ。
『レベル2おめでとう』
派手なエフェクトとともに、レベルアップのメッセージが流れる。
MPは最大まで回復している。
「うまいことできてるなぁwww」
そのままモンスター退治を続ける。ノームたちがポカポカしているのを見てるだけでも楽しい。
雑魚モンスターを倒して手に入れた資材で、花壇を3つ作った。花壇はノームたちが住む場所になる。
こうやって花壇の数を増やせば、もっとノームを召喚できる。さっそくノームを15人まで増やした。
また、ミッションのアイコンが光っている。
『レベル3おめでとう』
『機能開放:お家に噴水を作ることができます。』
噴水を置けば水の妖精「ニンフ」が召喚できる。
ニンフを3人召喚して、バトルさせてみる。この子たちは水鉄砲でピューっと攻撃する。これも可愛い。
「ふふっ。これ、意外にはまるかも。」
複雑さはないから、ポチポチ戦っているだけで十分楽しい。
貯まった資材で、庭に置く小物を造る。箱庭系のゲームみたいに、テーブルやイスなんか並べていく。
こうやって自由に庭を飾り付けるのも楽しい。
どんどんミッションをクリアして、レベルが上がっていく。
「あ~、もう雑魚モンスター居ないや。」
近くの低レベルのモンスターを狩りつくしてしまった。でかいモンスターはいるけど、「連盟」に入っていないと戦えないらしい。
そこで、フィールドマップをちょっと遠くの方まで探検してみる。
自分の「お家」と同じような小さい「お家」が並ぶほかにも、白いお城や、五重塔、ツリーハウスなど、イベントか課金でゲットしたであろう豪華な「お家」もある。
「いいなぁ。無課金で手に入るんなら、あ~いうのにしてみたいな。」
何かのコラボイベントでゲットした「お家」だと思うが、ファンタジーとは別物の、変形してロボになりそうなビルが建っている。そのビルから大きな鳳凰が10羽ほど飛び出していく。
鳳凰が通った後にはキラキラしたエフェクトが残り、軌跡を描いている。
「うわ~~、キレイな鳥…」
そして、連盟用のでかいモンスターをあっという間に倒してしまった。
私は、その様子をぼーっと、憧れに近い気持ちで見ていた。
その時だ。
「ただいまあ。」
ママが帰ってきた!もうこんな時間…。
慌ててブラウザの履歴を削除して、玄関に向かう。
「お帰りママ、早かったね。もうお腹空いた。」
「ちょっと待っててね、すぐに作るから。陽子も手伝ってくれる?」
「うん。」
楽しみはまた明日。