ハッピーエンド
みんなはハッピーエンドってわかる?
悪役みんな倒して勝ったとか
館から無事生還したとか
これから話す物語は、女性勇者の話
私は勇者。この世界で初めての女性勇者だった。
女だからと舐められて、見下され。
そのくせ、頼りたいときだけ頼って。
だから、私は強くなる事を決めた。
Lvを上げて、誰にも負けないようになった。
気付けば、その辺の魔物なら片手で倒せるほどになった。
世界はやっと私を認めていくようになった。
ただ、魔王はやっぱり強かった、
時間がかかり膠着状態
攻撃しては、防御
防御しては、攻撃
ずっとそれの繰り返しだった。
しかし、何故かいきなり魔王が弱った。
弱った魔王はまるで、スライムのようだった。
簡単に倒せてあっけなかった。
そこから、私の記憶はない。
ハッと意識が戻ると、目の前に男がいた、自分の周りはフワフワした雲のような、説明できない場所にいた。
まるで天国にでもいる気分だった...
私は誰かもわからない男に聞いた。
「貴方は誰なんですか?天使か何かですか?」
「僕は天使ではないかな...どっちかというと、神様の方が意味が似てるかな...」
「神様?じゃあここは天国ではない...」
「そうだね、どっちかというと..夢に近いかな。」
「夢...じゃあ私は生きているの?」
「ははは、君は死んではいないね、これからも、あの世界で生きていくんだよな......」
「どうかしたんですか?」
「いや、いいんだ。君は魔王を倒した。妹を助けた。そして、君の思い人に、告白され、楽しい生活を送るんだ。」
私は遠のいて行く意識の中でそんな夢のような話を聞いた。
次に目を覚ましたら、ウエディングドレスを着て、教会の控室にいた、目の前には妹が。あの場所での出来事の記憶は残ってる。
でも、半年の記憶が無い、魔王を倒した瞬間からの記憶がない。
あの神様はどうなったのだろう、など考えていると、タキシードを着た私の初恋の人が入ってきた。戸惑ってしまった、何故か恥ずかしくなって、目をそらした。私はいつの間に付き合った?などと思った時、窓からあの男が見えた。男は指を鳴らし、ニッコっと笑った。半年間の記憶が流れ込んできた。思わずにやけてしまった。
妹が私の手を引き、「行くよ!!お姉ちゃん!!」
私は笑いながら、妹に付いていき、私の結婚式に向かった。
「幸せになれよ、女勇者。私にはこの世界を進める力をなくしてしまった。世界は続く、日常が続く、ハッピーエンドだ。これで。」
これは、ある女勇者の物語、ある創作者の物語。
打ち切りによって無理やり終わらせられた世界の話。
貴方たちはこれを"ハッピーエンド"だと思いますか?