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4.
「……君かな」
「すごい、なんで分かったの? 顔を見たわけでも声を聞いた訳でもないのに」
「なんでだろう、雰囲気かな。なんとなくだけど、君じゃないかなって思ったんだ」
「ふーん……本当によく分かったわね。ふふ、なんか嬉しいな」
「自分でもそう思うよ。君とあいつは声が違うから、話した時はすぐに分かるんだけどね」
「そうなの? 自分では分からないなあ」
「俺、君の声すごい好きなんだよね。少し低くて、甘えたような声」
「私と話してる時の方が、楽しそうだもんね?」
「ええ、そんなことはないと思うんだけど……。いや君と話すのが楽しくないって意味ではなくて。まあ確かに君と話す方が好きだけども」
「ふふ、そんな焦らなくてもいいのに。冗談よ。私も、あなたと話すのすごい好きよ」